『離婚を前提に別居することを決めたのですが、家財道具をどちらが持ち出すかで揉めています。結婚生活は10年になり、新婚時から買い集めてきましたので、大量です。
しかも共働きで、それぞれが思いついた時に購入しており、どちらが購入したのかもわかりません。大型の液晶テレビ、冷蔵庫、洗濯乾燥機、ワインセラーなど、購入時に30万円以上したものも複数あります』
(質問は弁護士ドットコムの法律相談コーナー「みんなの法律相談」に寄せられた相談をもとに編集部が作成しました)
A. 堀井亜生弁護士「『共有財産』は、原則半分ずつになる」
まず一般論からいえば、「共有財産」を持ち出したら、その価値の半分を相手に渡すべきです。これが大原則です。
ただ、家電など家財道具が分与が難しいのは、価値の半分の請求が難しいところにあります。
購入時にどんなに高くても、中古になれば金銭価値がなくなってしまう性質のものだからです。ヴィンテージとしての価値が出るものもあるのでしょうが、逆に、多くの家財は処分する際にお金を支払う必要が出るものが多いです。
また、車や不動産と違って、物については特定が難しいので、実際に調停や裁判の法的手続きで家財そのものの分与を求めても、認められないのが実務の取り扱いです。
そこで、価値が認められないような家財については、話し合いをもとに持ち出しをするのが望ましいです。
例えば、妻が冷蔵庫を持っていくなら、夫は洗濯機を持っていく、どちらも欲しいものならば、2人の貯金から新品を1つ買うなどの交渉です。
車や高級な時計などとは異なり、家財道具は換価価値の算定が難しい性質です。
無理に「価値を半分にする」という原則にこだわらず、話し合いによって、柔軟な対応をしてみてください。
(弁護士ドットコムライフ)