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杉並「保育園一揆」から3年 「日本死ね!ブログの人の気持ちはよくわかる」
2016年03月01日 12時09分

来年度の保育園の入園可否通知書が届きはじめた今年2月、SNS やネット上には「落ちた・・・」と、怒りまじりの投稿が相次いだ。保育園に入れなかったある保護者が怒りをつづった「保育園落ちた日本死ね!!!」というタイトルのブログは大きな話題になり、2月29日の国会でも、このブログにふれ、安倍首相が「日本死ねというのは別だが、大変残念な苦しい思いをしている人がたくさんいることは承知している」と述べた。

厚生労働省の調査によると、保育施設に入れない待機児童の数は、全国で2万3167人、東京都は最多の2104人にのぼる(2015年4月時点)。

今から3年前の2013年には、厳しい保活事情に風穴をあけようと、業を煮やした母親たちが、自治体に対して、抗議活動や集団異議申し立てなどを行う「保育園一揆」が都内各地で起こった。この「保育園一揆」で先陣を切ったのが、安心して子どもを預けて働きたいと願う東京都杉並区の保護者たちが集まった「保育園ふやし隊@杉並」だった。

あれから3年、彼女たちは、直近の保活事情をどうみているのだろうか? 弁護士ドットコムニュースの記者がメンバーたちに話を聞いた。

来年度の保育園の入園可否通知書が届きはじめた今年2月、SNS やネット上には「落ちた・・・」と、怒りまじりの投稿が相次いだ。保育園に入れなかったある保護者が怒りをつづった「保育園落ちた日本死ね!!!」というタイトルのブログは大きな話題になり、2月29日の国会でも、このブログにふれ、安倍首相が「日本死ねというのは別だが、大変残念な苦しい思いをしている人がたくさんいることは承知している」と述べた。

厚生労働省の調査によると、保育施設に入れない待機児童の数は、全国で2万3167人、東京都は最多の2104人にのぼる(2015年4月時点)。

今から3年前の2013年には、厳しい保活事情に風穴をあけようと、業を煮やした母親たちが、自治体に対して、抗議活動や集団異議申し立てなどを行う「保育園一揆」が都内各地で起こった。この「保育園一揆」で先陣を切ったのが、安心して子どもを預けて働きたいと願う東京都杉並区の保護者たちが集まった「保育園ふやし隊@杉並」だった。

あれから3年、彼女たちは、直近の保活事情をどうみているのだろうか? 弁護士ドットコムニュースの記者がメンバーたちに話を聞いた。

●3年で約30園が増設「行動することには意味がある」

立ち上げ当初からのメンバーで、自身も保活を経験した川島雅子さん(33)は、話題になったブログについて、「(書いた人の)気持ちはすごく分かります」と話した。「私自身も、保活をしている時には、すごく社会の不条理を感じていて、怒っていました。ブログを書いた人もそういう想いだったと思う」。

また、会の活動を通して、厳しい保活事情に関する情報や悩みは数多く寄せられる。そのため、「どうしてあのブログだけがそんなに話題になっているのかな?」と不思議に思ったとも明かす。

「保育園ふやし隊@杉並」では、2013年から3年連続で「ふやしてアクション」と呼ばれる区役所前での抗議活動と異議申し立てを行ってきた。また、「保育園をもっと増やしてほしい」という内容の要望書を区役所に提出したり、区議会議員をまじえた勉強会を開催してきた。

「活動を始めて以降、杉並区では3年間で約30園の認可保育園が増設されました。ただ、活動を始めた当初は、政治や行政に訴えようと高尚なことを考えていたわけではありません。保活に苦しんでいる人はたくさんいて、1人1人が区役所で『困ってる』と訴える状況が続いていたけれど、それぞれがライバルで、困っている人同士がまとまるところがなかった。

そこで、困っている人たちが、みんなで声を上げたらどうなるのかと思って活動を始めたら、行政も動いてくれた。行動することには意味があると実感しています」

川島さんによると、現在、「保育園ふやし隊@杉並」は、企画や運営を行う事務局のメンバーが約20人、メーリングリストの登録者は約250人にのぼるという。

●園の数は増えても「厳しい保活事情」は変わらない

川島さんと同じく、「保育園ふやし隊@杉並」のメンバーの中楯めぐみさん(38)は、2013年から始めた自身の保活をこう振り返る。

「子どもが生まれた頃は保育園について知識がなくて、何とかなるだろうと思っていました。0歳児の時は保育園に申し込まず、1歳で申し込む段階になった時に初めて、1歳は入園できる枠がかなり少ないということを知ったんです。

自営業者などが、子どもを保育しながら働いている場合は、当時は減点対象。半分、無理だろうなと思いながら認可に申し込んで、先着順の認証保育園にも期待をかけましたが、すでに80人、100人待ちは当たり前の状況で、さらに絶望的になりました」

最終的に、申し込んでいた認可保育園には全て落ち、認証保育園からも連絡は来なかった。しかし、「最後の頼みの綱にしていた」という保育ママ(区市町村の認定を受けた保育者が自宅で少人数の子どもを預かる制度)から声がかかり、1年間子どもを預かってもらったという。

「今は、ふやし隊のアクションの成果で認可が増えてきたので、恩恵にあずかって、2015年4月から認可に入ることができました。ただ、メンバーの中には、希望していた保育園に落ちて、杉並に住んでいるのに埼玉にまで範囲を広げて探している人もいます。

保育園に入れる保証があれば苦労しなくていいのに、充分な枠がないので、それぞれが無駄な労力を割かないといけない状況です」

2013年に保育園一揆が起きてからの3年間で保育園の数は増え、杉並区が示したデータでは、全体としては入園可能数・入園率は改善しているが、同時に、保育園に入りたい人(申し込み者)の数も増えている。

こうした状況について川島さんは、「地域差や年齢差もあり変わった部分・変わらない部分両方がありますが、全体としてはまだ保育園は足りておらず、認可保育所への入園は厳しい状況と言えると思います」と話す。

保育園に入りたくても入れない現状に対して川島さんは、次のように語った。

「子どもの数は減っていくから、保育園はそんなに必要ないんだとずっと言われてきました。全体で見れば子どもの数は減っているかもしれませんが、都市部では、保育園に子ども預けて働きたい人は着実に増えています。少子化を理由に保育園を作ってこなかったツケが今、まわってきているのではないでしょうか」

(弁護士ドットコムニュース)

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