名古屋市西区の円頓寺商店街入り口に建てられている豊臣秀吉像の首が折られているのが見つかったと報じられています。頭部は近くで発見されたとのことです。
近くには織田信長や徳川家康の像も設置されていますが、これまでも腕がもぎ取られる、像が倒されるといった被害が相次いでいます。
地元の誇りである「三英傑像」を狙った悪質ないたずら。首が根元から折られるという被害に、SNSでは「一体、何のために…」「治安悪くて怖い」といった声が上がっています。
こうした行為について、どのような法的責任が問われるのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。
●器物損壊罪に問われる可能性
──銅像を破損する行為はどのような罪に問われますか。
まず、他人のものをわざと壊した場合、器物損壊罪(刑法261条、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)に問われます。銅像は「器物」にあたりますし、首を折る行為は「物の効用を害する行為」といえるので、器物損壊罪は成立するでしょう。
ただし、この犯罪は親告罪です(刑法264条)。つまり、銅像の所有者が処罰を求めないと事件化されません。軽いイタズラのつもりでも、犯罪にあたり得るということは強く認識すべきです。
──わざとではなく、うっかり壊してしまった場合でも同じように法的責任に問われるのでしょうか。
器物損壊罪は「故意」が必要ですが、民事の不法行為責任は「うっかり」(過失)でも生じます。今回のように銅像の首を折った行為は、不法行為にあたる可能性があり、この場合、銅像の所有者は、加害者に対して修理費用など損害賠償を請求できます。
過去の像の修理費用は商店街の会費からまかなわれてきたとのことですが、金額は決して軽くありません。不法行為の場合、損害額に加えて利息も発生します。
いずれにせよ、地域の人々が大切に守ってきた像を壊すことは、地域全体への迷惑であり、法的にも責任を問われる行為なのです。