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日大会見に残る疑念 澤田副学長の説明、同じ元検事はどう見た?
2023年08月09日 18時43分
#日本大学

日本大学アメフト部の現役部員が逮捕された違法薬物問題で、林真理子理事長らが8月8日に記者会見で説明した「大学の対応」は首をかしげさせるものだった。

責任者として対応にあたった元検事・澤田康広副学長らは警察から「調査は大学に委ねる。犯罪事実があれば自首してほしい」と言われたと説明したが、TBSなどの報道によると、警察側は否定しているという。

「隠蔽ではないか」とする問いかけは、記者会見でも投げかけられ、大学側は否定したが、結果的にその疑念を払しょくはできなかったと言えそうだ。大学側の対応はどこがまずかったのか。「もみ消しの疑念」や「矛盾点」を元検事の落合洋司弁護士が指摘する。

日本大学アメフト部の現役部員が逮捕された違法薬物問題で、林真理子理事長らが8月8日に記者会見で説明した「大学の対応」は首をかしげさせるものだった。

責任者として対応にあたった元検事・澤田康広副学長らは警察から「調査は大学に委ねる。犯罪事実があれば自首してほしい」と言われたと説明したが、TBSなどの報道によると、警察側は否定しているという。

「隠蔽ではないか」とする問いかけは、記者会見でも投げかけられ、大学側は否定したが、結果的にその疑念を払しょくはできなかったと言えそうだ。大学側の対応はどこがまずかったのか。「もみ消しの疑念」や「矛盾点」を元検事の落合洋司弁護士が指摘する。

⚫️「もみ消し」の疑念が残る対応

【対応の疑問・その1】記者会見での説明によると、昨年11月に大麻使用を自己申告した部員について、部は警察署に届けず、警察関係者から「立証困難」という判断を受けて、厳重注意にしたという。なお、共同通信によると、警察関係者は「立証困難」とは伝えず、警察に相談するよう促したとされる。

落合弁護士:現在、大麻取締法で使用罪は処罰されていませんが、使用する前提として、処罰対象になっている大麻の入手や所持が先行している以上、今後の再犯を防止するためにも、警察による捜査をきちんと受けておく選択肢もあったでしょう。

「立証困難」という警察関係者の判断も、どのレベルでどこまで事情を把握してされたものか不明で、不透明感が強く残ります。

ありのままの情報を警察に提供せず、立件されない方向でつまんだ情報を恣意的に提供して、事件としては「もみ消した」のではないかという疑念が残る対応だったと感じます。

【対応の疑問・その2】記者会見によると、今年7月に警察からの情報提供を受けて、大学が自主的に調査したところ、今回の事件の大麻・覚醒剤成分検出の錠剤が見つかったという。副学長は「明らかに大麻とはわからなかった」としながら「大麻かもしれないという認識で持ち帰った」と説明。さらに、その時点で警察署には報告せず、12日間にわたる部員へのヒアリングを実施した。なお、TBSなどによれば、警視庁が大学側に自首を促すよう依頼した事実はないという。

落合弁護士:大学側が証拠物を入手した時点で、正確にそれが何かはわからなくても、大麻や覚醒剤といった違法な薬物ではないかという疑いは持てたはずです。そうである以上、もはや警察に届け出ずに済ませる選択肢はなかったと言えるでしょう。

大学側は記者会見で「教育的配慮」を強調していましたが、教育的配慮で済ませられる状態にはもはやなかったと言えます。

日時が経過することで、口裏が合わせられたり、証拠が処分されたりするおそれが高まります。薬物事件では、使用罪の立証のための尿検査を速やかにおこなう必要もあります。漫然と日時が経過することが立証を困難にすることも、特に検事経験のある副学長には容易に理解できたはずです。

犯人隠避、証拠隠滅の意図があったと言われても仕方なく、そういった意図がなかったとしても、全体として、そのような効果を生じさせる、極めて不適切な対応だったと思います。

⚫️大学の説明には「矛盾」がある

【対応の疑問・その3】今回のようなケースで、12日間後に出頭したとして「自首」になるのか。

落合弁護士:刑法上の自首は、警察が事件や犯人を察知するより前に、自発的に犯罪事実を申告し、処罰を委ねることで成立します。警察からの情報提供や大学への相談により、犯人が誰かまで警察が推察できていたならば、その後に出頭しても法律上の自首は成立しなかったことになります。

記者会見で、大学側は、捜査機関ではないことを強調していましたが、そうであれば調査して犯人を特定するのは大学ではなく捜査機関の役割であり、自首させるためと称して事情聴取を繰り返していた大学側の対応には大きな疑問があり、説明に矛盾があると思います。

【対応への全体的な評価】大学の対応について「隠蔽」という指摘がされている。大学の姿勢はどうあるべきだったのか。

落合弁護士:隠蔽の意図があったかどうかは不明ですが、警察への通報が遅れたことで、隠蔽の外形が生じたことは事実で、大学側の対応の不適切さは非難されても仕方がないでしょう。

記者会見で、講じた措置の正当性を、不自然、不合理なまま、頑なに主張する姿勢が目立ち、国民の理解を得にくいものであるという印象があります。特に、副学長については、上から目線の不遜な態度が目立ち、こういった記者会見への対応として失敗している印象があり、残念に思いました。

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