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小4女児死亡、「訴訟を起こす」に屈した市教委 「スクールロイヤー」設置は急務
2019年02月05日 09時29分

千葉県野田市に住む小学4年の栗原心愛さんが自宅で亡くなり、傷害容疑で父親が逮捕された事件。

心愛さんはいじめに関する学校アンケートで「お父さんにぼう力を受けています」などと回答していたが、市教委がその写しを父親に渡していたと判明し、波紋が広がっている。

千葉県野田市に住む小学4年の栗原心愛さんが自宅で亡くなり、傷害容疑で父親が逮捕された事件。

心愛さんはいじめに関する学校アンケートで「お父さんにぼう力を受けています」などと回答していたが、市教委がその写しを父親に渡していたと判明し、波紋が広がっている。

●市「精神的に追い詰められた」

野田市は1月31日、記者会見で謝罪。2018年1月に父親にアンケートを渡した理由について、市は「(教育委員会は)恐怖感に屈した部分が多かった。一時保護に納得できない、訴訟も辞さないというような怒りを鎮めるために、恐怖感から出してしまった部分が大きい」と説明。

担当者は「最終的には精神的に追い詰められて、やむにやまれず出してしまったというのが正直なところ」と話していた。

さらに、心愛さんの父は校長に対し「今後、児童への対応等が必要となった場合、保護者及び教育委員会への情報開示を即座に実施し、協議の上決定する」など情報開示を約束させる「念書」も書かせていた。

●要求に応じる必要は全くなかった

保護者への対応に悩む教員は多い。虐待やいじめなどに真摯に対応しなければならない一方、「土下座強要」など過剰な要求をする親に困り果てているのも実情だ

今回のケースについて、学校問題に詳しい高橋知典弁護士は「仮に恐怖を感じたのであれば、むしろ、担当者はやり取りを録音し、それを持って警察や児相に相談を入れつつ、要求に応じられないことを繰り返し回答し続ける必要があった」と指摘する。

「通告に際して虐待の疑われる保護者と協議をしてから決めるなど、一顧だにする必要もないことで、要求に応じる必要は全くなかったといえます。

今回の事例のような児童虐待の事案では、子どもの命を守るためにも、保護者からの過剰で根拠のない要求に対し、引くことはできません」

●いきなり訴訟「あまりない」

野田市の担当者は、父親から「訴訟も辞さない」などの言葉を受け「精神的に追い詰められた」と話す。訴訟に慣れていない一般の人にとって、こうした言葉は「脅し文句」のように聞こえる。

高橋弁護士は「訴訟もただではありません。いきなり訴訟になるということはあまりない」と話す。

「日本は、本人訴訟ができる国ですが、そもそも本気で訴訟をする気があるならば、通常は弁護士を伴うか、弁護士の意見を付けてから話し合いに来ます。

まずは、訴訟をする根拠を聞き、それに納得できれば応じる、できないならば、要求に応じる必要はないと思います。

その後、弁護士を伴ってくるようであれば、弁護士が依頼を受けて動いている以上、何か法的な理由があるのだなと、と考えを改めるという対応でも遅くないような場面は多いです」

●スクールロイヤーの必要性

文部科学省は、学校でおきたいじめ問題や保護者からの過剰な要求について、学校が法的な相談をする弁護士「スクールロイヤー」の配置をすすめている。

高橋弁護士も「児相への通告に保護者からの許可を条件付けしていいかなどの法律上の知識の問題や、警察が相談をしても動いてくれない場合どのように説得すればいいかなど、弁護士のサポートが必要な事柄が多くある」と必要性を訴える。

加えて、教育行政や現場の状況に詳しい弁護士であることも不可欠だ。

「攻撃的な反論や一辺倒な回答だけでは保護者が反感を抱きます。学校の実情その周辺の事情や、保護者の状況や内心の動きをよく知り、対応できる弁護士がいれば、多少なりとも意味のある活動ができると思います」 (弁護士ドットコムニュース)

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