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<新国立競技場>安藤忠雄氏は「ラグビーW杯」と「森喜朗古墳」の関係をどう考える?
2015年07月16日 15時41分

巨額の建設費に非難が集中している新国立競技場をめぐって、建築デザインの審査委員会の委員長をつとめた建築家の安藤忠雄氏が7月16日、東京都内で記者会見を開いた。その際に配布した文書の中で、安藤氏は「2019年のラグビーワールドカップ」も考慮したデザイン案だったことを明らかにした。新国立競技場の建設計画に、ラグビーワールドカップの影響はどれくらいあったのだろうか。

巨額の建設費に非難が集中している新国立競技場をめぐって、建築デザインの審査委員会の委員長をつとめた建築家の安藤忠雄氏が7月16日、東京都内で記者会見を開いた。その際に配布した文書の中で、安藤氏は「2019年のラグビーワールドカップ」も考慮したデザイン案だったことを明らかにした。新国立競技場の建設計画に、ラグビーワールドカップの影響はどれくらいあったのだろうか。

●「森喜朗古墳」というニックネームが登場

2020年の東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場に対しては、建設費が当初の予算より大幅に膨れ上がっているため、計画の見直しを求める声が強まっている。しかし、その最大のハードルになっているのが、工期(スケジュール)の問題だ。

もし仮に、建設計画を見直すと、2019年のラグビーワールドカップに競技場完成が間に合わない可能性があるという。そのため、今年6月まで日本ラグビー協会会長をつとめていた東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、見直しに反対するのではないかと言われている。

報道によると、森会長は7月上旬の講演会でも「競技場を2020年五輪のレガシー(遺産)として残したい」と発言した。こうしたことから、インターネット上では、森会長を皮肉って、新国立競技場のことを「森喜朗古墳」「森喜朗記念競技場」などといったニックネームで呼ぶ人も現れている。ツイッターでは「#森喜朗古墳」というハッシュタグがついた投稿が数多くされている。

●「オリンピックもラグビーも両方あったらいいんじゃないか」

この日会見を開いた安藤氏は、建築家のザハ・ハディド氏によるデザインを採用するにあたって中心的な役割を果たした。その会見で記者たちに配布された資料には「2019年ラグビーワールドカップを見据えたタイトなスケジュールが求められた」と書かれていた。

そこで、弁護士ドットコムニュースの記者が会見で、「ラグビーワールドカップと森会長の影響はどうだったのか?」「森喜朗古墳という呼び名をどう思うか?」と質問したところ、安藤氏は苦笑いしながら、次のように述べるにとどまった。

「まずは、オリンピックで考えていました。(当時)ラグビーワールドカップがあることも知っていました。ネーミングについては近ごろあちこちから聞こえてきますが、その当時は全然そういうことは聞こえていません。よく考えてみると、もし、できるんだったら、オリンピックもラグビー(ワールドカップ)も両方あったらいいんじゃないかと思っています。それが問題になるのかどうかは、私はわかりません」

●「ラグビーワールドカップに間にあわせる」

安藤氏の会見後には、新国立競技場の発注者である独立行政法人・日本スポーツ振興センター(JSC)の鬼澤佳弘理事が報道陣の取材に応じた。鬼澤理事は「(新国立競技場の)公募要項には『工事が2015年10月がスタートして、42カ月で完成する』とあった。その前提で進めば、ラグビーワールドカップに間に合うよう設定されていたのは事実だ」と述べた。

記者から「最も大事なことは、ラグビーワールドカップに間に合わせることか?」と問われると、鬼澤理事は「JSCとしては、ラグビーワールドカップに間にあわせること」と回答した。そのうえで「コストを下げられるのかが問題だ。工期がいつまでにということは、私どもで判断できることではない」と述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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