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Amazon税逃れ、法人税が「楽天の30分の1」報道…多くの利益が米国に流れる仕組み
2018年06月10日 08時34分

ネット通販大手のアマゾン日本法人が、本来は日本で計上するべき売上高を米国で計上し、その結果、日本での課税を逃れていると「しんぶん赤旗」が伝えた。

米アマゾンが公表している年次報告書によると、2014年12月期の日本での売上高(営業収益)は8387億円だが、同じ2014年12月期のアマゾン日本法人2社(アマゾンジャパンとアマゾンジャパン・ロジスティクス)の営業収益はあわせて899億円と約1割にすぎなかったという。

この結果、同じ期にアマゾン日本法人2社に課された法人税(法人3税)は11億円。これは、イオンなど日本の小売り大手10社の平均法人税額(329億円)の30分の1で、ネット通販大手の楽天と比べても30分の1程度にすぎなかったという。

しんぶん赤旗は、米アマゾンが「アマゾンは日本を含むすべての国で、要求された税金の全額を払っている」と回答したことを伝えた一方、「日本事業の売上高を米国に移していることは否定しませんでした」と付け加えた。

こうした「税逃れの疑い」についてどう考えるか。李顕史税理士に聞いた。

ネット通販大手のアマゾン日本法人が、本来は日本で計上するべき売上高を米国で計上し、その結果、日本での課税を逃れていると「しんぶん赤旗」が伝えた。

米アマゾンが公表している年次報告書によると、2014年12月期の日本での売上高(営業収益)は8387億円だが、同じ2014年12月期のアマゾン日本法人2社(アマゾンジャパンとアマゾンジャパン・ロジスティクス)の営業収益はあわせて899億円と約1割にすぎなかったという。

この結果、同じ期にアマゾン日本法人2社に課された法人税(法人3税)は11億円。これは、イオンなど日本の小売り大手10社の平均法人税額(329億円)の30分の1で、ネット通販大手の楽天と比べても30分の1程度にすぎなかったという。

しんぶん赤旗は、米アマゾンが「アマゾンは日本を含むすべての国で、要求された税金の全額を払っている」と回答したことを伝えた一方、「日本事業の売上高を米国に移していることは否定しませんでした」と付け加えた。

こうした「税逃れの疑い」についてどう考えるか。李顕史税理士に聞いた。

●日本で得た利益の多く、アメリカに

ーーしんぶん赤旗の指摘には、どのような感想を持ちますか

「まず、しんぶん赤旗は営業収益と税金額を比較していますが、日本の税制度では利益に対して法人税が課税されます。アマゾン関連会社2社の2014年度の決算公告をみると、税引前当期純利益に対して約35%の税金を支払っていて、概ね妥当でしょうし、日本の法律に基づいて税金を支払っていると考えられます。

今ではアマゾンは合同会社となっており、合同会社は日本で決算公告の義務はないため、決算情報を公開していません。したがって、アマゾンの日本の活動実態は分かりにくくなっています。そして、アマゾンが日本で得た利益の多くを米アマゾンに付け替え、日本で本来払うべき税金を支払わずに、アメリカで支払うような仕組みになっているのも事実でしょう」

ーーどのような仕組みをイメージすればいいでしょうか

「例えば、アマゾンで書籍を購入すれば購入者は日本の消費者、販売者は米アマゾンという関係で、あくまでもアマゾンの日本にある販売・物流施設は、米アマゾンの支配下にあるという考え方です。これにより、消費者の支払代金は米アマゾンが受け取るという理屈です」

●実態に応じた課税には、まだ時間がかかりそう

ーー国をまたぐと課税が複雑になりますね

「日経新聞(2009年7月6日付朝刊)はかつて、日本の税務当局がアマゾンの日本法人に140億円を課税しようとしたところ、アマゾンが不服申立をしたと報じました。不服申立をした結果、日本の税務当局が負けて、アマゾン側の見解が通ったそうです。このように国をはさむと、二国間協議となり日米税務当局同士の協議が行われます。

二国間協議は、アマゾン以外でも過去にありました。1994年3月26日付の産経新聞朝刊は、日本コカ・コーラ社に対して360億円の追徴課税をしたところ、日米税務当局の協議が行われる旨を報じています。20年以上前にも、国同士の税金争奪戦が行われていたのです」

ーーアマゾンは近年業績を伸ばしていて、本来なら課税額もさらに増えそうです

「はい。新聞報道の2009年当時と比較しても、今ではアマゾンが日本でネット販売する金額も量も飛躍的に増えていて、2017年度では119億米ドル(日本円で約1兆3,200億円)にもなり、2014年と比べても約55%増えています」(出典:アマゾンのアニュアルレポート)

ーーアマゾンが日本であげた利益に対してしっかり課税されないのでしょうか

「現状、日本政府としても手をこまねいている訳ではありません。日本であげた利益に対して課税されないというのは、国民感情からしても、許されないでしょう。

2018年3月28日に国会で可決成立した税制改正(平成30年度税制改正関連法)では、物流施設のみがある外国会社にも日本で課税できるように法律が改正されました。しかし、だからといってすぐにアマゾンに課税できるかといえば、そう話は簡単ではありません」

ーーなぜでしょうか

「条約の規定が、日本国内の法律よりも優先されるためです。日米租税条約の規定がアマゾンのような物流施設の定義を明確にしていないことから、すぐにアメリカ企業に課税ができないという事情があります。

なかなか難しい問題ですが、個人的には早く問題を解消して、アマゾン以外の会社でも、日本で実質的に活動し利益をあげていれば、実態に応じて課税してもらいたいと思います」

【取材協力税理士】

李 顕史(り・けんじ)税理士

李総合会計事務所所長。一橋大学商学部卒。公認会計士東京会研修委員会委員。東京都大学等委託訓練講座講師。あらた監査法人金融部勤務等を経て、2010年に独立。金融部出身経歴を活かし、経営者にとって、難しいと感じる数字を分かりやすく伝えることに定評がある。また銀行等にもアドバイスを行っている。

事務所名 : 李総合会計事務所

事務所URL:http://lee-kaikei.jp/

(弁護士ドットコムニュース)

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