5738.jpg
楽天の選手は「休日」がなくなる!? プロ野球選手は「労働者」でないから仕方ない?
2014年11月30日 10時08分

昨年の日本一から一転、今シーズンは最下位に転落したプロ野球・楽天イーグルス。覇権奪回を目指して新リーダーに就任した「デーブ」こと、大久保博元監督の「スパルタ改革」が話題になっている。

デイリースポーツによると、大久保監督は来シーズン中の「完全オフ撤廃」を検討しているという。プロ野球では通常、試合のない月曜日などは完全オフになることがあるが、大久保監督は完全オフをなくして、最低でも球場でケアなどを行わせるのだという。

この報道に対してネットでは、「どこのブラック企業ですか?」「選手がかわいそう」など、「完全オフ撤廃」という改革案に疑問を投げかける声が噴出した。プロ野球選手と一般の会社員を同一に扱うことはできないかもしれないが、「シーズン中は完全オフなし」という扱いは法的に問題ないのだろうか。横溝昇弁護士に聞いた。

昨年の日本一から一転、今シーズンは最下位に転落したプロ野球・楽天イーグルス。覇権奪回を目指して新リーダーに就任した「デーブ」こと、大久保博元監督の「スパルタ改革」が話題になっている。

デイリースポーツによると、大久保監督は来シーズン中の「完全オフ撤廃」を検討しているという。プロ野球では通常、試合のない月曜日などは完全オフになることがあるが、大久保監督は完全オフをなくして、最低でも球場でケアなどを行わせるのだという。

この報道に対してネットでは、「どこのブラック企業ですか?」「選手がかわいそう」など、「完全オフ撤廃」という改革案に疑問を投げかける声が噴出した。プロ野球選手と一般の会社員を同一に扱うことはできないかもしれないが、「シーズン中は完全オフなし」という扱いは法的に問題ないのだろうか。横溝昇弁護士に聞いた。

●労働組合法ではプロ野球選手も「労働者」だが・・・

「プロ野球選手は、労働組合法上の『労働者』に該当するとされています。

実際、『労働組合日本プロ野球選手会』という労働組合がありますので、労働問題が起きた場合には、労働組合が球団などと交渉することが考えられます」

労働者なら、一般の会社員のように、休みももらえて当然なのではないだろうか?

「そこは難しいところです。休日などの基準を定めているのは『労働基準法』ですが、2つの法律は『労働者』の定義が異なるのです。

労働組合法では『職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう』と定義されています。

一方で、労働基準法は『職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者』と定めています」

労働基準法のほうには、事業または事務所に「使用される」という条件がついているわけだ。

●労働基準法では「労働者」にあたらない?

すると、プロ野球選手は、労働基準法上の労働者ではないのだろうか?

「プロ野球選手が『労働基準法上の労働者』に該当するかについては、議論があるところです。

しかし、(1)バット等の用具を自らが用意することとなっていること、(2)毎年契約更改交渉を行っていること、(3)報酬が高額であることなどから、『労働者に該当しない』という考え方が一般的です」

プロ野球選手が「労働者」でないなら、「休日なし」でも問題ない?

「労働基準法では、使用者が労働者に対して、少なくとも『毎週1日の休日』か、『4週間を通じて4日以上の休日』を与えなければならないと定めています。

しかし、そもそもプロ野球選手が『労働基準法上の労働者』でないのであれば、労働基準法上の休日に関する規程の適用はありません。

また、プロ野球選手と球団が締結する統一契約書には、休日に関する条項がありません。

したがって、個別に休日に関する契約を結んでいない限り、休日が与えられなくても法的には問題ないといえます」

横溝弁護士はこのように指摘していた。労働組合法では「労働者」なのに、労働基準法では「労働者」にあたらない・・・。なんともややこしい話だが、野球ファンとしては、選手が元気に活躍してくれることを祈るばかりだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る