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夫の不倫相手が「ニート」でも、 妻は「慰謝料」を請求できるか?
2013年04月02日 12時40分

「夫の不倫相手の女性は定職がありません。そんな相手にでも、慰謝料請求をして意味があるのでしょうか?」——弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」にこんな悩みが寄せられたことがある。夫とは子どもがいるので別れたくないが、こんなことになってこれほど傷つけられていても「私にはどうすることもできないのですか?」とたずねている。

慰謝料を請求した場合、相手に資産や収入があれば支払ってもらえそうだが、働いていない「ニート」で、資産もない場合はどうなのだろうか。 松野絵里子弁護士に聞いた。

●夫婦関係が破綻していなければ、慰謝料は低額になる

「夫が浮気したら、妻は相手女性へ慰謝料請求できるということは、最近の女性はよくご存知です。しかしそもそも、高額な慰謝料は夫との夫婦関係の破綻(別居や離婚)を前提としたものであって、そうでないならば、とても低額となることはあまり知られていません」

つまり、浮気したパートナーとの夫婦関係が破綻しない場合は、不倫相手に対する「慰謝料」も少なくなるというのだ。松野弁護士は、交通事故になぞらえて、その理由を説明する。

「浮気は、夫と相手女性の共同不法行為(複数人による不法行為)となります。二台の車が追突して、その結果として歩行していた被害者が事故にまきこまれたケースを考えてみてください。このとき、二台の運転手がいずれもよそ見をしていたならば、二人は共同不法行為の加害者になります。この二人の運転手が「相手女性と夫」だとすると、歩行者は「妻」になりますね。

浮気の結果、夫とやり直すということになれば、家庭が崩壊したのではないわけです。このとき、不法行為の結果が重大でないために、慰謝料は離婚するようなときよりもかなり低額になります。

それは事故でまきこまれた歩行者の怪我が軽かったのと同じなのです。夫とやり直すなら、前向きに彼との関係を修復することに集中したほうがよいともいえますね。おそらく男性の心理としても、そのほうが修復しやすそうですよね」

●「ニート」の不倫相手に慰謝料を払ってもらうのは難しい

たとえ、もらえる慰謝料が少なくても、夫の不倫相手に妻は慰謝料を請求したくなることもあるだろう。では、その相手女性が「ニート」など無職だったら、どう支払ってもらえるのだろうか。

「慰謝料を請求するとして、定職も財産もない相手女性からは、任意で払ってもらうのが難しそうです。公正証書で、慰謝料の『分割払い』の合意をしておけば、払ってもらえるかもしれませんが、それでも払ってくれないとき、差押えをする対象(給料債権)がないので、支払いを強制するのも困難です。

つまり、払ってもらうのはなかなか大変なのです」

ということは、女性は現実的には「泣き寝入り」になるのだろうか。松野弁護士によると、企業法務でも、「倒産しそうな会社には執行するべき資産がなくて、支払いを認めた『判決』は紙切れになってしまうケースがある」ということだ。

「なお、あまり知られていないかもしれませんが、相手女性は不倫した男性(妻からみれば夫)に対して、払った慰謝料の『一部求償』をすることができます。これは初耳の方が多いかもしれませんね。『一部』といっても半分以上になるというのが判例の傾向です」

このように、パートナーと離婚しない場合は、パートナーの不倫相手に対する「慰謝料」は低くなるということだ。さらに、その不倫相手が無職などで資産がない場合は、裁判所のお墨付きがあっても、慰謝料を回収することは難しい。松野弁護士の言うように、相談者の女性は、ここは前向きにパートナーとの関係修復を目指すのが良いかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

「夫の不倫相手の女性は定職がありません。そんな相手にでも、慰謝料請求をして意味があるのでしょうか?」——弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」にこんな悩みが寄せられたことがある。夫とは子どもがいるので別れたくないが、こんなことになってこれほど傷つけられていても「私にはどうすることもできないのですか?」とたずねている。

慰謝料を請求した場合、相手に資産や収入があれば支払ってもらえそうだが、働いていない「ニート」で、資産もない場合はどうなのだろうか。 松野絵里子弁護士に聞いた。

●夫婦関係が破綻していなければ、慰謝料は低額になる

「夫が浮気したら、妻は相手女性へ慰謝料請求できるということは、最近の女性はよくご存知です。しかしそもそも、高額な慰謝料は夫との夫婦関係の破綻(別居や離婚)を前提としたものであって、そうでないならば、とても低額となることはあまり知られていません」

つまり、浮気したパートナーとの夫婦関係が破綻しない場合は、不倫相手に対する「慰謝料」も少なくなるというのだ。松野弁護士は、交通事故になぞらえて、その理由を説明する。

「浮気は、夫と相手女性の共同不法行為(複数人による不法行為)となります。二台の車が追突して、その結果として歩行していた被害者が事故にまきこまれたケースを考えてみてください。このとき、二台の運転手がいずれもよそ見をしていたならば、二人は共同不法行為の加害者になります。この二人の運転手が「相手女性と夫」だとすると、歩行者は「妻」になりますね。

浮気の結果、夫とやり直すということになれば、家庭が崩壊したのではないわけです。このとき、不法行為の結果が重大でないために、慰謝料は離婚するようなときよりもかなり低額になります。

それは事故でまきこまれた歩行者の怪我が軽かったのと同じなのです。夫とやり直すなら、前向きに彼との関係を修復することに集中したほうがよいともいえますね。おそらく男性の心理としても、そのほうが修復しやすそうですよね」

●「ニート」の不倫相手に慰謝料を払ってもらうのは難しい

たとえ、もらえる慰謝料が少なくても、夫の不倫相手に妻は慰謝料を請求したくなることもあるだろう。では、その相手女性が「ニート」など無職だったら、どう支払ってもらえるのだろうか。

「慰謝料を請求するとして、定職も財産もない相手女性からは、任意で払ってもらうのが難しそうです。公正証書で、慰謝料の『分割払い』の合意をしておけば、払ってもらえるかもしれませんが、それでも払ってくれないとき、差押えをする対象(給料債権)がないので、支払いを強制するのも困難です。

つまり、払ってもらうのはなかなか大変なのです」

ということは、女性は現実的には「泣き寝入り」になるのだろうか。松野弁護士によると、企業法務でも、「倒産しそうな会社には執行するべき資産がなくて、支払いを認めた『判決』は紙切れになってしまうケースがある」ということだ。

「なお、あまり知られていないかもしれませんが、相手女性は不倫した男性(妻からみれば夫)に対して、払った慰謝料の『一部求償』をすることができます。これは初耳の方が多いかもしれませんね。『一部』といっても半分以上になるというのが判例の傾向です」

このように、パートナーと離婚しない場合は、パートナーの不倫相手に対する「慰謝料」は低くなるということだ。さらに、その不倫相手が無職などで資産がない場合は、裁判所のお墨付きがあっても、慰謝料を回収することは難しい。松野弁護士の言うように、相談者の女性は、ここは前向きにパートナーとの関係修復を目指すのが良いかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

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