4787.jpg
クマだけじゃない… 北海道で「エゾシカ」からむ交通・鉄道事故が増加、昨年は過去最多
2023年11月30日 10時09分
#シカと衝突 #交通事故 #鉄道事故

シカと衝突――。今年はクマによる被害が注目されましたが、野生動物が自動車や鉄道と衝突する事故も増えています。たとえば、北海道のエゾシカです。

北海道警によると、2022年に発生したエゾシカにからむ交通事故は、4480件で、2004年に調査を開始して以来、過去最多となっています。

実際に衝突すれば、双方に大きな被害が発生します。弁護士ドットコムの公式LINEに寄せられた体験談から、エゾシカのエピソードを紹介したいと思います。

シカと衝突――。今年はクマによる被害が注目されましたが、野生動物が自動車や鉄道と衝突する事故も増えています。たとえば、北海道のエゾシカです。

北海道警によると、2022年に発生したエゾシカにからむ交通事故は、4480件で、2004年に調査を開始して以来、過去最多となっています。

実際に衝突すれば、双方に大きな被害が発生します。弁護士ドットコムの公式LINEに寄せられた体験談から、エゾシカのエピソードを紹介したいと思います。

⚫️対向車線を向かってくるエゾシカの群れ

「生きた心地がしませんでした」

そう振り返るのは、北海道在住の女性(50代)です。10年ほど前の秋の夜、勤め先から帰宅中にエゾシカの群れと遭遇したといいます。

自動車を運転していた女性は、対向車線から、エゾシカ3頭が女性のほうに向かってくるのが見え、あわてて停車したそうです。

「車中なのに、通りから振動が伝わってきました。真っ暗な中、シカたちの目が赤く光り、とにかく刺激しないように横を通り抜けるのを待ちました」

エゾシカは、最大で体長190センチ、体重150キロとなり、衝突すれば生死に関わります。

北海道では、エゾシカに絡む交通事故が過去最多を更新していますが、2022年には、シカを避けようとしてガードロープに衝突したことなどが原因による死亡事故が2件もありました。

車体への被害も大きいです。日本損害保険協会北海道支部は、エゾシカとの衝突事故が増える10月〜11月に毎年、事故による車両保険支払い状況を調べています。

調査によると、2022年10月〜11月は約1000件で、支払い保険金額は約6億円となっています。2016年以降、支払い規模は大幅に増加しています。

国交省北海道開発局では「エゾシカ衝突事故マップ」を作成し、衝突防止のために、早朝や夕方の飛び出した多いことや、1頭目が出たら2頭目、3頭目も飛び出してくることなどに注意して、スピードダウンして運転するよう呼びかけています。

⚫️エゾシカと列車の事故は過去最多を更新

自動車事故だけでなく、鉄道との衝突も深刻です。

「電車とシカが衝突すると、学校や職場に遅れてしまうので大変です。ぶつかってしまったシカもかわいそうではあるのですが…」

北海道の北部に住む女性(50代)はそう話します。

JR北海道によると、年々増加傾向にあるエゾシカと列車の事故は、2022年には2881件と過去最多となりました。JR北海道では、特に影響の大きな区間で、沿線にエゾシカの侵入を防ぐ冊を設置していますが、完全に防ぐことはできないとのことです。

また、北海道ではエゾシカによる人間社会への被害が深刻化していることから、2014年に「北海道エゾシカ対策推進条例」を制定し、個体数の管理などさまざまな対策を進めています。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る