5239.jpg
日弁連初の女性会長、朝ドラで話題の先輩たちに感謝「私たちよりもっと逆風だった」
2024年04月22日 16時49分
#法曹 #日弁連

日本弁護士連合会の渕上玲子会長が4月22日、東京都の日本記者クラブで「女性法曹について」と題して会見した。日弁連の女性会長は1949年の発足以来初めてで、法曹3者のトップとしても初。2月の当選時から注目を集めていた。

現在、弁護士45809人のうち女性は9200人と、2024年度に初めて20%を超えた。しかし、司法修習生の進路として裁判官や検察官といった公務員、組織内弁護士に後れを取っている。「フリーランスとしての働き方の法整備や、産休・育休の制度を整えていくよう法律事務所にも啓蒙していく」と話した。

NHK連続テレビ小説「虎に翼」にも言及。モデルとなった女性初の裁判官・三淵嘉子さんは、1980年の司法試験合格後に日本婦人法律家協会(現日本女性法律家協会)会長だったと説明した。接触はなかったものの、伝記などを読み「ドラマも一生懸命見ております。私たちのころより、もっと逆風の中で目指した人は素晴らしいと再認識している」と語った。

日本弁護士連合会の渕上玲子会長が4月22日、東京都の日本記者クラブで「女性法曹について」と題して会見した。日弁連の女性会長は1949年の発足以来初めてで、法曹3者のトップとしても初。2月の当選時から注目を集めていた。

現在、弁護士45809人のうち女性は9200人と、2024年度に初めて20%を超えた。しかし、司法修習生の進路として裁判官や検察官といった公務員、組織内弁護士に後れを取っている。「フリーランスとしての働き方の法整備や、産休・育休の制度を整えていくよう法律事務所にも啓蒙していく」と話した。

NHK連続テレビ小説「虎に翼」にも言及。モデルとなった女性初の裁判官・三淵嘉子さんは、1980年の司法試験合格後に日本婦人法律家協会(現日本女性法律家協会)会長だったと説明した。接触はなかったものの、伝記などを読み「ドラマも一生懸命見ております。私たちのころより、もっと逆風の中で目指した人は素晴らしいと再認識している」と語った。

●法律事務所も、女性弁護士の働き方を考えるべき

渕上氏が弁護士登録した1983年は、男女雇用機会均等法の施行前で、修習同期(35期)の女性弁護士は358人中34人(日弁連データによる)。法律事務所の就職にも苦戦したという。「うちの事務所は女性は採用しない」と言ってはばからないところもあった。

しかし、戦前の女性弁護士を知るにつれ、もっとマイナスな状況から弁護士を目指していたんだと痛感したといい、女性修習生の任官について差別しないように要望書を出したという経過についても「先輩の労苦に感謝する」と述べた。

2000年代以降は司法制度改革で法曹の数が増えるにつれ、女性弁護士の比率も少しずつ上がって来ている。しかし、課題も多い。修習後の進路で、2023年は検察官が49.3%、裁判官が38.2%に比べ、弁護士は26.4%。さらに、組織内弁護士の女性の割合は4割を超えており、ワークライフバランス重視の傾向が顕著だ。

日本記者クラブで揮毫した渕上氏の思い

渕上氏は「主要ポストにつく裁判官や検察官が増えており、女性弁護士の割合上昇も不可欠」とし、健全な社会の維持・発展、ジェンダーバイアス解消のために女性弁護士の確保は重要な課題だとした。

また、共同親権など家族法制の変更や家事事件の増加で、家裁の重要性が増していることを挙げ、「法曹界の意識を変革するだけでなく、社会全体の男女参画を進め、多様性を認めることが日弁連の目標のひとつ」だと説明する。

夜間などに開催される弁護士会の会務に参加しにくいという声もあることも課題に挙げた。「会務への女性弁護士の参加を推進しなければ、委員会の意見が多様なものにならない」として、運営方法や負担の軽減など改善の必要性に言及した。

【プロフィール】 1977年、一橋大学法学部を卒業。1980年に司法試験2次試験に合格、1983年に弁護士登録した。1996年に日比谷見附法律事務所を開設。2017年度に日弁連副会長、東京弁護士会会長、2020〜2021年度に日弁連事務総長を務めた。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る