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校長に金銭を要求した「モンスターペアレント」に有罪判決…学校はどう対処すべき?
2021年06月01日 10時23分

高知市内の市立小学校で、校長に理不尽な要求を繰り返し、現金を脅し取った疑いで恐喝罪に問われた児童の父親(41)が5月25日、高知地裁で懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)の有罪判決を言い渡された。母親(32)も5月18日に、同罪で懲役1年2カ月執行猶予3年の有罪判決を受けている。

朝日新聞デジタル(5月26日)によると、児童の両親は2020年11月、教員の不適切な言動で児童が不登校になったとして、金銭を要求。これに応じなければ危害がおよぶ危険性があると恐れた校長が、現金で4万8千円を払ったという。

このほか、両親は2カ月にわたって昼夜を問わず何度も学校へ訪問したり、電話をかけたりし、長時間の恫喝(どうかつ)を繰り返した。校長室でスリッパを投げつけたり、土下座を強要したりしたこともあったという。対応してきた教員2人は心労が原因で休職し、校長は事件後に退職するなど、大きな影響が出てしまった。

保護者とのコミュニケーションは、教員にとって避けられない業務だ。過剰な要求をする「モンスターペアレント」であっても、無視を決め込むわけにはいかないだろう。どう対応するのが正しいのだろうか。高島惇弁護士に聞いた。

高知市内の市立小学校で、校長に理不尽な要求を繰り返し、現金を脅し取った疑いで恐喝罪に問われた児童の父親(41)が5月25日、高知地裁で懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)の有罪判決を言い渡された。母親(32)も5月18日に、同罪で懲役1年2カ月執行猶予3年の有罪判決を受けている。

朝日新聞デジタル(5月26日)によると、児童の両親は2020年11月、教員の不適切な言動で児童が不登校になったとして、金銭を要求。これに応じなければ危害がおよぶ危険性があると恐れた校長が、現金で4万8千円を払ったという。

このほか、両親は2カ月にわたって昼夜を問わず何度も学校へ訪問したり、電話をかけたりし、長時間の恫喝(どうかつ)を繰り返した。校長室でスリッパを投げつけたり、土下座を強要したりしたこともあったという。対応してきた教員2人は心労が原因で休職し、校長は事件後に退職するなど、大きな影響が出てしまった。

保護者とのコミュニケーションは、教員にとって避けられない業務だ。過剰な要求をする「モンスターペアレント」であっても、無視を決め込むわけにはいかないだろう。どう対応するのが正しいのだろうか。高島惇弁護士に聞いた。

●教職員が自らの負担で応じる必要なし

——今回のようなケースにおいて、両親の要求には応じるべきではなかったのでしょうか。

「学校に行けずに家にいることで余計にお金がかかっている。学校にかかった分のお金を返してもらいたい」との要求があったと報じられています。

その趣旨は必ずしも明確ではないものの、少なくとも市立の小学校である以上授業料を支出しているわけではありませんし、給食費についても、仮に経済的な困窮がある場合には就学援助費として支給される可能性があります。

そのため、発言の趣旨や不登校に陥った経緯を把握する必要はあるものの、通常は余計なお金が生じたからといって学校で負担する必要はありませんし、ましてや教職員が自らの負担で応じるのは問題があったと評価できます。

●一人で悩まず組織で対応する意識の徹底を

——今回のケースでは、教職員側にも深刻な影響が出ています。モンスターペアレントに対して、学校側としてはどう対応すべきなのでしょうか。

いわゆるモンスターペアレントへの対応について、全国の教職員が悩まれているものと思いますが、保護者との信頼関係を維持する必要もあるため、安易にモンスターペアレントと決めつけて対応を放置するのはかえって深刻な問題を見逃す可能性があります。

そのため、(1)まずは事実関係を調査して学校に責任があるかどうかを確認し、(2)仮に学校の対応に問題がない場合にはその旨保護者へ誠実に説明して理解を得るよう努め、(3)それでも保護者が理解しない場合には管理職へ報告して組織で対応する、というプロセスが有効かもしれません。

そして、組織で対応するに際して、スクールロイヤーや自治体の嘱託弁護士など内外の専門家へ相談したり、極端なケースであれば警察へ相談するのも視野に入れるべきかと思います。

とりわけ、保護者側がインターネットやマスメディアでの拡散を示唆し、実行した場合には、真実に反する情報が世論に伝わって教職員の負担が過度に大きくなるおそれがあるため、そのときは法的措置も視野に入れて毅然と対応するのが重要となります。

——学校側がどのような事前対策を講じればよいのでしょうか。

モンスターペアレント対策について、現実的には事前に備えるのが難しく、日ごろの研修などを通じて法律に関する概括的な知識を得るしかありません。

むしろ、現場の教職員が「これは不当な要求ではないか」と判断した場合に、管理職さらには教育委員会へ早急に相談して対策を講じるのがより実効的な解決となりますので、決して一人で悩むことなく組織で対応する意識を徹底していただければと思います。

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