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会場問題で揺れる「表現の不自由展かんさい」あす開催へ「批判は自由だが、まず見てほしい」
2021年07月15日 17時00分

大阪府立労働センター「エル・おおさか」で、7月16日から18日まで、アート展「表現の不自由展かんさい」が開催される。

同展をめぐっては、今年3月6日に施設利用が認められたにもかかわらず、指定管理者が6月25日、一転して、利用承認を取り消した。

実行委員会は6月30日、取り消し処分の執行停止を大阪地裁に申し立て、大阪地裁7月9日、これを認めたものの、指定管理者側は7月12日、大阪高裁に即時抗告。7月15日、即時抗告は棄却された。

7月13日には、施設に開催を妨害する趣旨の脅迫文が送り付けられたものの、予定通り開催の準備がすすめられている。(ライター・碓氷連太郎)

大阪府立労働センター「エル・おおさか」で、7月16日から18日まで、アート展「表現の不自由展かんさい」が開催される。

同展をめぐっては、今年3月6日に施設利用が認められたにもかかわらず、指定管理者が6月25日、一転して、利用承認を取り消した。

実行委員会は6月30日、取り消し処分の執行停止を大阪地裁に申し立て、大阪地裁7月9日、これを認めたものの、指定管理者側は7月12日、大阪高裁に即時抗告。7月15日、即時抗告は棄却された。

7月13日には、施設に開催を妨害する趣旨の脅迫文が送り付けられたものの、予定通り開催の準備がすすめられている。(ライター・碓氷連太郎)

●実行委員会「承認取り消しは違法だ」

施設の利用承認の取り消しについて、指定管理者側は、慰安婦被害者をテーマにした『平和の少女像』などが出品されることについて、抗議の電話やメールが届いたことで「衝突がおこるおそれがあり、利用者の安全の確保が困難である」としていた。

しかし、実行委員会側の代理人をつとめる弁護士は、次のように反論する。

「承認取り消しは表現の自由を保障する憲法21条違反であり、『普通地方公共団体(指定管理者を含む)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない』とある地方自治法244条および、『他の利用者に危害を加え、若しくは不快の念を起こさせ、又はそのおそれがあるときに利用の取り消しができる』としている、大阪府立労働センター条例の解釈を誤った裁量権の濫用だ」

大阪地裁も「承認取り消しは表現の自由の不当な制限につながる」と、その不当性を認めた。

●「利用の取り消しは表現の自由を侵害する」

実行委員会のメンバーによると、3月の申し込み時に『表現の不自由展』を開催することを指定管理者側に話していた。また、愛知県など、過去の展示会場に妨害や嫌がらせがあったことを受け、警備体制には万全を期すことも伝えていた。

さらに、5月24日には実行委員会と管轄の警察署とで、警備方法についての話し合いもしていた。しかし、指定管理者側は事前に一切の相談なく、6月25日に突然電話で承認を取り消すと言い出したという。

実行委員会によると、抗議の街宣が6月19日と20日に計3回あった。電話も70件あったものの、いずれも「会場を貸すな」という抗議で、脅迫はなく、街宣についても警察に連絡するようなものではなかったという。

代理人弁護士は「反対者の活動があるから利用をさせないというのは、利用者の表現の自由・集会の自由を侵害するものだ」と語る。

●大阪府議による抗議が影響している?

事前に知っていたはずなのに急に翻した理由について、実行委員会のメンバーは「指定管理者側は、今回の決定を誰がどのように決めたのかについて一切答えないが、大阪府議による抗議が影響しているのではないか」と推測する。

自民党所属の西村日加留大阪府議は6月22日、自身のフェイスブックに

「『表現の不自由展』かんさいについて本日、エル・おおさかを所管する部局に本件の開催について確認を行いました。本件展示物がどういう内容のものであるかについては未確認ですが、表現の自由という憲法上の権利を盾に我が国を貶めるような活動に対して、私は断固戦ってまいります」

と投稿した。6月25日には

「『表現の不自由展かんさい』実行委員会に指定管理者が使用取り消し通知を行いました。と今担当部局から連絡が入りました!!」と自身の申し入れが取り消しに関係している旨も記載している。

吉村洋文大阪知事も、取り消しに賛意を示していた。

「自治体の長は公平中立であるべきだし、表現の自由を守るべき存在であるはず。なのに危険を理由に展示を中止しろというのは、おかしいのではないか」(実行委員会メンバー)

●警備体制を敷き、弁護士も常駐する

14日には、サリンと書かれた液体入り袋が会場に届いたものの、16日から開催されることは決定している。

実行委員会側は「抗議や妨害など十分に予測できるので、貸切スペースに警備体制を敷き、エントランスや共用スペースにも警備の人員を配する。弁護士も会場に2人常駐する」という。会場前の道路使用許可も申請し、路上にスタッフを置くことにしている。

「あいちトリエンナーレ後のリコール署名偽造問題など、反対者・妨害者は手段を選ばない行動をとりますが、市民の批判が高まれば、反対者・妨害者の動きは弱まります。主催者のもとには、開催される前提で自主警備の応援をすると名乗り出る若手弁護士も来ていて、心強く思っています」(代理人弁護士)

「衝突や暴力といった事態を避けて会期をやりきるために、できるだけのことはします。表現の自由そのものも大事ですが、その自由を守ることも大事だからです。この展示を見る人にはそのことを知ってもらいたいし、考えるきっかけにしてもらいたい。

批判は自由ですが、それは作品を見てからするものです。吉村知事や西村府議は、展示を見たのでしょうか。まずは見て、それから言ってほしいと思います」(実行委員会メンバー)

当日は、朝9時から整理券を配布する。50分ごとの入れ替え制で、1度に50人までの入場となっている。

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