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大塚家具「リベンジマッチ」の可能性は?「父娘対決」企業法務弁護士はこう見る
2015年04月01日 16時19分

父娘の「お家騒動」で揺れ、メディアの注目を集めた大塚家具の経営権争いは、株主総会で勝利した娘の大塚久美子社長が会社の経営権を握り、ひとまずの決着をみた。

3月27日の株主総会では、久美子社長の会社提案が議決権の61%の賛成を得て可決された。一方、父・勝久氏の株主提案は、賛成が36%と過半数に届かず、否決された。勝久氏は取締役から外され、同社の経営から退くことになった。

株主総会後に記者会見を開いた久美子社長は「多くの社員を巻き込んでしまった。申し訳なく思っている」「新しい大塚家具をつくっていきたい」と話した。

今回の「お家騒動」やその報じられ方を、企業法務に取り組む弁護士はどう見ただろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。

父娘の「お家騒動」で揺れ、メディアの注目を集めた大塚家具の経営権争いは、株主総会で勝利した娘の大塚久美子社長が会社の経営権を握り、ひとまずの決着をみた。

3月27日の株主総会では、久美子社長の会社提案が議決権の61%の賛成を得て可決された。一方、父・勝久氏の株主提案は、賛成が36%と過半数に届かず、否決された。勝久氏は取締役から外され、同社の経営から退くことになった。

株主総会後に記者会見を開いた久美子社長は「多くの社員を巻き込んでしまった。申し訳なく思っている」「新しい大塚家具をつくっていきたい」と話した。

今回の「お家騒動」やその報じられ方を、企業法務に取り組む弁護士はどう見ただろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。

●娘の久美子社長の勝因は?

「今回の株主総会に先立って、大塚家具の株式を保有する海外ファンドや議決権行使助言会社が、久美子社長側を支持することを表明していました。

こうした海外ファンドや助言会社の判断が、大塚家具の株式を多数保有している金融機関や個人株主の判断に影響を与えたとみることができると思います」

今井弁護士は、このように分析する。

株主総会の直後に「まっさらな気持ちで出直す」と表明した勝久氏だが、いぜん大塚家具の株式を20%近く保有する大株主だ。ふたたび同じ騒動が起こる可能性はないのだろうか。

「いったん否決されたのと同じ内容の議案を、株主総会の議案として再び提出することは、法的には一応、可能です。

会社法上、上場会社等の公開会社では、総株主の議決権の100分の3以上の株式を6か月以上保有している株主は、株主総会の招集を取締役に請求することができます。

この『100分の3、6か月』という条件は、会社の定款でなくしたり、引き下げたりすることができますが、原則として、このような縛りが設けられています」

●株主自らが株主総会を招集できる場合とは?

では、勝久氏の請求によって、再び株主総会が開かれる可能性があるということか。

「株主が請求しても、その時点での取締役がそれに応じるとは限りません。取締役が株主総会の準備をしてくれない場合、株主自らが株主総会を招集するという例外的なルールがあるのですが、それを実施するためには、裁判所の許可を得る必要があります」

勝久氏は、20%近くの株式を保有しているということだから、株主総会をもう一度開くように求めることはできそうだ。では、もし裁判所の許可も得られて、株主総会が開かれた場合、議案は同じ内容でもいいのだろうか。

「議決権行使できる総数の10分の1以上の賛成を得られなかった場合は、3年経過することが必要です。しかし、そうでない限り、原則として可能です。

ただ、実際にその議案が通るかは別問題です。勝久氏が何らかの新事実や、新たな経営ビジョンを示さない限り、他の株主の支持を取り付けるのは難しいのではないでしょうか」

●中小では珍しくない「お家騒動」だが・・・

今回の騒動は、なぜ、ここまで注目されたのだろう。

「株式を上場していない中小企業には同族企業も多く、経営の方針や支配権をめぐって、お家騒動に発展することは珍しくありません。

一方、上場企業でも同族経営の会社はありますが、大塚家具のように上場している大企業で、『家庭の内紛』がここまでクローズアップされるのは、非常に珍しいケースだと思います。

世間の注目が集まったのは、そのためではないでしょうか。創業家の内紛がメディアに書き立てられ、会社にとってはとんだ騒動だったと思います」

すると、マスコミは騒ぎすぎだったのだろうか?

「そうとは言い切れません。なかには、興味本位で今回の騒動を書き立てたメディアや週刊誌もあったと思います。

しかし、多様な報道がなされた結果、さまざまな情報が、株主をはじめとしたステークホルダー(利害関係者)に提供されました。

そうした多種多様な情報が、株主が議決権を行使する上で、ひとつの判断材料になったのではないかと思います」

今井弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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