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元TBS記者の準強姦を訴える女性が検察審査会に申立て…検察の不起訴を覆すには?
2017年05月30日 15時37分

2015年4月に元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之氏から準強姦被害に遭ったという詩織さん(28)が5月29日、検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立てた。

裁判所はホームページで、検察審査会について、「20歳以上で選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人の審査員が、検察官が被疑者を裁判にかけなかったことの良し悪しを審査しています」と説明している。

2016年の検察審査会の受理件数は計2190件で、このうち起訴相当(検察官は事件を起訴すべき)の議決がなされたのは3件(全体の0.1%)だった。

検察審査会の制度はどのようなものなのか。濵門俊也弁護士に聞いた。

2015年4月に元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之氏から準強姦被害に遭ったという詩織さん(28)が5月29日、検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立てた。

裁判所はホームページで、検察審査会について、「20歳以上で選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人の審査員が、検察官が被疑者を裁判にかけなかったことの良し悪しを審査しています」と説明している。

2016年の検察審査会の受理件数は計2190件で、このうち起訴相当(検察官は事件を起訴すべき)の議決がなされたのは3件(全体の0.1%)だった。

検察審査会の制度はどのようなものなのか。濵門俊也弁護士に聞いた。

●検察審査会とは?

「検察審査会制度は、国民から選ばれた11人の検察審査員が検察官の不起訴処分が妥当だったかどうかを審査する制度です。起訴するかどうかは本来、検察官が判断するものですが、そこに国民の良識を反映させるものです。1948年の法施行から、これまで59万人以上の方が検察審査員や補充員に選ばれています」

どういう場合に審査が始まるのか。

「犯罪の被害者や、犯罪を告訴・告発した人から申立てがあったときに審査が始まります。申立てがなくても、新聞記事などをきっかけとして、審査が始まることもあります。

審査した結果、さらに詳しく捜査すべきである(不起訴不当)とする議決や、起訴をすべきである(起訴相当)とする議決があった場合には、検察官は、事件を再検討することとなります。

その起訴相当の議決に対して、検察官が再度不起訴とした場合には、あらためて検察審査会が開かれます。その結果、起訴をすべきであるという議決(起訴議決)があった場合には強制起訴の手続がとられます。これは2009年に施行された改正検察審査会法でできた制度です」

過去にはどのようなケースがあったのか。

「過去の審査件数は17万件にのぼります。有名な事件ですと、水俣病事件、日航ジャンボ機墜落事件、薬害エイズ事件、明石花火大会歩道橋事件、小沢一郎氏の資金管理団体『陸山会』をめぐる事件などがあります。

例えば、陸山会事件では、検察審査会で起訴相当の議決がありましたが、検察が不起訴にしました。このため、再度、検察審査会での起訴議決を経て、小沢一郎氏が2011年に強制起訴されました。ただし、一審、控訴審ともに無罪判決が下され、上告を見送る形で、小沢氏の無罪が確定しました。

検察審査会の審査に基づいて、検察官が再検討した結果、起訴した事件は約1500件あります。中には、懲役10年といった重い刑に処せられたものもあります」

●『精密司法』の一翼を担った検察の不起訴処分を覆すのには限界がある

なぜ、起訴相当の議決は少ないのか。

「まず手続き的な理由があります。

検察審査会法第39条の5によりますと、検察審査会は、審査の後以下の3つの議決を行うことができるとされています。

(1)起訴を相当と認める時は『起訴を相当とする議決』(起訴相当)

(2)公訴を提起しない処分を不当と認める時は『公訴を提起しない処分を不当とする議決』(不起訴不当)

(3)公訴を提起しない処分を相当と認める時は『公訴を提起しない処分を相当とする議決』(不起訴相当)

そして、検察審査会法第27条によりますと、議決は過半数(6人以上)で決するとされているのですが、『起訴相当』とする議決には、同第39条の5により8人以上(3分の2以上)の多数によらなければならないとされているのです。このように手続きが厳格であることが『起訴相当』議決が少ない理由の一つといえます。

つぎに実体的な理由です。

ご案内のとおり、わが国における刑事事件の有罪率は99.9%を超えます。その理由は、起訴する段階において検察官が証拠を精査したうえで公判を維持できないと判断した場合には不起訴処分にしているからです。すなわち、検察官が不起訴処分とした事案については、たとえ起訴したとしても無罪判決が下される可能性が極めて高いわけです。

このようにかつては『精密司法』の一翼を担った検察官の不起訴処分という終局判断に対しては、一般国民の良識を反映させるとしても、なかなか『起訴相当』議決を下すことは難しく、自ずと限界があるといえます」

(弁護士ドットコムニュース)

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