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「オフィスチェアで腰を痛めた!」労災認定してもらえる? 厚労省が認める「腰痛」とは
2023年10月29日 10時03分

今年5月から新型コロナウイルスが感染症法上の5類となり、それまではリモートワーク中心だった社員をオフィスに回帰させている企業は少なくありません。それとともに、社員を悩ませているのが「腰痛」です。

「せっかく自宅で自分の体型に合ったチェアを使っていたのに、オフィスに戻ったらチェアが合わずに腰痛になってしまいました」

そう話すのは、都内の会社に勤める女性です。夏からオフィスに復帰するよう言われ、会社の備品であるチェアに座り続けていたら腰痛がひどくなったそうです。最近では毎週末、鍼灸院に通っているといいます。

「労災だと思います。治療費も1回5000円と高いので、会社に請求したいです」と女性は憤っています。

女性の会社では、ほぼ全員が同じチェアを使っており、他のチェアに変更することはできません。大柄な同僚男性も、やはり体型に合わず、「ぎっくり腰」になってしまい、困っているといいます。

会社の備品であるチェアによって腰痛になってしまった場合、労災として認めてもらえるのでしょうか。労働問題にくわしい徳田隆裕弁護士に聞きました。

今年5月から新型コロナウイルスが感染症法上の5類となり、それまではリモートワーク中心だった社員をオフィスに回帰させている企業は少なくありません。それとともに、社員を悩ませているのが「腰痛」です。

「せっかく自宅で自分の体型に合ったチェアを使っていたのに、オフィスに戻ったらチェアが合わずに腰痛になってしまいました」

そう話すのは、都内の会社に勤める女性です。夏からオフィスに復帰するよう言われ、会社の備品であるチェアに座り続けていたら腰痛がひどくなったそうです。最近では毎週末、鍼灸院に通っているといいます。

「労災だと思います。治療費も1回5000円と高いので、会社に請求したいです」と女性は憤っています。

女性の会社では、ほぼ全員が同じチェアを使っており、他のチェアに変更することはできません。大柄な同僚男性も、やはり体型に合わず、「ぎっくり腰」になってしまい、困っているといいます。

会社の備品であるチェアによって腰痛になってしまった場合、労災として認めてもらえるのでしょうか。労働問題にくわしい徳田隆裕弁護士に聞きました。

⚫️厚労省の認定基準はどうなっている?

厚労省では、労働者の腰痛が業務上のものとして労災認定できるかどうかを判断するために、「業務上腰痛の認定基準」(https://jsite.mhlw.go.jp/saga-roudoukyoku/content/contents/000468676.pdf)を定めています。

この基準では、腰痛を2種類に分けています。

(1)災害性の原因による腰痛
(2)災害性の原因によらない腰痛

(1)災害性の原因による腰痛は、アクシデントなどによって、突発的に強い力が腰にかかったことなどによる腰痛です。

なお、「ぎっくり腰」(急性腰痛症)については、「日常的な動作の中で生じるので、たとえ仕事中に発症したとしても労災補償の対象とは認められません」と明記されています。

(2)災害性の原因によらない腰痛は、日々の業務によって腰への負荷が徐々に作用して発症した腰痛のことです。さらに2種類に分けられます。

①筋肉などの疲労を原因とした腰痛
②骨の変化を原因とした腰痛

厚労省「業務上腰痛の認定基準」より 厚労省「業務上腰痛の認定基準」より

まず、①筋肉などの疲労を原因とした腰痛は、長距離トラック運転のような「長時間立ち上がることができず、同一姿勢を持続して行う業務」などが該当します。

厚労省「業務上腰痛の認定基準」より 厚労省「業務上腰痛の認定基準」より

また、②骨の変化を原因とした腰痛では、10年以上にわたって重いものを取り扱う業務をおこない、骨の変形を原因とした腰痛の場合も労災となります。

⚫️「一般論として、労災認定は難しい」

「一般論としては、腰痛の労災認定は難しいのが現状です」

徳田弁護士はこう指摘します。どうしてでしょうか。

「労働者に生じる腰痛の発症要因として、(ⅰ)加齢による影響、運動不足による腰部・腹筋などの脆弱化といった労働者側の個人的な要因と、(ⅱ)腰部に過度の負担を加える労働態様や労働環境といった職業的な要因があるので、仕事が原因で腰痛を発症したと認定できるのかが難しいです。

なお、腰痛で労災申請をする際には、次の事情を検討することが重要になります。

・どれくらいの就労期間中
・どれくらいの期間
・どのような物を
・どのような頻度で運んでいたのか
・どういった姿勢を取る必要があったのか
・筋肉の疲労や骨の変化が医学的に確認できるか
・腰痛の原因が筋肉疲労や骨の変化であると医学的にいえるか」

では、労災として認めてもらえないにしても、腰痛を訴えている社員にできることはあるのでしょうか。徳田弁護士はこう助言します。

「会社は、労働者に対して、生命や健康を危険から保護するように配慮する、安全配慮義務を負っています。労働者は、会社に対して、安全配慮義務として、職場の腰痛予防の対策をしてほしいと要望できます。

安全配慮義務を検討するにあたり、厚生労働省が公表している『職場における腰痛予防対策指針』が参考になります。ここには、腰掛け作業の『椅子の改善』として、『座面の高さ、奥行きの寸法、背もたれの寸法と角度及び肘掛けの高さが労働者の体格等に合った椅子、又はそれらを調整できる椅子を使用させること。椅子座面の体圧分布及び硬さについても配慮すること』と記載されています。

そのため、腰痛の予防のために、自分の体型に合った椅子を準備してほしいと会社に要望するのが、効果的でしょう」

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