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退職時の「有給フル消化」、総務から「下品」と言われて…法的に「全部取得」できないのはNG?
2023年10月11日 10時32分

「有給を完全消化することは、下品なんだってさ」。会社を退職する際のやりとりに関するX(旧ツイッター)の投稿が話題となりました。

投稿には、メールのやりとりのような画像が添付されており、そこには「有給の消化については、貴方の権利です」としつつも、個人的な意見として「私がいうことではありませんが個人的に申し上げると下品です」と書かれています。

退職時の有給消化をめぐる相談は、弁護士ドットコムにも多数寄せられています。

退職時の有給消化について、日数を制限されたり、最初から消化できないと言われたりする人は多いようです。法的にはどう考えられるのでしょうか。河村健夫弁護士に聞きました。

「有給を完全消化することは、下品なんだってさ」。会社を退職する際のやりとりに関するX(旧ツイッター)の投稿が話題となりました。

投稿には、メールのやりとりのような画像が添付されており、そこには「有給の消化については、貴方の権利です」としつつも、個人的な意見として「私がいうことではありませんが個人的に申し上げると下品です」と書かれています。

退職時の有給消化をめぐる相談は、弁護士ドットコムにも多数寄せられています。

「月給制の正社員で働いて3年半経ちましたが、7月で退職することにしました。退職するにあたり、年次有給休暇の使用を会社から拒否されました」

「退職のために有休消化を相談したところ、私も、もう一人も3~4日ぐらいしか上げられないといわれました」

「7年半勤務した職場を3月末で退職します。有給消化をしたいと伝えたところ、有給は1年間で使うものだから半分しか消化させられないと言われました」

「有給が30日以上も残っているのでそれを消化してから辞めようと思い、支店長に相談したところ、有休消化はさせないの一点張りです」

退職時の有給消化について、日数を制限されたり、最初から消化できないと言われたりする人は多いようです。法的にはどう考えられるのでしょうか。河村健夫弁護士に聞きました。

●「有給消化させない」は違法にあたる

有給は気兼ねせず、取得できると良いのですが、取得をためらって、退職時にまとめて申請する人も多いでしょう。

有給申請しても認めてもらえない扱いは「違法」の可能性が高いです。

会社(雇用者)は有給について「この日はダメ」として、別の日を指定することも法律上可能ですが(時季変更権と言います)、実際にはほぼ認められません。

時季変更権が認められる場合は「有給をあげると、事業の正常な運営を妨げることになる」場合だけで、「仕事が忙しく、あなたがいないと業務が回らない」程度では認められません。

退職の際は、業務の引継ぎが必要です。なので、引継ぎ作業に必要な日数(職場にもよりますが、1〜2日程度でしょう)は、時季変更権を行使され「申し訳ないけど出社してね」ということはありえます。

しかし、「申請日数の半分しか有給をあげない」「3〜4日しかあげない」というのは、時季変更権の濫用にあたり、「有休消化はさせない」に至っては明らかに違法でしょう。

●「下品」という感情論でストップをかけた?

問題のツイートでは、「有休消化は下品」という発言があったようですが、問題の根は深いです。有給取得させないと違法となることを知っているからこそ、「下品」という感情論でストップをかけたのではないか、という疑惑が拭えません。

なお、時季変更権が適法とされると、「30日前に退職を伝え、同時に30日間の有休消化を請求した。会社が2日間の時季変更権を行使した。その行使は適法である」という場合、2日間は出社することになります。

そうすると実際には、28日しか有給を使えず、2日間については「有給を捨てる」結果となります。

そのような場合、「捨てるはずだった有給を買取る」という対応をしてくれる会社もあります。しかし、買取りは会社の義務ではありません。したがって、退職時の有給は、引継ぎに必要な日数を含めて、余裕をもって申請することをおすすめします。

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