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ヤミ金の新形態として広がる「偽装質屋」 壊れた時計を預かり「高金利」で金を貸す
2013年04月25日 15時20分

2010年に完全施行された改正貸金業法によって、貸金業の上限金利は年20%に制限されることになった。しかし、その裏をかくように、質屋を装って高金利で金を貸し出す「偽装質屋」が広がりつつあるという。ヤミ金の新しい形態として、弁護士などが注意喚起を呼びかけている。

「偽装質屋」の手口はこうだ。まず、質屋としての体裁を整えるため、100円ショップで買った安価な時計などを借主に「質入れ」させる。そして、その物の値段の何十倍にもあたる金額を貸し付け、その際、年利100%近い高い利子をつけるのだ。

このようなことをするのは、貸金業法では金利制限が年20%なのに対して、質屋営業法では年109.5%とされているためだ。質屋であれば、貸金業法の制限をはるかに上回る高金利での貸し付けが可能という解釈なのだ。

●無価値な物を預かって高い金利で金銭を貸し付ける「手口」

「偽装質屋とは、質屋としての営業許可は受けているものの、その実態は無価値あるいはほぼ無価値な物品を預かって、高い金利で金銭を貸し付ける業者のことです」

熊本県で、偽装質屋問題の解決に取り組む青山定聖弁護士はこのように定義する。青山弁護士によると、2010年6月に改正貸金業法が完全施行され、個人の借入の総額を制限する「総量規制」や、金利上限の引き下げが実現したころから、このような業者が九州を中心に出現したという。さらに最近では、関西や関東へも広がりを見せているそうだ。

「偽装質屋は、質屋であることは最小限にしか広告せず、もっぱら『小口融資』という謳い文句で、日々の生活資金などが不足して困っている顧客を呼び込んでいます。そして、質屋に認められた特例高金利(年109.5%)を狙って、貸し出しをしているのです。

このとき、通常の質屋のように担保価値のあるものを預かっているわけではなく、多くの場合、『何でもいいから持って来て』と言って、壊れた時計や女性雑誌の付録などといった、ほとんど価値のないものを預かっています」

●「偽装質屋とは、質屋を装っているだけで、無登録のヤミ金業者である」

このように価値がない物を質に入れているため、返済期日がきたときに「質物」を失う代わりに借金がなくなる「質流れ」となることがない。こうなると、顧客は延々と元利金の取り立てを受けることになり、「日々の生活を維持するために、借り入れを切替えて取引を継続せざるを得なくなる」(青山弁護士)という。その結果、顧客は高利を支払い続け、生活困窮の度を深めていくことになる。

「質屋営業法1条には、質屋契約において『当該質物をもつてその(貸付債権の)弁済に充てる約款』を付すことが明記されているが、これは、当該質物と貸付債権が見合った価値を持つことが前提とされています。

このため高価なものを質屋は預かることになり、その鑑定や保管に費用がかかるため、年109.5%という特例の高金利が認められているのです」

では、偽装質屋は「違法」といえるのだろうか。

「古い判例ではありますが、『無担保又は無担保に等しい扱いを以て金銭を貸付ける行為は質屋営業の範囲を超える』として、被告人を有罪としています(大阪高裁昭和27年6月23日判決)」

青山弁護士は判例をあげたうえで、 「偽装質屋は、質屋を装っているだけで、無登録のヤミ金業者です。偽装質屋に狙われるのは高齢者だけではありません」と強く警鐘を鳴らしている。

(弁護士ドットコムニュース)

2010年に完全施行された改正貸金業法によって、貸金業の上限金利は年20%に制限されることになった。しかし、その裏をかくように、質屋を装って高金利で金を貸し出す「偽装質屋」が広がりつつあるという。ヤミ金の新しい形態として、弁護士などが注意喚起を呼びかけている。

「偽装質屋」の手口はこうだ。まず、質屋としての体裁を整えるため、100円ショップで買った安価な時計などを借主に「質入れ」させる。そして、その物の値段の何十倍にもあたる金額を貸し付け、その際、年利100%近い高い利子をつけるのだ。

このようなことをするのは、貸金業法では金利制限が年20%なのに対して、質屋営業法では年109.5%とされているためだ。質屋であれば、貸金業法の制限をはるかに上回る高金利での貸し付けが可能という解釈なのだ。

●無価値な物を預かって高い金利で金銭を貸し付ける「手口」

「偽装質屋とは、質屋としての営業許可は受けているものの、その実態は無価値あるいはほぼ無価値な物品を預かって、高い金利で金銭を貸し付ける業者のことです」

熊本県で、偽装質屋問題の解決に取り組む青山定聖弁護士はこのように定義する。青山弁護士によると、2010年6月に改正貸金業法が完全施行され、個人の借入の総額を制限する「総量規制」や、金利上限の引き下げが実現したころから、このような業者が九州を中心に出現したという。さらに最近では、関西や関東へも広がりを見せているそうだ。

「偽装質屋は、質屋であることは最小限にしか広告せず、もっぱら『小口融資』という謳い文句で、日々の生活資金などが不足して困っている顧客を呼び込んでいます。そして、質屋に認められた特例高金利(年109.5%)を狙って、貸し出しをしているのです。

このとき、通常の質屋のように担保価値のあるものを預かっているわけではなく、多くの場合、『何でもいいから持って来て』と言って、壊れた時計や女性雑誌の付録などといった、ほとんど価値のないものを預かっています」

●「偽装質屋とは、質屋を装っているだけで、無登録のヤミ金業者である」

このように価値がない物を質に入れているため、返済期日がきたときに「質物」を失う代わりに借金がなくなる「質流れ」となることがない。こうなると、顧客は延々と元利金の取り立てを受けることになり、「日々の生活を維持するために、借り入れを切替えて取引を継続せざるを得なくなる」(青山弁護士)という。その結果、顧客は高利を支払い続け、生活困窮の度を深めていくことになる。

「質屋営業法1条には、質屋契約において『当該質物をもつてその(貸付債権の)弁済に充てる約款』を付すことが明記されているが、これは、当該質物と貸付債権が見合った価値を持つことが前提とされています。

このため高価なものを質屋は預かることになり、その鑑定や保管に費用がかかるため、年109.5%という特例の高金利が認められているのです」

では、偽装質屋は「違法」といえるのだろうか。

「古い判例ではありますが、『無担保又は無担保に等しい扱いを以て金銭を貸付ける行為は質屋営業の範囲を超える』として、被告人を有罪としています(大阪高裁昭和27年6月23日判決)」

青山弁護士は判例をあげたうえで、 「偽装質屋は、質屋を装っているだけで、無登録のヤミ金業者です。偽装質屋に狙われるのは高齢者だけではありません」と強く警鐘を鳴らしている。

(弁護士ドットコムニュース)

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