437.jpg
宗教2世、書面で被害“通報”する仕組みを要望「積み上げれば団体へのイエローカードになる」
2022年12月26日 17時37分
#旧統一教会問題

高額献金を規制する新法を実効性あるものにしようと、宗教2世団体が12月26日、消費者庁や法務省に要望書を提出した。求めているのは、全国で吸い上げた被害実態を書面として、団体や行政庁に集める仕組み(書面送付制度)。

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)やエホバの証人の2世当事者でつくる「宗教2世問題ネットワーク」の山本サエコさんと高橋みゆきさん(いずれも仮名)らが担当者に手渡した後、国会内で開かれた野党ヒアリングで趣旨を説明した。

高橋さんは書面送付制度が広がり、自身のような被害の実態が多く積み上がれば「常軌を逸した団体に対して、イエローカードを出すことになる。悪いことをしている団体に気づきを与えるための、けん制ができるのではと思っています」と期待を込めた。

高額献金を規制する新法を実効性あるものにしようと、宗教2世団体が12月26日、消費者庁や法務省に要望書を提出した。求めているのは、全国で吸い上げた被害実態を書面として、団体や行政庁に集める仕組み(書面送付制度)。

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)やエホバの証人の2世当事者でつくる「宗教2世問題ネットワーク」の山本サエコさんと高橋みゆきさん(いずれも仮名)らが担当者に手渡した後、国会内で開かれた野党ヒアリングで趣旨を説明した。

高橋さんは書面送付制度が広がり、自身のような被害の実態が多く積み上がれば「常軌を逸した団体に対して、イエローカードを出すことになる。悪いことをしている団体に気づきを与えるための、けん制ができるのではと思っています」と期待を込めた。

●まだ声を上げられない「仲間」のために

新法では禁止行為(4条)や配慮義務(3条)を定めているが、その行為に当たることがあっても報告がなされるかが課題となっていた。ネットワーク監事の阿部克臣弁護士は「主に弁護士が内容証明を送ることが前提となる。消費者庁には周知してほしいし、法務省には法テラスを活用した費用面の措置をお願いしたい」と説明した。

想定しているのは、相談を受けた弁護士が内容証明郵便で、当該団体、行政庁、信者本人の三者に送る制度だ。新法が来年1月5日に施行されるのを控え、年内に間に合わせるために動いたという。山本さんは2日間徹夜し、新法を説明するイラスト入りのチラシも作成した。「法律の文言は難しい。中学生でも分かるようなものにしました。法務省や消費者庁の方に使っていただきたいです」

メンバーもそれぞれ仕事などがあるため、夜にしかオンラインで集まって相談できないという。合間を縫って活動するのは、せっかくできた新法を使えるようにしたいとの思いからだ。

野党ヒアリングに参加した統一教会2世のVTuberもるすこちゃんさんは「教会の解散に向けた情報提供として、書類送付制度が役に立てばいいと思う。現在30代の同世代が多いので、声を上げられなかった人が使える制度になってほしい」と訴えた。

しかし、自分が制度を使うとしても70代の両親には書類は送らないという。「食べるものも削って、世界平和のためと言って献金してきた。50年間かけてきた人生を否定するのは、あまりにも酷です」と説明する。

自身は22歳の時に信者同士の祝福結婚をして、7日間の断食も経験した。生まれた子どもの一人は障害があり、亡くなったという。「統一教会の教義では理解できない。過去の経緯で痛いほど分かったので、正しいことをしていきたいんです」。

●法テラスの費用の要件緩和求める声も

阿部弁護士は、現状でも弁護士が内容証明を送ることはできるが、費用が数万円かかると指摘している。

ヒアリングでは、立憲民主党の長妻昭衆院議員から法務省に対して、被害者が無償で法テラスなどを使えるよう求める場面があった。民事法律扶助制度は原則立て替えで、資力の要件もある。岸田文雄首相が「対策を拡充する」と国会で答弁したことを受け、検討するよう訴えた。

山本さんは、書面を送付する主体として、弁護士だけでなく児童相談所職員や、地域の人なども求めていきたいとしている。「私は5歳くらいの時に『おかしいかも』と思いました。子どもにも使いやすい制度になるよう、ありとあらゆるところに配って周知したい」と話している。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る