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体調を崩して仕事を休みたい…知っておきたい「休職」と「傷病手当金」の仕組み
2016年11月17日 00時00分

長時間労働やパワハラなどのストレスによって、心身の不調を訴える人は少なくありません。退職するというのも1つの選択肢ですが、休職することによって、回復を図るというのも1つの手段でしょう。

弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、職場の嫌がらせでうつ病と診断され、1か月休職するよう言われた人が「休職中は無収入になると大変困るのですが、傷病手当金を申請することが出来ますか?傷病手当金はいくらもらえますか?」と疑問を投げかけていました。

そもそも休職とは法的にどう位置付けられているのでしょうか。休職中の給与の取り扱いはどうなっているのでしょうか。また、傷病手当金とはどのような制度なのでしょうか。天田圭介弁護士の解説をお届けします。

長時間労働やパワハラなどのストレスによって、心身の不調を訴える人は少なくありません。退職するというのも1つの選択肢ですが、休職することによって、回復を図るというのも1つの手段でしょう。

弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、職場の嫌がらせでうつ病と診断され、1か月休職するよう言われた人が「休職中は無収入になると大変困るのですが、傷病手当金を申請することが出来ますか?傷病手当金はいくらもらえますか?」と疑問を投げかけていました。

そもそも休職とは法的にどう位置付けられているのでしょうか。休職中の給与の取り扱いはどうなっているのでしょうか。また、傷病手当金とはどのような制度なのでしょうか。天田圭介弁護士の解説をお届けします。

●休職の位置付け

休職とは、一般に、ある従業員について働かせることが不能、または不適当な状況が生じた場合に、使用者(企業)がその従業員に対して、労働契約そのものは維持させながら、勤務を免除すること、または禁止することと定義されています。

休職は、法律で定められた制度ではなく、企業内のルール(就業規則や労働協約)によって、その企業ごとに様々な内容のものが定められています。

休職のうち、業務外の事由で精神疾患にかかったことを理由とする休職は、「傷病休職」(または「私傷病休職」)などと呼ばれています。傷病休職については、多くの企業では、業務外の事由による傷病で仕事を休んだ期間が一定期間に及ぶことが要件とされています。

なお、業務に起因して精神疾患にかかった場合は労働災害(労災)の問題であり、傷病休職のケースとは区別されますが、実際には、発症当初はその精神疾患が業務に起因するものかどうかの判断が難しいため、傷病休職の制度が利用されることが多いでしょう。

●健康保険の傷病手当金が1年半まで支給される

傷病休職中は、労働者は、給与の支払いを受けられないのが原則ですが(「ノーワーク・ノーペイ」の原則)、企業内のルールにこれと異なる規定があれば、給与の支払いを受けられます。また、傷病休職中の年次有給休暇の取得はできないと考えます。さらに、傷病休職中は、労働者は療養専念義務を負いますので、旅行に行ったり、別の仕事を行ったりすることは、基本的にはできません。

業務外の事由で精神疾患にかかったことにより、仕事を連続して3日間休んだうえで、さらに仕事を休んだ場合には、4日目以降の仕事を休んだ日について、健康保険の傷病手当金が支給されます。

傷病手当金の支給期間は、支給が始まった日から数えて1年6カ月間です。傷病手当金の額は、1日あたり、給付を受ける月以前の12カ月間の各月の標準報酬月額の平均額を30日で割った金額の3分の2が基本となります。

ただし、仕事を休んだ期間について、企業から傷病手当金の額より多い給与が支払われた場合には、傷病手当金は支給されません。

(弁護士ドットコムライフ)

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