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元検事正の性暴力事件、被害を訴える女性検事が会見「検察が名誉を回復してくれず、公の場で話さざるを得なかった」
2025年01月27日 15時56分
#北川健太郎 #女性検事を支援する会

大阪地検トップの検事正が在任中に部下の女性検事に性暴力を加えたとして準強制性交罪に問われている事件で、「女性検事を支援する会」が1月27日、法務省と最高検、大阪高検を訪れ、事件の真相解明などを求めるために集まった約5万9000人分の署名を提出した。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

大阪地検トップの検事正が在任中に部下の女性検事に性暴力を加えたとして準強制性交罪に問われている事件で、「女性検事を支援する会」が1月27日、法務省と最高検、大阪高検を訪れ、事件の真相解明などを求めるために集まった約5万9000人分の署名を提出した。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

●2018年に検事正から性被害

報道によると、大阪地検の検事正だった北川健太郎氏は2018年9月、当時住んでいた大阪市北区の自身の官舎で、部下の女性検事に性的暴行を加えたとされる。

北川氏は2024年6月に逮捕され、準強制性交罪で起訴された。24年10月に大阪地裁であった初公判では起訴内容を認めたが、その後、無罪主張に転じた。

女性検事は事件後、北川氏から「公になれば私は生きていけない、自死を考えている」「検察庁に大きな非難の目が向けられ、業務が立ち行かなくなる」「私のためでなく、あなたの愛する検察庁のため告発はやめてください」などと言われたことから、すぐに被害を申告できなかったという。

事件をめぐっては、副検事の女性が内偵捜査の対象となっていた北川氏に対して捜査情報を漏えいしたり、検察庁職員らに被害者についての虚偽の話を広めたりした疑いがあることも指摘されており、女性検事はこの副検事を国家公務員法違反や名誉毀損などの疑いで告訴している。

画像タイトル 約2週間で6万近い署名があったことを説明する「女性検事を支援する会」の山崎さん

●2週間で約6万筆の署名集まる

検察庁という強大な捜査権限を持つ組織の中で性暴力事件が起きたことを告発した女性検事を孤立させてはいけないと、今年1月12日からネット上で、法務省や最高検に事件の真相解明などを求める署名活動がスタートした。

署名は1月27日正午の時点で、5万9700筆を超えている。

これを受け、女性検事の代理人弁護士や支援者たちが1月27日、法務省と最高検察庁、大阪高等検察庁を訪れ、25日までに集まった5万8967人分の署名をそれぞれの担当者に手渡した。

●女性検事「検察が名誉を回復してくれず、公の場で話し、自らせざるを得なかった」

署名が提出された後、女性検事は支援者らとともに東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。

女性検事は、北川氏からの性被害を申告した後、副検事と同じ職場に復帰させられるなど検察庁から寄り添った対応をしてもらえず、再び休職に追い込まれたという。

女性検事は会見で、「勇気を持って被害申告したのに、検察は私をさらに傷つけ、安心して働ける職場を作らず働く権利を奪いました。検察が私の名誉を回復してくれないので、私が公の場で話して自らの名誉を回復せざるを得なかった」と話した。

画像タイトル 記者会見の模様(弁護士ドットコムニュース撮影)

検察庁をめぐっては、再審無罪となった袴田巌さんをいまだに犯人視する検事総長談話を公表したり、違法な取り調べが複数発覚したりするなど、深刻な問題が相次いでいる。

にもかかわらず、今回の検事正が起訴された事件を含め、検察庁の幹部が記者会見を開くなど社会に説明する姿はみられず、検察内部からも批判の声が上がっている。

こうした状況に対し、女性検事は「大多数の現場の職員は一生懸命に本当に命がけで仕事をしているのに、組織が職員を守らないのかと不安に思っている。検察は誤った組織防衛や保身に走らず、国民の安全を守るのが検察の本質なので、それに立ち戻って真摯な対応をしてほしい。(検察庁は)公の場で発信していくべきだと思います」と訴えた。

「女性検事を支援する会」の山崎友記子さんは「今回の事件は個別の案件ではなくて、検察組織の問題として、それ相応の対応をしてほしいということをとにかく訴えたい」と話した。

今後、署名はさらに集まったものを含めて裁判所に提出する予定という。

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