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TKO木本さん投資トラブル、刑事・民事ともに責任問われる可能性は? 弁護士に聞く
2022年07月29日 09時56分

お笑いコンビTKOの木本武宏さんが、投資トラブルを抱えていると報じられている。木本さんは投資家A氏と知り合い、お金を預けていたが、連絡がつかなくなっていた。木本さんは芸人仲間に投資話を持ちかけ、A氏を紹介していたという。

スポニチ(7月26日)によると、A氏は金融商品取引法で義務づけられる登録をしておらず、実態のない運用をされていた可能性もあるという。木本さんはA氏に対して民事、刑事の両面での法的措置を検討している。

さらに最新の報道では、投資家はA氏、B氏の2名だったといい、木本さんは8月にも会見を開いて経緯を説明するとのことだ。

A氏や木本さんにはどのような法的責任があるのだろうか。澤井康生弁護士に聞いた。 (編集部注:この記事では取材時の情報に基づき、投資家はA氏のみの想定です)

お笑いコンビTKOの木本武宏さんが、投資トラブルを抱えていると報じられている。木本さんは投資家A氏と知り合い、お金を預けていたが、連絡がつかなくなっていた。木本さんは芸人仲間に投資話を持ちかけ、A氏を紹介していたという。

スポニチ(7月26日)によると、A氏は金融商品取引法で義務づけられる登録をしておらず、実態のない運用をされていた可能性もあるという。木本さんはA氏に対して民事、刑事の両面での法的措置を検討している。

さらに最新の報道では、投資家はA氏、B氏の2名だったといい、木本さんは8月にも会見を開いて経緯を説明するとのことだ。

A氏や木本さんにはどのような法的責任があるのだろうか。澤井康生弁護士に聞いた。 (編集部注:この記事では取材時の情報に基づき、投資家はA氏のみの想定です)

●A氏の刑事責任は?

まず、TKO木本さんの責任を論じる上で前提として投資先であるA氏の責任を解説します。

報道によればA氏は木本さんを通じて不特定多数の者から資金を集めていたことから出資法違反に該当する可能性があります。

出資法は「出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」のことであり、同法1条は不特定多数の者に対し、出資の払戻しとして元本を保証して資金の受け入れをすることを禁止しています。

要は多額の配当を保証して不特定多数者から出資を募る行為を禁止しているのです。これに違反した場合には3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金またはこれの併科刑とされています(同法8条)。

今回のケースでは、おそらくA氏は少なくとも「元本保証にプラスアルファの配当が出る」などと宣伝して、木本さんの紹介などにより不特定多数者から資金を集めていたと思われますので、出資法違反に該当する可能性があります。

●登録なしで金融商品取引業は違法

また、金融商品取引法は「金融商品取引業」に該当する行為を行うには金融商品取引業の登録を受けなければならないと規定しています(同法29条)。

要は株式や社債などの有価証券の販売・勧誘、市場デリバティブ取引を業として行う場合は金融商品取引業に該当することから、無登録で行うことはできないという規制です(同法2条)。

これに違反して無登録で金融商品取引業を行った場合には5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金またはこれの併科刑とされています(同法197条の2)。

今回のケースでは、投資対象はFXと不動産関係が主であると報道されています。FXは外国為替証拠金取引のことであり金融商品取引法上のデリバティブ取引に該当します(同法2条)。

したがってA氏は金融商品取引法違反に該当する可能性があります。

●刑法上の詐欺罪に該当する可能性も

A氏が、出資金を集めたけどそもそも投資していなかったとか、投資していたけど返済できなくなり自転車操業に陥っていた場合には、元金保証や高配当とうそを言って騙して出資金を集めていたことになるため、刑法上の詐欺罪に該当する可能性もあります(刑法246条)。詐欺罪は10年以下の懲役です。

また、今回のケースが投資詐欺に該当する場合、A氏は出資者らに対し不法行為責任が成立するため損害賠償責任を負います(民法709条)。

●木本さんの刑事責任は?

A氏に何らかの刑事責任が成立する場合、木本さんの認識の有無・程度、関与の程度などにより共犯が成立する可能性もあります。

例えば、A氏の違法行為を認識していたにもかかわらず、資金集めに加担して分け前も受け取っていたような場合には、共謀共同正犯が成立する可能性があります。

これに対し、A氏の違法行為を認識しておらず、何も知らずに知人を紹介していただけの場合には刑事責任は負いません。

●木本さんの民事責任

木本さんがA氏の違法行為を認識して資金集めに加担していた場合には、共同不法行為責任(民法719条)が成立するので、A氏と連帯して損害賠償責任を負います。

これに対し、木本さんがA氏の違法行為を認識しておらず、知人を紹介していただけの場合は原則として損害賠償責任を負うことはありませんが、例外的に紹介者として責任を負う場合もありえます。

例えば、東京地裁平成26年1月28日判決は、投資詐欺の事案において、主催者から依頼を受けて知人に対し取引の概要を説明し、主催者と知人を会わせる手配をしたり、自分が連帯保証人になってもかまわないと提案するなどして、知人が取引に出資する意欲を高める役割をした紹介者について、故意に騙したものではないとしても、過失によって不法行為者である主催者を幇助したものというべきであるとして、共同不法行為責任を認めています。

今回のケースで、木本さんが紹介者としてどこまで取引の勧誘に関与していたのかわかりませんが、関与の程度によっては共同不法行為責任が成立する場合も否定はできません。

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