439.jpg
「京大発ベンチャー」正社員採用のはずが「雇い止め」された…研究職男性が提訴
2017年09月12日 15時06分

京都大学発のベンチャー企業に、研究開発職の正社員として採用されたにもかかわらず、あとから「有期雇用」の契約社員扱いで雇い止めされたとして、京都市左京区の男性(39)が9月12日、会社を相手取り、正社員としての地位確認と未払い残業代など計約815万円の支払いを求めて、京都地裁に提訴した。

京都大学発のベンチャー企業に、研究開発職の正社員として採用されたにもかかわらず、あとから「有期雇用」の契約社員扱いで雇い止めされたとして、京都市左京区の男性(39)が9月12日、会社を相手取り、正社員としての地位確認と未払い残業代など計約815万円の支払いを求めて、京都地裁に提訴した。

●「助成金を得るための形式なもの」と説明を受けたという

訴状などによると、男性は、「正社員」の求人情報を確認したうえで、断熱材の研究開発をおこなう京大発ベンチャー企業「ティエムファクトリ」に応募した。2016年11月、同社から受け取った採用通知書には、雇用形態は「正社員」で、契約期間は「定めなし」と書かれていた。

男性は同年12月、エアロゲルという化学品の研究開発職として入社したが、その際に示された「労働条件通知書」には、契約期間が「定めあり」とされていた。会社側からは「契約期間ありとなっているが、正社員として入っており、助成金を得るための形式的なものなので、気にしないで」という説明を受けたという。

男性は都内の研究施設に配属されたあと、今年4月から京都市左京区にある研究施設に配属された。そこで、上司から、研究に必要な試薬や備品などの使用を妨害されるなど嫌がらせを受けて、会社代表に是正を訴えたが、その後も上司は耳元で怒鳴るなど、パワハラ行為はエスカレートしていったという。

京都労働局から会社代表に対して、改善を求める電話が入った2日後の5月31日、男性は会社側から「契約満了で雇い止めする」と通告された。

●男性「騙されたいたという思いが強い」

男性の代理人をつとめる塩見卓也弁護士は「(契約社員としての扱いは)本人の自由意志に基づかず、不利益変更に同意したといえない。雇い止めは無効だ」と説明する。また、男性側は、同社の「固定残業手当」の設定や「専門業務型裁量労働制」の導入も無効だとして、未払い残業代などの支払いを求めている。

提訴後に京都市内で会見を開いた男性は「騙されていたという思いが強い。前の会社でも正社員として働いていたので、契約社員を選ぶ理由がない。入社当日に言われたことを信じていたが、パワハラの報復がされたと思う。研究職として仕事ができない状況に追い込まれた点でも裁量労働とはいえないし、納得がいかない」と心境を打ち明けた。

会社側は弁護士ドットコムニュースの取材に「訴状が届いておらず、詳細は答えられない」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る