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凶暴な飼い犬、小学生を襲う…被害児の親は「あの犬を殺処分して」
2019年07月05日 09時59分

小学生の子どもが近所の飼い犬に噛まれてしまった。危険なので、他人に譲渡するか殺処分をさせられないか? そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

その犬は普段はケージで飼われていますが、度々、脱走していました。狂犬病の予防注射もしていません。今回、子どもが噛まれたことから、飼い主に対して「示談金を支払ってほしい。あるいは、犬を譲渡するか、殺処分してほしい」と、依頼しました。

相手は「誠意を込めて対応する」と言ったものの、治療費も含めた示談金として10万円を提示するのみでした。子どもはまだ怯え、泣き出すこともあり、心にも深い傷を負ったといいます。そのため「今後、安心した生活を送りたい」として、訴訟も考えているそうです。

このような場合、どのような要求ができるのでしょうか。石井一旭弁護士に聞きました。

小学生の子どもが近所の飼い犬に噛まれてしまった。危険なので、他人に譲渡するか殺処分をさせられないか? そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

その犬は普段はケージで飼われていますが、度々、脱走していました。狂犬病の予防注射もしていません。今回、子どもが噛まれたことから、飼い主に対して「示談金を支払ってほしい。あるいは、犬を譲渡するか、殺処分してほしい」と、依頼しました。

相手は「誠意を込めて対応する」と言ったものの、治療費も含めた示談金として10万円を提示するのみでした。子どもはまだ怯え、泣き出すこともあり、心にも深い傷を負ったといいます。そのため「今後、安心した生活を送りたい」として、訴訟も考えているそうです。

このような場合、どのような要求ができるのでしょうか。石井一旭弁護士に聞きました。

●「よほどのことがない限り殺処分命令が出されることはない」

相手に犬を飼わないよう求めることはできますか

「ペットは他人の所有物であり所有権の対象ですので、第三者がペットを殺処分させたり、他人への譲渡をさせたりすることはできません。ただし、行政による措置が行われる場合があります。

例えば私の執務する京都府では、飼い犬が人の生命、身体又は財産に危害を加えたときは、職員が必要な限度において立入調査等をすることがあり、その結果一定の措置を命じることがあるとされています(京都府動物の飼養管理と愛護に関する条例9条、10条)。東京都の条例では、殺処分命令もできると明記されています(東京都動物の愛護及び管理に関する条例30条)。

もっともペットの地位が大きく向上した現代においては、よほどのことがない限り殺処分命令が出されることはないと思われます」

●不適切な飼育方法が原因であれば「損害賠償」認められる可能性

相手は狂犬病の注射もさせず、なんども脱走するような飼育方法であることから、適切な飼育をしているようには思えません。法的にはどのように考えられるでしょうか。

「犬の飼育方法が不適切だったために子どもが噛まれてしまったと言える場合、飼い主の過失を問題にして損害賠償を請求できます。また飼い主の事情によっては刑法上の(重)過失致傷罪に問うことができる可能性もあります。

狂犬病については、飼い犬に狂犬病の予防接種を受けさせることは法律上の義務ですので、それが果たされていない場合、都道府県の狂犬病予防員(獣医師)が犬を抑留することとされています(狂犬病予防法6条1項、5条1項)。

実際は飼い主への指導が行われることがほとんどであり、抑留までされることは極めて稀のようですが、その犬が狂犬病予防接種をしていない疑いがあるのであれば、お住まいの地域の担当部署に相談してみてはいかがでしょうか」

●「心の傷」に対する慰謝料は「認められにくい」

怪我の治療費以外にも、精神的な慰謝料も認められるでしょうか。裁判になった場合、どのくらいの金額が認められるのでしょうか。

「慰謝料については、通院や負傷に対する慰謝料、負傷により後遺障害が発生したときはその等級に応じた慰謝料を請求することができます。一般的には交通事故の賠償基準に準じて、通院期間や回数に比例した賠償基準が採用されているようです。

ご質問のような『心の傷』に対する慰謝料というのは、客観的な証明が難しいこともあり、残念ながら裁判上請求しても認められにくいのが現状です」

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