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広島カープ・菊池涼介選手、元交際相手と裁判沙汰に…慰謝料「8000万円」は妥当?
2020年03月18日 10時15分

広島カープの菊池涼介選手が、元交際相手の女性から8000万円の慰謝料を請求され、3月6日付で東京簡裁に調停申立書を提出したと報じられている。女性は「真剣な交際」を主張しているが、菊池選手は恋愛感情を伴わない関係だったとみられる。

そもそも、慰謝料請求が認められる「真剣交際」とはどのようなものなのか。また、女性が請求した「8000万円」という額は妥当といえるのだろうか。

広島カープの菊池涼介選手が、元交際相手の女性から8000万円の慰謝料を請求され、3月6日付で東京簡裁に調停申立書を提出したと報じられている。女性は「真剣な交際」を主張しているが、菊池選手は恋愛感情を伴わない関係だったとみられる。

そもそも、慰謝料請求が認められる「真剣交際」とはどのようなものなのか。また、女性が請求した「8000万円」という額は妥当といえるのだろうか。

●菊池選手は「真剣交際」を否定

AERAdot.(週刊朝日/3月14日)によると、当時、独身だった菊池選手は知人に女性を紹介され、「軽く付き合えるならお願いします」と返事をした。菊池選手は女性と「真剣交際」をしようという意思は持っておらず、女性に対する恋愛感情が芽生えることもなかったようだ。

一方、女性は菊池選手とは結婚を前提にした「真剣な交際」であったと主張。入籍後も菊池選手が結婚を隠して2度もホテルに呼び、肉体関係を持ったとしている。

菊池選手は事実関係が違うとし、女性が請求する8000万円の債務は存在しないという調停を申し立てた。

報道を見た広島弁護士会の加藤泰弁護士は「非常に驚きました。地元カープの菊池選手のことということもありますが、弁護士が知っている従来の『裁判所の感覚』からはなかなか想定できないことがちらほら書いてあったためです」と語る。

●「法的保護に値する婚約の不当破棄」と言えるかどうか

一般的に、裁判所が男女間のトラブルで慰謝料の支払いを命じるのはどのようなケースなのだろうか。加藤弁護士はつぎのように説明する。

「一般的には、『不貞行為』と『法的保護に値する婚約の不当破棄』のみです。

相手の好意を得るために『結婚しよう』とか『子どもが欲しいね』などと結婚を前提とした会話をし、それが守られなかったからといって慰謝料が発生することは通常ありません。

2人の間で口頭で結婚の約束をした程度でも、広い意味では『結婚の約束』『婚約』と言えるかもしれません。しかし、そんな約束がすぐに裁判所で保護されるかというとそうではありません」

では、どのような場合に「法的保護に値する婚約」があったといえるのだろうか。   「裁判所は、結納を済ませていること、両親や職場へのあいさつを済ませていること、仕事を辞めたこと、式場を予約したこと、婚約指輪を買ったこと、などといった結婚を前提とした諸事情の有無から総合的に判断しています。

『真剣交際』という言葉の重みは人それぞれですが、上記のような事情がどれくらいあったのかという話になります。それらが備わっていて、『法的保護に値する婚約』が成立していたのに、正当な理由なくそれを破棄したとすれば、慰謝料の支払いを裁判所が命じるような話になると思います」

●婚約破棄の慰謝料は「100〜200万円程度」が多い

女性側は、日本を代表する野球選手として高額の年棒を得ている菊池選手にとって「痛みのある金額」と考え、8000万円という慰謝料を請求したようだ。しかし、菊池選手側は「法外な慰謝料」であるとしている。

一般論として、「法的保護に値する婚約」が成立しており、それが不当に破棄された場合の慰謝料についてはいくらが妥当なのだろうか。

「これについては、いろいろな裁判例の慰謝料を表にして紹介している『慰謝料算定の実務第2版』(千葉県弁護士会〈編〉ぎょうせい、2013年)が参考になるでしょう。

本書によれば、婚約破棄の慰謝料は100〜200万円程度が多いようです。暴力があったり、妊娠中絶を余儀なくされたりした場合などで200万円を超える金額で決着がついているケースもありますが、それでも300万円程度のようです。

ケースバイケースとしつつも、裁判所は他の事案とのバランスを考えながら金額を調整しています。そのため、よほど特別な事情がない限り、これらの事例とかけ離れた慰謝料になることはないと考えてよいでしょう。

なお、慰謝料額の算定は、『被害者の心の傷』を『金銭』に評価するということですから、元来無茶というか不可能な作業ともいえます。そのため、理屈ではない部分もあります。

そうはいっても、理屈の上では、算定の対象はあくまで被害者の『精神的損害』です。加害者への罰として相応しいかどうかではありません。『加害者の社会的地位や収入が高ければ、罰を与えるために慰謝料が増額されるべき』というのはわが国では一般的な考え方ではありません。

男女トラブルの慰謝料は、双方さえ納得するのであれば払っても払わなくても構いません。金額も問いません。しかし、合意できないのであれば、上記に示した裁判所の基準で決着をつけることになるでしょう」

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