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野党提出の労基法改正案、「裁量労働」の時間把握や「労働時間管理簿」の義務化に注目
2016年11月20日 09時08分

民進、共産、自由、社民の野党4党は11月15日、労働基準法改正案の修正案「長時間労働規制法案」を衆院に共同提出した。改正案は4月に提出していたが、電通の女性新入社員の過労自殺を受け、長時間労働の罰則を強化するなどの案を盛り込んだ。

改正案では、長時間労働を規制するため「労働時間の延長の上限規制」「インターバル規制の導入」「違反事例の公表」「罰則の強化」などを盛り込んだ。今回の修正法案では、違法な時間外労働をさせた場合の罰則を「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」から「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に引き上げる。

この改正法案を弁護士はどのように評価するだろうか。今泉義竜弁護士に話を聞いた。

民進、共産、自由、社民の野党4党は11月15日、労働基準法改正案の修正案「長時間労働規制法案」を衆院に共同提出した。改正案は4月に提出していたが、電通の女性新入社員の過労自殺を受け、長時間労働の罰則を強化するなどの案を盛り込んだ。

改正案では、長時間労働を規制するため「労働時間の延長の上限規制」「インターバル規制の導入」「違反事例の公表」「罰則の強化」などを盛り込んだ。今回の修正法案では、違法な時間外労働をさせた場合の罰則を「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」から「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に引き上げる。

この改正法案を弁護士はどのように評価するだろうか。今泉義竜弁護士に話を聞いた。

●「労働時間管理簿の義務化」に注目

「改正法案にある、8時間を超える労働時間延長に上限を設ける『労働時間の上限規制』と一定時間以上の休息時間の付与を義務化する『インターバル規制』の2つは、長時間労働抑制に必要不可欠の規制です。今すぐにでも実現すべき内容です」

ほかに評価できるポイントはどこか。

「長時間労働の隠れ蓑になっている裁量労働制について、『使用者による労働時間の把握・記録措置』を導入の要件とする点は重要です。労働時間規制の実効性を確保するための『労働時間管理簿の義務化』の点も、注目すべきです。

現状では、労働時間管理をしない悪質な経営者ほど残業代支払いを免れるという不条理が横行しています。しかし、改正法案はそのような現状を転換する大きな力になると思います。

さらに修正案では、違法な時間外労働などについて懲役刑の長期を現行の2倍にし、違法な児童労働などと同じレベルに合わせるとしています。このような罰則強化には一定の抑止効果が期待できると思います」

しかし、野党案であり、実現性が低いのではないだろうか。

「安倍政権は、内閣官房に『働き方改革実現会議』を設置して長時間労働抑制の方策を議論しています。野党案の示した方向での法改正に早期に着手することは、まさに『働き方改革』に直結することです。すみやかに審理し、成立させるべきだと思います。それをしないのであれば、『働き方改革』は掛け声だけと批判されても仕方がないでしょう」

●「利便性を過度に追及する社会」の見直しなどトータルな議論を

さらに、今泉弁護士は長時間労働をなくすための課題についても指摘した。

「なお、罰則が強化されても実際に現場で運用されなければあまり意味がありません。慢性的な人手不足である労働基準監督官を抜本的に増員し、取締りを強化できる体制を構築することも必要です。

さらに言えば、元請けから無茶な納期を押し付けられがちな下請け業者を守る施策を強化する必要があります。長時間労働をしなくても生活できるだけの賃金が保障されるための最低賃金の引き上げといったトータルな施策も議論していくべきでしょう。

一方、現場では、すでに労働組合の力によって『勤務間インターバル』の導入や厳格な労働時間管理を実現している職場があります。上からの改革だけではなく、そのような草の根からの動きも共有していくことが大事だと思います。

また、無駄な業務や会議が多いという仕事のあり方や、働く人よりも顧客や株主の利益を優先し、消費者の利便性を過度に追及するこの社会のあり方の見直しなど、私たち一人ひとりが考え直していくべき課題も多いのではないでしょうか」

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