4460.jpg
交通事故「無保険」で巨額請求のリスク…知っておきたい「自動車保険」の仕組み
2017年02月15日 10時00分

新生活に向けて、自動車の免許を取ろうとする人が増える時期です。車はあると便利ですが、万一事故を起こしてしまうと、一生を棒に振るような大きな責任を負う可能性もあります。

弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、任意保険に入っていない「無保険」で事故を起こした人からの相談が多数寄せられています。

あるドライバーは、T字路で左折しようとしたところ、高齢者と接触。スピードはほとんど出ていなかったのに、手首や足の付け根などを骨折させてしまったそうです。任意保険に入っていないため、治療費がどのくらいになるか、不安な思いをしているそうです。

自動車保険にはどのようなものがあるのか、また保険に入っていないことで、どんなリスクがあるか、吉山晋市弁護士に聞きました。

新生活に向けて、自動車の免許を取ろうとする人が増える時期です。車はあると便利ですが、万一事故を起こしてしまうと、一生を棒に振るような大きな責任を負う可能性もあります。

弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、任意保険に入っていない「無保険」で事故を起こした人からの相談が多数寄せられています。

あるドライバーは、T字路で左折しようとしたところ、高齢者と接触。スピードはほとんど出ていなかったのに、手首や足の付け根などを骨折させてしまったそうです。任意保険に入っていないため、治療費がどのくらいになるか、不安な思いをしているそうです。

自動車保険にはどのようなものがあるのか、また保険に入っていないことで、どんなリスクがあるか、吉山晋市弁護士に聞きました。

●自賠責は「物損」などに未対応、賠償金を払いきれない可能性も

自動車保険は大きく分けると、強制加入の自賠責保険と、任意保険があります。自賠責保険に未加入で車を運転した場合には、たとえ事故を起こさなくても「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処せられます。

自賠責保険は、他人を死亡させたり、けがを負わせたりした場合に適用されるので、「物損」には適用されませんし、運転者自身のけがにも適用されません(ただし、同乗者は「他人」に該当するので適用されます)。

保険金額は、死亡3000万円、傷害120万円、後遺障害等級に応じて75万円~4000万円ですが、被害者の方に重篤な後遺障害が残ってしまうと、将来の介護費用、逸失利益や慰謝料により、数千万円から億単位の損害賠償責任を負うことがあります。そうすると、自賠責保険の保険金だけでは到底、払いきれないことになります。

●借りた車でも「特約」があれば、自分の保険を使える

そこで、「任意保険」への加入が必要になります。任意保険の主な内容は、「対人」賠償保険と「対物」賠償保険です。

対人賠償保険は、被害者の治療費や逸失利益、慰謝料などをカバーするもので、上記のとおり賠償金額が高額になる可能性があることからも、保険金額は「無制限」にされることをお勧めします。また、対物賠償保険も、自賠責保険は適用されませんので、保険金額は「無制限」にされる方が多いでしょう。

任意保険にはいろんな「特約」があります。たとえば、友人などから車を借りたときに適用される「他車運転特約」です。これは、保険会社の適用条件を満たせば、友人など他人から車を借りて運転中に事故を起こした場合に、他人の自動車保険より優先して自分の自動車保険から保険金が支払われる特約です。また、旅行などでグループや家族でレンタカーを借りるときも、一般的な自家用車種であれば、他車運転特約の対象になります。

他の特約としては、ご自身が事故の被害に遭った時に役立つ「弁護士費用特約」というものもあります。事故による損害賠償の示談交渉などを弁護士に依頼する際に、任意保険会社が弁護士費用を負担してくれるものです(ただし、上限があります)。

無保険のまま車を運転して、ましてや事故を起こしてしまうと多額の損害賠償責任を負い、場合によっては「差し押さえ」をされるリスクもあります。自分は大丈夫と過信せず、きちんと保険に加入して、安全運転を心がけ、カーライフを楽しんでいただきたいと思います。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る