4821.jpg
「髪の毛入ってる」 ラーメン店に現れた「自作自演男」の所業、防犯カメラは見ていた…どんな罪に問われる?
2024年11月29日 10時24分

東京・渋谷区のラーメン店で「髪の毛が入っている」とうったえる男性客が現れた。しかし、店の防犯カメラには、自分の髪の毛を入れているような行動が映っていた。

トラブルにあった「辛麺華火渋谷店」の店長は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、この客は数カ月前にも「ゴミが入っていた」などとクレームを入れてきた人物だと明かした。当時は飲食代を受け取らなかったという。

しかし、11月20日、再びクレームがあった。髪の毛の混入を指摘された店側が「前もあって2回目ですよね」と"自作自演"を指摘すると、男性は退店したという。ラーメンはほぼ食べ終えた状態だったそうだ。

店は防犯カメラの映像をXに投稿。「カメラを確認したところ自ら異物を混入させておりました」と注意喚起した。

さらに「カスタマーハラスメントは許せない」として警察にも相談しているが、このような行為は「カスハラ」ではなく、犯罪ではないのだろうか。吉田要介弁護士に聞いた。

東京・渋谷区のラーメン店で「髪の毛が入っている」とうったえる男性客が現れた。しかし、店の防犯カメラには、自分の髪の毛を入れているような行動が映っていた。

トラブルにあった「辛麺華火渋谷店」の店長は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、この客は数カ月前にも「ゴミが入っていた」などとクレームを入れてきた人物だと明かした。当時は飲食代を受け取らなかったという。

しかし、11月20日、再びクレームがあった。髪の毛の混入を指摘された店側が「前もあって2回目ですよね」と"自作自演"を指摘すると、男性は退店したという。ラーメンはほぼ食べ終えた状態だったそうだ。

店は防犯カメラの映像をXに投稿。「カメラを確認したところ自ら異物を混入させておりました」と注意喚起した。

さらに「カスタマーハラスメントは許せない」として警察にも相談しているが、このような行為は「カスハラ」ではなく、犯罪ではないのだろうか。吉田要介弁護士に聞いた。

●「業務妨害罪」が検討される。もし「無料」を迫ったりしたら「詐欺罪」が検討される

——自らの髪の毛を入れたうえで大声で脅すような横暴な行為は、どんな罪に問われる可能性がありますか

そのような行為は、店員の自由意志を制圧するに足るものといえ、威力業務妨害罪(刑法234条)の「威力」にあたり、お店の業務を「妨害」するものですので、威力業務妨害罪が成立すると思われます。

そもそも、自作自演でなく、単に髪の毛が混入していた場合でも、必要以上に大声で脅すような横暴な行為をおこなえば、やはり威力業務妨害罪が成立すると思われます。

一方、自らの髪の毛を入れたうえで、大声で脅すような行為以外の方法で、クレームを入れた場合は、威力以外の不正な手段(偽計)を用いて、お店の業務を「妨害」するものとして、偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立する可能性があります。

——自らの髪の毛を入れたうえで、無料にするように迫ったり、追加で賠償を求めたりすると、どのような罪に問われる可能性がありますか

自らの髪の毛を入れたうえで、店側にラーメン代を無料にするように迫ったり、追加で賠償を求めたりする行為は、相手を錯誤に陥いらせ、無料にさせるなどの行為(財産的処分行為)をさせるものであり、人を欺く行為といえます。

この行為によって、無料にさせたり、賠償を得た場合は、人を欺いて、財産上不法の利益を得たといえるので、詐欺既遂罪(無料にさせた場合は刑法246条2項、さらに賠償を得る場合は246条1項)が成立すると思われます。

途中で店員が気づいて、ラーメン代が無料にならず、賠償も得られなくても、詐欺未遂罪(刑法250条、246条1項もしくは2項)が成立する可能性があるでしょう。

なお、ラーメン代を無料にしたり、賠償をしようと思ったことが、錯誤に基づくものではなく、畏怖に基づく場合は、詐欺罪ではなく、人を「恐喝」して、「財産上不法の利益を得」たとして恐喝罪(刑法249条1項もしくは2項)が成立するというのが判例です。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る