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ローラさん「CM降板」の危機!? 「家族の不祥事」で契約解除は許される?
2013年07月02日 15時31分

タレントのローラさん(23)が苦境に立たされている。ローラさんの父親で、バングラデシュ国籍のジュリップ・エイエスエイ・アル容疑者(53)が、国民健康保険の海外療養費をだまし取ったとして、詐欺容疑で国際指名手配されたことがきっかけだ。

現在、13社のCMに出演しているという売れっ子の彼女。しかし、サンケイスポーツの報道によると、6月26日までに取材に応じた13社中5社のうち、CMの継続を表明した会社は1つもなかったという。芸能人の仲間やネットユーザーからは「親がしたことで本人のせいじゃないのに気の毒だ」という同情の声も多く寄せられているが、イメージを優先するCMの世界では「逆風」が強く吹いているようだ。

だが、本人に落ち度がないのに、家族の犯罪容疑のせいでCM契約打ち切りや更新拒絶をされてしまうことは、法律的に問題ないのだろうか。また、一般企業に勤務する会社員が、家族の犯罪を理由にクビになったり、左遷されたりした場合はどうなのか。秋山直人弁護士に聞いた。

●家族の犯罪を理由に解雇することは認められる?

「当然のことですが、父親に犯罪の容疑がかけられたとしても、その容疑になんら関与していない娘には法的責任はありません」

秋山弁護士はこのようにキッパリ言う。そのうえで、「一般企業で働く会社員に対し、家族の犯罪を理由に解雇するといった不利益な取扱いをすることは、基本的に違法でしょう」と話す。

一方で、今回のローラさんのケースについては、「CM契約の特殊性がある」と指摘する。

「そもそもCM契約は、タレントのイメージを商品や企業のイメージに結びつけて広告効果を狙うものです。

そのため、タレントの社会的イメージが悪化するのであれば、家族の犯罪容疑が理由とはいえ、スポンサーによっては、期待した広告効果が得られないとして、契約の不更新や打ち切りを考えるところがあってもおかしくありません」

●本人に落ち度がなくても、スポンサーはCM契約を打ち切ることができる?

つまり、ローラさんのようなCM契約は、一般企業で働く会社員の場合とはわけて考える必要があるということだ。

では、たとえ、本人に落ち度がなくても、スポンサーはCM契約を打ち切ることができるということだろうか。秋山弁護士は「今回のケースは、まだ容疑段階である点が問題になるが・・・」と断ったうえで、説明を付けくわえる。

「CM契約では、そういった不祥事によるタレントのイメージ悪化を理由にした契約打ち切り(契約解除)等について、あらかじめ契約書に『約定』がおかれているだろうと思われます。

そのような約定がおかれていれば、その約定に従って、CM契約打ち切り等がされても、タレント側は基本的に文句を言えないでしょう。

一方で、もし、そのような約定がないのならば、スポンサーが契約を更新しないことは可能でしょうが、契約期間中の一方的打ち切りは難しいでしょう」

このように、CM契約が打ち切られるかどうかは、「約定」次第ということだ。なお、ローラさんは7月1日付けのブログで、「父には日本に来てしっかり本当のことを話してもらいたいと思っています。今回のお父さんの事でわたしができる事は出来るかぎりやろうと思います」と記している。

(弁護士ドットコムニュース)

タレントのローラさん(23)が苦境に立たされている。ローラさんの父親で、バングラデシュ国籍のジュリップ・エイエスエイ・アル容疑者(53)が、国民健康保険の海外療養費をだまし取ったとして、詐欺容疑で国際指名手配されたことがきっかけだ。

現在、13社のCMに出演しているという売れっ子の彼女。しかし、サンケイスポーツの報道によると、6月26日までに取材に応じた13社中5社のうち、CMの継続を表明した会社は1つもなかったという。芸能人の仲間やネットユーザーからは「親がしたことで本人のせいじゃないのに気の毒だ」という同情の声も多く寄せられているが、イメージを優先するCMの世界では「逆風」が強く吹いているようだ。

だが、本人に落ち度がないのに、家族の犯罪容疑のせいでCM契約打ち切りや更新拒絶をされてしまうことは、法律的に問題ないのだろうか。また、一般企業に勤務する会社員が、家族の犯罪を理由にクビになったり、左遷されたりした場合はどうなのか。秋山直人弁護士に聞いた。

●家族の犯罪を理由に解雇することは認められる?

「当然のことですが、父親に犯罪の容疑がかけられたとしても、その容疑になんら関与していない娘には法的責任はありません」

秋山弁護士はこのようにキッパリ言う。そのうえで、「一般企業で働く会社員に対し、家族の犯罪を理由に解雇するといった不利益な取扱いをすることは、基本的に違法でしょう」と話す。

一方で、今回のローラさんのケースについては、「CM契約の特殊性がある」と指摘する。

「そもそもCM契約は、タレントのイメージを商品や企業のイメージに結びつけて広告効果を狙うものです。

そのため、タレントの社会的イメージが悪化するのであれば、家族の犯罪容疑が理由とはいえ、スポンサーによっては、期待した広告効果が得られないとして、契約の不更新や打ち切りを考えるところがあってもおかしくありません」

●本人に落ち度がなくても、スポンサーはCM契約を打ち切ることができる?

つまり、ローラさんのようなCM契約は、一般企業で働く会社員の場合とはわけて考える必要があるということだ。

では、たとえ、本人に落ち度がなくても、スポンサーはCM契約を打ち切ることができるということだろうか。秋山弁護士は「今回のケースは、まだ容疑段階である点が問題になるが・・・」と断ったうえで、説明を付けくわえる。

「CM契約では、そういった不祥事によるタレントのイメージ悪化を理由にした契約打ち切り(契約解除)等について、あらかじめ契約書に『約定』がおかれているだろうと思われます。

そのような約定がおかれていれば、その約定に従って、CM契約打ち切り等がされても、タレント側は基本的に文句を言えないでしょう。

一方で、もし、そのような約定がないのならば、スポンサーが契約を更新しないことは可能でしょうが、契約期間中の一方的打ち切りは難しいでしょう」

このように、CM契約が打ち切られるかどうかは、「約定」次第ということだ。なお、ローラさんは7月1日付けのブログで、「父には日本に来てしっかり本当のことを話してもらいたいと思っています。今回のお父さんの事でわたしができる事は出来るかぎりやろうと思います」と記している。

(弁護士ドットコムニュース)

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