4542.jpg
知人や子どもから「殺されるかも・・・」と告白されたら「通報」する義務がある?
2015年02月27日 11時18分

川崎市の多摩川河川敷で、中学1年生の上村遼太さん(13)が殺害された事件。警察による捜査が進められているが、上村さんは以前から、ひどい怪我を負わされるなど、交友関係の中でなんらかのトラブルに巻き込まれていたとみられる。

一方で、同級生たちは、上村さんの目の周りの青黒いあざや他校の年上学生とのトラブルに気づいていた。また、上村さんは友人に対し「殺されるかもしれない」と漏らしていたとの悲痛な証言もある。

一般論として、もし知人や子どもから「殺されるかもしれない」と告白されたり、明らかに命の危険がありそうなトラブルに巻き込まれていることを知った場合、私たちには「通報の義務」があるのだろうか。刑事事件にくわしい星野学弁護士に話をきいた。

川崎市の多摩川河川敷で、中学1年生の上村遼太さん(13)が殺害された事件。警察による捜査が進められているが、上村さんは以前から、ひどい怪我を負わされるなど、交友関係の中でなんらかのトラブルに巻き込まれていたとみられる。

一方で、同級生たちは、上村さんの目の周りの青黒いあざや他校の年上学生とのトラブルに気づいていた。また、上村さんは友人に対し「殺されるかもしれない」と漏らしていたとの悲痛な証言もある。

一般論として、もし知人や子どもから「殺されるかもしれない」と告白されたり、明らかに命の危険がありそうなトラブルに巻き込まれていることを知った場合、私たちには「通報の義務」があるのだろうか。刑事事件にくわしい星野学弁護士に話をきいた。

●教員や上司には「通報義務」があるケースも

「『殺されるかも・・・』と告白されても、告白を聞いた人がどこかに必ず通報しなければならないという法的義務があるわけではありません。もっとも、誰も何もしなくて良いというわけではなく、告白を聞いた人に通報義務が生じる場合もあるでしょう」

どんなケースで通報義務が生じるのか?

「一般論ですが、告白者の立場や、殺される可能性・危険性を示す具体的事情、そして、それを聞いた人の立場などから、個別具体的に検討する必要があると思います。

友人が冗談っぽく『早く帰らないと女房に殺されちゃうよ』と言うのを聞いた場合、これを放置しておいても問題ないことは明らかでしょう。

しかし、学校の教員や職場の上司は、警察・病院に通報せず、そのまま放置したことで保護責任者遺棄罪(刑法218条)に問われたり、損害賠償の義務が生じることもあるでしょう

たとえば、部活の先輩から何度も集団暴行を受けてけがをしている子どもの告白を聞いた場合や、工場や作業現場など危険な場所で、同僚からのいじめにより何度も危険な目に遭わされているという従業員の告白を聞いたようなケースです」

このような場合、告白を聞いた側は、通報しないことで責任を問われる可能性があるという。

●児童虐待の告白を受けたら・・・

では、満18歳に満たない子どもから「虐待の告白」を受けたら、どうするべきか?

「告白者が満18歳に満たない子どもであって、告白者が誰かから虐待を受けていると判断できるような場合、告白を聞いた人は、児童福祉法25条および児童虐待の防止に関する法律第6条により、市町村、福祉事務所および児童相談所に通告する義務があります」

通報をしないことへの罰則はないそうだが、放置して良いわけでもない。星野弁護士は最後にこう語った。

「児童虐待に関する通報は、国民の全員に義務付けられています。『愛の反対は憎しみではない。無関心である』と言われることがあります。子どもが不自然なケガをしていて助けを求めているような場合、私たちには、これを放置せず救いの手をさしのべる勇気が求められているといって良いでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る