3567.jpg
年末年始に「有給休暇」を取得せよ――こんな会社は「ブラック企業」と呼ぶべきか?
2014年12月27日 13時02分

この冬の年末年始は、12月27日(土)から、1月4日(日)まで、最大で9連休のまとまった休みをとる人が多い。だが、年末年始のうち「国民の祝日」と定められているのは、元旦の1日だけ。カレンダー上では、平日が5日間もあるのだ。

この年末年始休暇の平日分について、有給休暇の取得を会社から求められている人もいるようだ。ネットの相談サイトには「有給休暇がすぐになくなってしまいます」「このような有給休暇のとりかたは有りでしょうか?」という疑問が投稿されていた。

カレンダー上は「平日」ということであれば、こうした有給休暇の取り方を会社から指示されても、逆らうことはできないのだろうか。それとも、こんな指示をする会社は「ブラック企業」と考えたほうがいいのか。労働問題にくわしい野澤裕昭弁護士に聞いた。

この冬の年末年始は、12月27日(土)から、1月4日(日)まで、最大で9連休のまとまった休みをとる人が多い。だが、年末年始のうち「国民の祝日」と定められているのは、元旦の1日だけ。カレンダー上では、平日が5日間もあるのだ。

この年末年始休暇の平日分について、有給休暇の取得を会社から求められている人もいるようだ。ネットの相談サイトには「有給休暇がすぐになくなってしまいます」「このような有給休暇のとりかたは有りでしょうか?」という疑問が投稿されていた。

カレンダー上は「平日」ということであれば、こうした有給休暇の取り方を会社から指示されても、逆らうことはできないのだろうか。それとも、こんな指示をする会社は「ブラック企業」と考えたほうがいいのか。労働問題にくわしい野澤裕昭弁護士に聞いた。

●取りたいときに「自由に取れる」のが原則

「年次有給休暇(有給休暇)の取得は労働者個人の権利です(労基法39条)。理由のいかんを問わず、取りたいときに自由に取れるのが原則です」

野澤弁護士はこのように述べる。では、年末年始に有給休暇を取るよう、会社が指定してもいいのだろうか。

「労働者の権利である有給休暇の取得時期について、使用者が自由に指定することはできません。使用者が勝手に、正月休みを有給休暇に指定することは、労働基準法に違反します」

ただ、一定の条件を満たした場合、会社が有給休暇取得の時期を指定できる制度があるようだが・・・。

「『計画年休制度』のことですね。

これは、一定の条件のもとで、労働組合もしくは労働者の代表と使用者が、書面による協定を結べば、労働者個人の年休権行使を拘束することができるという制度です」

それでは、やはり会社が年末年始を「有給休暇の取得時期」として指定しても、問題ないのか。

「たしかに、こうした労使協定で『正月休みに有給休暇を消化する』と定めれば、それは有効です。

ただ、『計画年休制度』はあくまで、有給休暇取得を促進するためを設けられた制度です。

有給休暇がなかなか消化できない理由として、同僚や上司、職場の雰囲気への気兼ねから取得をためらう傾向があることから、この制度が導入されました。

『正月休みに有給休暇を消化する』といった労使協定を結ぶことが、有給取得を促進するという計画年休の制度趣旨に合致するのかは、おおいに疑問です」

●会社自体が正月休みなのに「有給休暇」を取得する意味は?

そもそも、年末年始はオフィスや店舗自体を閉めている会社も多いだろう。そのような場合でも、年末年始を有給休暇に指定することは許されるのだろうか。

「有給休暇を取得する意味は『本来働かなければならない日に働く義務がなくなるが、それでも賃金が請求できる』というものです。

したがって、会社自体が正月休みで休業している時期には、労働者が有給休暇を取得する意味はありません。もともと『働く義務がない日』に有給休暇を充てようというわけですから」

つまり、もともと休日であるはずの正月休みに有給休暇を取得させることは、労働者からすると「その分だけ有給休暇を減らされたのと変わらない」ということになるわけだ。

「そうです。そうした取扱いは、法律で決まっている有給休暇の日数を与えないのと実質的に同じと言えます。6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金となる可能性があります(労基法119条)」

野澤弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る