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首都圏で相次ぐ強盗事件 反撃して犯人死なせても「正当防衛」認められる?
2024年10月19日 08時43分
#正当防衛 #闇バイト #首都圏強盗 #強盗に反撃

首都圏を中心に、住宅を狙った強盗事件が相次いで発生している。捜査機関は、「闇バイト」を実行役として各地で発生している強盗事件との関連も調べているようだ。

10月16日には、横浜市青葉区で高齢の住人男性が殺害される強盗殺人事件が起きた。

翌17日には千葉県市川市で、3人組が住宅の窓ガラスを割って侵入し、金品などを盗んで室内を荒らしたほか、住人の女性(50)を連れ去ったとされる事件が発生。女性はその後保護されたもののケガを負っていたと報じられている

報道によると、この事件で逮捕された被疑者男性の指紋が、16日の強盗殺人事件(横浜市青葉区)の現場で見つかった指紋と一致したという。

住人に危害を加えることもためらわない強盗は凶悪犯罪というほかない。住人が押し入ってきた強盗犯に出くわしたら、身を守るためにとっさに武器を持って応戦することもありえそうだが、もし応戦して強盗犯を死亡させてしまった場合でも罪に問われるのだろうか。刑事事件にくわしい澤井康生弁護士に聞いた。

●強盗犯に対する「正当防衛」には特別規定がある

——自分の身を守るための行為で強盗犯を死亡させた場合でも犯罪になるのでしょうか。

強盗事件の場合は、「刑法上の正当防衛」と「盗犯等防止法上(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律)の正当防衛」が成立する可能性があります。

刑法上の正当防衛は、急迫不正の侵害に対して、必要性(不正の侵害を排除するのに必要であること)・相当性(社会通念上防衛行為としての妥当性が認められること)のある防衛行為を行った場合に成立します。

成立した場合、その防衛行為は違法ではない(適法となる)として、犯罪には当たらず、処罰もされません。

必要性や相当性が認められるためのハードルは高く、正当防衛が成立するのはレアケースといっていいほどです。

たとえば、相手が素手で殴りかかってきたのに対し、こちらが刃物で応戦した場合には相当性が欠けるので、原則として正当防衛は成立しません。

もっとも、相当性が欠ける、すなわちやり過ぎでしまったというような場合でも過剰防衛が成立し得ます。過剰防衛の場合、犯罪自体は成立しますが、刑は減刑または免除されることがあります。 

——「盗犯等防止法上の正当防衛」はどう違うのでしょうか。

盗犯等防止法1条1項は、窃盗犯や強盗犯から自分の身を守るために防衛行為を行った場合、犯人を殺傷したとしても正当防衛が成立することを定めています。

さらに同条2項は、被害者に現在の危険が差し迫っていなくても恐怖や驚愕、狼狽で犯人を殺傷してしまった場合であっても罰しないと規定しています。

刑法上の正当防衛は防衛行為の相当性が厳格に求められるのに対して、盗犯等防止法の正当防衛は相当性の要件が緩和されていると考えられています(最高裁平成6年6月30日判決)。

窃盗犯や強盗犯に遭遇した状況において自分の身を守るために行き過ぎた反撃をしてしまった場合に、特別に正当防衛の成立を認めやすくした規定なのです。

とはいえ、誰が見ても「いくらなんでもそれはやり過ぎだよね」と思われる防衛行為を行って犯人を殺傷した場合には盗犯等防止法上の正当防衛は成立せず、過剰防衛の成立にとどまることになります。

首都圏を中心に、住宅を狙った強盗事件が相次いで発生している。捜査機関は、「闇バイト」を実行役として各地で発生している強盗事件との関連も調べているようだ。

10月16日には、横浜市青葉区で高齢の住人男性が殺害される強盗殺人事件が起きた。

翌17日には千葉県市川市で、3人組が住宅の窓ガラスを割って侵入し、金品などを盗んで室内を荒らしたほか、住人の女性(50)を連れ去ったとされる事件が発生。女性はその後保護されたもののケガを負っていたと報じられている

報道によると、この事件で逮捕された被疑者男性の指紋が、16日の強盗殺人事件(横浜市青葉区)の現場で見つかった指紋と一致したという。

住人に危害を加えることもためらわない強盗は凶悪犯罪というほかない。住人が押し入ってきた強盗犯に出くわしたら、身を守るためにとっさに武器を持って応戦することもありえそうだが、もし応戦して強盗犯を死亡させてしまった場合でも罪に問われるのだろうか。刑事事件にくわしい澤井康生弁護士に聞いた。

●強盗犯に対する「正当防衛」には特別規定がある

——自分の身を守るための行為で強盗犯を死亡させた場合でも犯罪になるのでしょうか。

強盗事件の場合は、「刑法上の正当防衛」と「盗犯等防止法上(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律)の正当防衛」が成立する可能性があります。

刑法上の正当防衛は、急迫不正の侵害に対して、必要性(不正の侵害を排除するのに必要であること)・相当性(社会通念上防衛行為としての妥当性が認められること)のある防衛行為を行った場合に成立します。

成立した場合、その防衛行為は違法ではない(適法となる)として、犯罪には当たらず、処罰もされません。

必要性や相当性が認められるためのハードルは高く、正当防衛が成立するのはレアケースといっていいほどです。

たとえば、相手が素手で殴りかかってきたのに対し、こちらが刃物で応戦した場合には相当性が欠けるので、原則として正当防衛は成立しません。

もっとも、相当性が欠ける、すなわちやり過ぎでしまったというような場合でも過剰防衛が成立し得ます。過剰防衛の場合、犯罪自体は成立しますが、刑は減刑または免除されることがあります。 

——「盗犯等防止法上の正当防衛」はどう違うのでしょうか。

盗犯等防止法1条1項は、窃盗犯や強盗犯から自分の身を守るために防衛行為を行った場合、犯人を殺傷したとしても正当防衛が成立することを定めています。

さらに同条2項は、被害者に現在の危険が差し迫っていなくても恐怖や驚愕、狼狽で犯人を殺傷してしまった場合であっても罰しないと規定しています。

刑法上の正当防衛は防衛行為の相当性が厳格に求められるのに対して、盗犯等防止法の正当防衛は相当性の要件が緩和されていると考えられています(最高裁平成6年6月30日判決)。

窃盗犯や強盗犯に遭遇した状況において自分の身を守るために行き過ぎた反撃をしてしまった場合に、特別に正当防衛の成立を認めやすくした規定なのです。

とはいえ、誰が見ても「いくらなんでもそれはやり過ぎだよね」と思われる防衛行為を行って犯人を殺傷した場合には盗犯等防止法上の正当防衛は成立せず、過剰防衛の成立にとどまることになります。

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