5678.jpg
非正規雇用「賃金だけでなく、尊厳も傷つけられている」労働弁護団が電話相談
2016年06月15日 17時00分

日本労働弁護団は6月15日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで記者会見を開き、非正規雇用者向けの電話相談「非正規・賃金格差ホットライン」を6月19日に開催することを発表した。事務局長の嶋﨑量弁護士は、「会社との契約で『身分の差』が作られているからこそ、有期雇用の人を下に見るような文化が生まれるのだと思う。『非正規なら差をつけて当たり前』という日本社会に対する問題意識を寄せてほしい」と呼びかけた。

日本労働弁護団は6月15日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで記者会見を開き、非正規雇用者向けの電話相談「非正規・賃金格差ホットライン」を6月19日に開催することを発表した。事務局長の嶋﨑量弁護士は、「会社との契約で『身分の差』が作られているからこそ、有期雇用の人を下に見るような文化が生まれるのだと思う。『非正規なら差をつけて当たり前』という日本社会に対する問題意識を寄せてほしい」と呼びかけた。

●会社だけでなく、正社員からの差別も

政府は「一億総活躍プラン」の一環として、2019年にも法改正により「同一労働・同一賃金」を実現させる方針だ。

しかし、そもそも「労働契約法20条」では、有期雇用者と正社員のような無期雇用者との間で、不合理な差別をすることを禁じている。2016年5月には、この条文に基づき、東京地裁が画期的な判決を下した。神奈川県の運送会社に対し、定年前と仕事内容が変わらないことを理由に、再雇用の運転手3人に、定年前と同じ賃金を支払うよう命じたのだ。

判決への反響は大きく、労働弁護団のもとにも多くの相談が寄せられるようになったという。中には裁判の準備に入っているケースもあるという。

また、非正規社員への差別は、賃金だけではない。嶋﨑弁護士は、「安全対策に違いがあるとか、食堂を使わせてもらえないといった話は今でも耳にする。実際にそれを求めていなくても、格差があることで尊厳は傷つけられている」と話す。非正規雇用者が社内で低く見られたり、会合に誘ってもらえなかったりと、正社員からの差別も少なくないという。

嶋﨑弁護士は、「正社員との間で差を感じたら、声を寄せてほしい」と話していた。

ホットラインは6月19日午後1時〜7時まで。電話番号は「03-3251-5363」または「03-3251-5364」。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る