5262.jpg
業務中の「パソコンゲーム」で減給された「公務員」 一般企業だったらクビになる?
2014年03月24日 13時11分

勤務時間中にパソコンのトランプゲームで遊んでいたとして、東京都多摩市の男性課長(59)が3月上旬、懲戒処分を受けた。

報道によると、この男性課長は2011年4月から今年2月にかけて、毎週数回、1回あたり5分から10分ほど、勤務時間にもかかわらず、パソコンに内蔵されたトランプゲームをしていたという。外部から指摘されて発覚。男性課長は事実関係を認めているようだ。

今回、男性課長は6カ月の減給(10分の1)処分を受けたが、多摩市の条例にある減給処分の中では最も重いそうだ。もし民間企業で同じようなことがあった場合、どんな処分内容が考えられるのだろうか。減給くらいでは済まず、クビになることもありうるのだろうか。原英彰弁護士に聞いた。

勤務時間中にパソコンのトランプゲームで遊んでいたとして、東京都多摩市の男性課長(59)が3月上旬、懲戒処分を受けた。

報道によると、この男性課長は2011年4月から今年2月にかけて、毎週数回、1回あたり5分から10分ほど、勤務時間にもかかわらず、パソコンに内蔵されたトランプゲームをしていたという。外部から指摘されて発覚。男性課長は事実関係を認めているようだ。

今回、男性課長は6カ月の減給(10分の1)処分を受けたが、多摩市の条例にある減給処分の中では最も重いそうだ。もし民間企業で同じようなことがあった場合、どんな処分内容が考えられるのだろうか。減給くらいでは済まず、クビになることもありうるのだろうか。原英彰弁護士に聞いた。

●うっかり重すぎる処分をすると・・・

「今回のケースの場合、その労働者の職務怠慢や会社のパソコンの私用といった懲戒に該当する理由があることは明らかです。しかし、うっかり重すぎる処分をしてしまうと、裁判で無効になることがあります」

懲戒は、企業の裁量に任されているわけではないのだろうか。

「民間企業の懲戒処分は、『行為の性質及び態様その他の事情に照らして客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合』には、法律上無効になってしまいます」

●懲戒解雇は、企業からの「死刑判決」

「懲戒処分は、よく刑事処分と似ていると言われます。懲戒解雇は、いわば企業からの死刑判決。行為の重大性や企業秩序に対する深刻な悪影響など、かなりの程度の『悪いこと』をした労働者に対してでないと、裁判で無効になることがあります」

そういう観点で見ると、今回のケースはどうだろうか。

「約10カ月にわたって、週数回、1回につき5分から10分ということですので、積算すれば、仕事をさぼっていた時間は相当長くなりますね。とはいえ、積算しなければ、1回につき5分から10分程度のサボりです。この課長の職務遂行に『重大な支障が出た』とまでは、考えられません。

したがって、懲戒解雇することまでは『社会通念上の相当性』が認められないでしょう。ですから、民間企業の場合であっても、クビにはできず、減給処分程度の処分になることが多いと思います」

民間でも公務員でも、最も重い懲戒解雇処分には、慎重な判断が必要なようだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る