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コインパーキングで駐車券をなくしたら「2万円請求」…支払わなくちゃいけない?
2017年02月12日 10時16分

コインパーキングの精算で必要な「駐車券」を紛失してしまったーー。誰にでも起こりうるうっかりミスだが、その際にコインパーキング業者から高額な料金の請求を受けるトラブルが頻発しているという。

国民生活センターによると、コインパーキングの駐車券を紛失してしまったため、精算機の「紛失した場合はこちらへ」と書かれたボタンを押したところ、2万円請求されたという事例があったという。無人の駐車場で、支払わないことには車をだすことができず、急いでいたので仕方なく2万円を支払ったが、実際の利用時間は30分にも満たず、本来の料金は100円とのこと。

短時間の利用であるにもかかわらず、1日分の駐車料金をもはるかに超える金額を支払わなければならないのだろうか。もしこのような事態になってしまった場合、どうすればいいのか。消費者問題に詳しい大村真司弁護士に聞いた。

コインパーキングの精算で必要な「駐車券」を紛失してしまったーー。誰にでも起こりうるうっかりミスだが、その際にコインパーキング業者から高額な料金の請求を受けるトラブルが頻発しているという。

国民生活センターによると、コインパーキングの駐車券を紛失してしまったため、精算機の「紛失した場合はこちらへ」と書かれたボタンを押したところ、2万円請求されたという事例があったという。無人の駐車場で、支払わないことには車をだすことができず、急いでいたので仕方なく2万円を支払ったが、実際の利用時間は30分にも満たず、本来の料金は100円とのこと。

短時間の利用であるにもかかわらず、1日分の駐車料金をもはるかに超える金額を支払わなければならないのだろうか。もしこのような事態になってしまった場合、どうすればいいのか。消費者問題に詳しい大村真司弁護士に聞いた。

●消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項」として無効である可能性も

「通常、コインパーキングに掲示された規約で駐車券を紛失した場合の料金が定めてあります。

この相談事例は不合理に感じますが、利用時間が本当に30分だったか証明できない場合もあるでしょうし、紛失したと嘘を言って実際より短い時間を申告しようとする人もいないとは限りませんから、そのような規約を定めてはいけないということでもありません」

では、駐車券をなくしてしまったら、規約に定められているとおりの料金を支払うしかないのか。

「消費者契約法10条は、消費者の利益を一方的かつ極端に害する条項は無効になると定めています。したがって、消費者がコインパーキングを利用するときで、規約に定められた料金が法外に高額な場合には無効になります。

つまり、利用実態からかけ離れたあまりに高額な料金を定める規約は、無効であるとして支払いを拒むことができると考えられます」

具体的には、どのような条項だと無効になるのだろうか。

「コインパーキング業者は、利用実態に相当程度沿った料金の請求ができるにとどまると考えるべきでしょう。そのためには、ある程度柔軟に対応できる規約でなければならず、例えば相談事例のような一律2万円の請求を定める条項は無効とされる可能性が高いと思います。

特に、1日の最大料金が定められているような駐車場では、2万円は何日分にも相当すると考えられ、法外に高額と判断されやすいでしょう」

駐車券をなくしてしまった利用者がとれる対策として、どのようなことが考えられるのか。

「駐車場の利用時間をできる限り証明し、その時間に応じた駐車料金の支払いとしてもらえるよう交渉することが考えられます。駐車場の同区画の利用記録などから、ほかの車が駐車していた時間を割り出し、利用開始時間をある程度特定できるケースもあるでしょうし、管理人が見回りに来ているというケースもあるでしょう。業者の手持ちデータも調査してもらうなどして、実態に合った額となるよう交渉すべきです」

大村弁護士はこのようにアドバイスしたうえで、次のようにつけ加えた。

「しかし、コインパーキングは通常無人式で、コインパーキング業者の要求する料金を支払わないとそもそも出庫できず、対等に交渉することが難しいという問題があります。いったん支払ってしまうと、業者は容易には任意での返金に応じないでしょうから」

コインパーキングには、緊急連絡先等の電話番号が掲示されている。駐車券をなくしてしまっても諦めずに、料金支払いの前にまずは電話をかけ、交渉の余地を探るべきだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

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