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検察官・裁判官も「凡ミス」をする 年に数件「非常上告」ってなに?
2019年08月19日 09時59分

有罪が確定した裁判に間違いが見つかった場合、どうなるのだろう。最近、こんな事例があった。

最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)は8月9日付で、罰金を科した略式命令は間違いだったとして、道路交通法違反に問われた10年前の事件(確定は2010年)で、無罪を言い渡した。

この事件では、無免許のまま小型特殊自動車でトレーラーを牽引したとして、罰金25万円の略式命令が確定していた。しかし、小型特殊車には牽引免許は不要。検察官と裁判官が明らかな法律の間違いを犯していたということだ。

今回の判決は「非常上告」という手続きでくだされたもの。年に1件しかないこともある、レアなケースだ。

確定判決の間違いでは、裁判をやり直す「再審」という手続きもあるが、一体どう違うのか。

有罪が確定した裁判に間違いが見つかった場合、どうなるのだろう。最近、こんな事例があった。

最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)は8月9日付で、罰金を科した略式命令は間違いだったとして、道路交通法違反に問われた10年前の事件(確定は2010年)で、無罪を言い渡した。

この事件では、無免許のまま小型特殊自動車でトレーラーを牽引したとして、罰金25万円の略式命令が確定していた。しかし、小型特殊車には牽引免許は不要。検察官と裁判官が明らかな法律の間違いを犯していたということだ。

今回の判決は「非常上告」という手続きでくだされたもの。年に1件しかないこともある、レアなケースだ。

確定判決の間違いでは、裁判をやり直す「再審」という手続きもあるが、一体どう違うのか。

●非常上告、略式命令で多い

両者の違いを大まかに示すと、非常上告は「法令違反」があったとき、再審は「事実認定の誤り」があったときの仕組みだ。

非常上告は、確定した判決に「法令違反」があったとき、最高裁に対して行うことができる。これができるのは、検察官のトップである「検事総長」だけだ(刑事訴訟法454条)。

一方、「再審」ができるのは、証拠に捏造などの問題が判明したり、確定判決が不適切だといえるような新証拠が見つかったりしたときなどだ(同435条)。また、こちらは検察のほか、当事者側も請求できる(同439条)。

裁判所ホームページの「裁判例情報」で「非常上告」を検索したところ、直近の事件の多くは「道交法」の事例のようだ。略式手続となり、弁護士がつかないことが多いため、裁判官も検察の法令違反を見落としてしまうのかもしれない。

刑事事件に詳しい高橋裕樹弁護士は次のようにコメントした。

「特に交通事犯は流れ作業のようになってしまう結果、凡ミスが発生してしまうものと思われます。過去には法定刑を超過した判決や、同一事件について2個の略式命令をしたケースもあるようです。どんなに軽い刑であっても被告人の人生を左右する重大な処分であるということは忘れてはいけません」

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