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中学受験、親を悩ます入学金問題「行かない学校に30万円」 子の合格に複雑な思いも
2022年01月10日 09時41分

新型コロナウイルスの「オミクロン株」の感染拡大が懸念される中、首都圏の中学受験は本格的なシーズンに突入した。それと同時に、小さな背中で必死に頑張る子どもの保護者たちの併願作戦、そして受験費用をめぐる親の緊張感も高まってきている。

大学受験とは異なり、浪人という選択肢のない中学受験。合格発表後、一定期間内に支払わなくてはいけない併願校の入学金を「実際には行かなくても支払うべきなのか…」と、保護者たちは頭を悩ませているのだ。

新型コロナウイルスの「オミクロン株」の感染拡大が懸念される中、首都圏の中学受験は本格的なシーズンに突入した。それと同時に、小さな背中で必死に頑張る子どもの保護者たちの併願作戦、そして受験費用をめぐる親の緊張感も高まってきている。

大学受験とは異なり、浪人という選択肢のない中学受験。合格発表後、一定期間内に支払わなくてはいけない併願校の入学金を「実際には行かなくても支払うべきなのか…」と、保護者たちは頭を悩ませているのだ。

●「すべり止めの星」栄東には7000人超の出願

例年、茨城県の一部の中学、地方校の東京入試はすでに始まっているが、1月10日に埼玉県内の中学受験が解禁。その後に千葉県、2月1日から東京・神奈川の入試がスタートする流れとなっている。

2月の東京・神奈川の本命校受験を前に例年、試験慣れのために1月開催の埼玉、千葉、地方校の東京会場入試にも多くの首都圏受験生が集まる。

「受験生といっても、まだ11、12歳。2月1日に始まる本命校の入試を前に、試験慣れ、会場慣れするため、また合格という安心を得るため、1月の前受け校を受験するよう生徒たちには勧めています。偏差値や過去問傾向、入試会場などを判断基準に、受験生たちは併願校を決めていきます」(大手塾の社員)

「すべり止めの星」とも称され、毎年、多くの受験生を集める栄東(埼玉)には1月10日、1月11日のA日程だけで、実に7000人超が出願する(1月7日現在)。

●「入学金を出し渋って合格を易々と捨てられない」

しかし悩ましいのが、本命校の前に、第2志望以下の合格を手にした場合だ。私立の学校では、入学時に支払うお金は主に入学金と授業料に分けられる。この内、入学金は入学前に、授業料は入学後に一括、あるいは分割で納入する形式が多い。

ここで問題となってくるのが、入学金の納入期限だ。

「学校によっては2月の本命校の合否を待ってくれますが、1月中に入学金の全額、もしくは一部を納入する学校も珍しくありません。一部を延納してくれても、延納期限によっては本命校の結果を待たずに全てを納める必要があるので悩ましい」(小6受験生の保護者)

たとえば、前述した栄東の納入期限は、東京受験の結果がほぼすべて出揃った後の2月7日だが、埼玉や千葉では多くの学校が1月中、入学手続き時に一部納入を認める学校でも完納締切は2月3日となるケースは多い。

「住まいによっては埼玉、千葉の学校も通学範囲ですし、進学実績など魅力のある学校も多い。もし2月に全落ちした場合、1月受験校に進学する可能性もありますから、入学金を出し渋って合格を易々と捨てることもできません」(同)

●「入学金だけで約90万円を支払いました」

1月受験だけではない。2月試験では、合否が当日もしくは翌日に判明するため、その結果をみながら受験生はパズルのように併願校を組み直していく。このとき、偏差値や倍率、受験生本人の意向もふまえて決定する極めて難度の高い親のミッションとなる。

受験しない人間からすれば「受験料や入学金の納入期限をみて、併願校を決めればいい」と思ってしまいがちだが、受験するのも、実際に6年間通うのも受験生だけに、親としては本人の意思を最大限に尊重する他ない。

2年前に息子を中学受験させた保護者の場合、入学金だけで約90万円支払ったという。

「2月受験校は子ども本人の意思を最大限に尊重しました。第1志望校は塾の持ち偏差値よりプラス3だったため、抑えで相応校、安全校を2校ずつ受験。結果的に第1志望の2回目日程で合格をいただけたのですが、それまでに1月校、2月の第2志望、第1志望をあわせて3校分、約90万円を支払いました。これに受験料を加算すると100万を超えましたね…」

ある塾関係者は「スピード感ある対応を求められるケースもある」と話す。

「学習院中等科は、2月2日試験当日の20時に合格発表。翌3日16時までに入学金30万円を納めなければいけない。学習院が第2、第3志望のご家庭では、仮に3日以降に本命校の発表があっても、3日に納めているようです」

●大学の入学金返還、最高裁は「入学金は返還されない」

とはいえ、教育費は中学入学後も必要だ。そのための軍資金として、入学金を返還してもらえるなら、それに越したことはない。

しかし結論からいえば、よほどの不当に高額な入学金でもない限り(現状では、その可能性がある学校はなさそうだが)、入学金は返還されなくてもいいと考えられている。

というのも、大学の入学金、授業料の返還を求めた訴訟が相次いだ際、最高裁は2006年に「入学金は返還されないが、授業料は返還される」との判断を示しているからだ。(詳細は最高裁のサイトに掲載)

入学しない学校に入学金を支払ったことのある中学受験経験の保護者に聞くと「その学校に対する寄付金だと思っています」「1校でも合格できた、2月に全落ちしても通える学校があることは親子にとって大きな安心材料だった」と、それなりに納得はしているようだった。

受験では入学金だけでなく、出願だけで受験しなかった併願校の受験料(1校あたり1万5000円〜3万円)が戻ってこない問題もある。入学金や受験料の支払いのシミュレーションをふまえた併願校選びこそ、親の腕の見せ所とも言えるかもしれない。

もちろん、2月まで入学金納入を待ってくれる1月受験校の合格を抑えたうえで、2月1日初日に早々と合格を得る家庭もある。ただそんな親の思い通り、計画通りにならないのが受験、育児の醍醐味でもあるのだろう。

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