商業施設や飲食店の駐車場がほぼ満車で、「車椅子マーク」のスペースだけが空いている。そんな場合は身障者や妊産婦ではなくても駐車してよいのだろうか。国交省に尋ねた。
夏休みシーズンで商業施設や観光施設が混み合うような場合に備えて、「車椅子マーク」利用における心構えをもっておこう。
●飲食店の駐車場で怒鳴ってきた高齢男性にびっくり
会社員のエンドウさんは休暇をとって友人グループと旅行に出かけた。
人気の飲食店に向かったが、店の駐車場はほぼ満車。1台だけ空いていたスペースには「車椅子マーク」があった。後続車が次々と列をつくる。
「車椅子専用」の記載はなかったので、まずはここに車を駐めさせてもらって、店から何か言われたらすぐに移動させようと考えた。
車を入れた、その時だった。隣の車から降りてきた高齢男性から「身障者マークがあるだろ! ダメじゃないか!」と怒鳴られたのだ。
男性の剣幕に驚いたエンドウさんたちは、わずかの時間で自分の「正義」をぶつけてきた男性の態度にも驚いた。ケガ人や妊産婦がいるかもしれないのに……。
●国交省「法律上、誰が使ってよいかの定義はない」
「車椅子マーク」の駐車スペースは誰が使ってよいと考えるべきなのか。国土交通省の共生社会政策課に聞いた。
——「車椅子マーク(障害者のための国際シンボルマーク)」が描かれた駐車スペースは誰が使用できると考えられるのでしょうか
法律上は誰が使ってよいか、誰が使ってほしいという規定はされていません。身体障害者だけでなく障害があるかたも誰でもいいということになります。妊産婦、高齢者、ほかの困りごとがあるかたももちろん使うことができます。
ただ、幅3.5メートル以上の車椅子使用者用駐車施設は、車椅子を使用するかたが使えるようなところになっています。
健常者が使ったからといって罰則があるわけではありませんが、使うのは避けましょうというイメージになります。やはりモラルの問題になるかと思います。
●「ラスト1台」は障害者や本当に必要な人に空けておこう
——駐車場の「最後の1台」が「車椅子マーク」のスペースだった場合でも、やはり健常者の使用は避けたほうがよいのでしょうか
そうですね。基本的には避けて違う場所に駐めるべきかと思います。コインパーキングにも幅が広い駐車スペースは少ない気がします。優先されるのは障害者の方かと思います。
——利用する施設や店の近くにコインパーキングなどがない場合、店側に確認してから「車椅子マーク」に駐車するのはどうでしょうか
問題ありません。使用に関しては、あくまで施設管理者の判断によります。営業の観点もありますし、臨機応変に対応していただければと思います。
●いきなり怒鳴るのはおかしい
——他のユーザーが注意をしようと思ったらどんなことに気をつけたらよいでしょうか
注意するにしても、どんな障害や事情があるのか尋ねたうえで、注意するべきかなと思います。