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児童館職員、小2男児にバットで殴られ、耳が聞こえなくなる後遺症 法的責任は誰に?
2017年12月29日 09時35分

神戸市の児童館で、20代の女性職員が、利用者の小学2年の男児にバットで殴られ、職員は頭などのケガを負い、片耳がほぼ聞こえなくなるなどの後遺症を患っていると12月19日、神戸新聞などで報じられた。

報道によると今年5月、女性職員は勤務中に突然、男児に少年野球用のバットで頭部を殴られ、意識が朦朧とした状態で発見されたという。児童館側は直後に職員を病院に連れて行ったが、警察に通報していなかった。

職員が警察に被害届を出して事件が発覚。兵庫県警は男児を児童相談所に通告した。神戸市の会見によると、児童館は指定管理者である社会福祉法人が運営している。この事件の法的責任は誰にあるのだろうか。高橋知典弁護士に聞いた。

神戸市の児童館で、20代の女性職員が、利用者の小学2年の男児にバットで殴られ、職員は頭などのケガを負い、片耳がほぼ聞こえなくなるなどの後遺症を患っていると12月19日、神戸新聞などで報じられた。

報道によると今年5月、女性職員は勤務中に突然、男児に少年野球用のバットで頭部を殴られ、意識が朦朧とした状態で発見されたという。児童館側は直後に職員を病院に連れて行ったが、警察に通報していなかった。

職員が警察に被害届を出して事件が発覚。兵庫県警は男児を児童相談所に通告した。神戸市の会見によると、児童館は指定管理者である社会福祉法人が運営している。この事件の法的責任は誰にあるのだろうか。高橋知典弁護士に聞いた。

●男児は法的責任を問われないが、保護者は損害賠償責任を負う可能性

加害者の男児は児童相談所に通告されたが、男児や男児の保護者はどのような法的責任を問われる可能性があるのか。

「刑法には、14歳未満の者を処罰しないという規定がありますので、小学2年の男児(7〜8歳)が刑事責任を負うことはありません。また、その年齢ですと、少年院に入ることもありません。この事件で、親が刑事責任を負うということもありません。

しかし、民法では、未成年者に『責任能力』がない場合、その未成年者は損害賠償責任を負わないとされています。何歳から『責任能力』があるのかは、条文にはっきり書かれているわけではありませんが、裁判例などで、大体11〜12歳くらいが判断の分かれ目とされています。7〜8歳の場合、責任能力がないと判断されて、今回のケースも男児が損害賠償責任を負うことはないと考えられます。

もし未成年者に責任能力がない場合、その親が損害賠償責任を負うことになります。親が監督義務をきちんと果たしていたと認められれば、責任を免れるとされていますが、実際の事件で、これが認められることはほとんどありません。この事件でも、親の損害賠償責任が認められる可能性が高いと考えられます」

では、施設管理者である神戸市にはどのような法的責任が生じるか。

「児童館の責任者など、施設内の安全を管理すべき上司等に過失があったと認められた場合、神戸市が損害賠償責任を負う可能性もあります。過失があるかどうかは、事実関係次第で何ともいえないところですが、小2の児童がバットを用いて職員に暴行に及ぶというのは、一般的には予見することが困難で、過失があるとはいいにくいと思われます。

以前から強い暴行が繰り返されていたなどの事情があり、そのことを上司等が把握していたにもかかわらず、職員に対する注意喚起が不十分であった、職員の体制が不十分であったなど、必要な措置が取られていなかったということになれば、上司等の過失が認められるかもしれません」

(弁護士ドットコムニュース)

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