6260.jpg
出前の「寿司桶」、洗わず返す客に有吉が激怒…洗う義務ってあるの?
2017年03月18日 09時59分

出前の容器を洗わずに返す客に憤る視聴者からの意見が、3月8日放送のトーク番組「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日)で取り上げられた。

意見を寄せたのは宅配寿司の配送のアルバイトをしている男性。男性は、寿司桶を洗わないで返す客が多いことについて、「一人暮らしの学生ならまだ理解もできますが子供のいる家庭でも平気でそのまま返してきます」「しかも食べ残しの食材やゴミまでそのまま」と戸惑っているという。

さらに、10代から60代の男女500人に聞いたアンケートでは、24%が出前の容器を洗わずに返却していると答えたこともわかった。洗わない人たちの「俺の仕事じゃない」「洗う料金をもらってない」という主張に対して、有吉弘行さんは「出た出たほら客が偉いパターン」「『お客様は神様です』お前が言うな」と激怒した。

この日の放送について、ネット上では「軽く水洗い程度は常識だと思っていました」「洗わない。店先で食べても洗わないのに出前だと洗わなきゃいけないのかがわからない」など様々な意見が上がっていた。出前を取った際、客には、空になった容器を洗って返却する義務があるのだろうか。髙橋裕樹弁護士に聞いた。

出前の容器を洗わずに返す客に憤る視聴者からの意見が、3月8日放送のトーク番組「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日)で取り上げられた。

意見を寄せたのは宅配寿司の配送のアルバイトをしている男性。男性は、寿司桶を洗わないで返す客が多いことについて、「一人暮らしの学生ならまだ理解もできますが子供のいる家庭でも平気でそのまま返してきます」「しかも食べ残しの食材やゴミまでそのまま」と戸惑っているという。

さらに、10代から60代の男女500人に聞いたアンケートでは、24%が出前の容器を洗わずに返却していると答えたこともわかった。洗わない人たちの「俺の仕事じゃない」「洗う料金をもらってない」という主張に対して、有吉弘行さんは「出た出たほら客が偉いパターン」「『お客様は神様です』お前が言うな」と激怒した。

この日の放送について、ネット上では「軽く水洗い程度は常識だと思っていました」「洗わない。店先で食べても洗わないのに出前だと洗わなきゃいけないのかがわからない」など様々な意見が上がっていた。出前を取った際、客には、空になった容器を洗って返却する義務があるのだろうか。髙橋裕樹弁護士に聞いた。

●「寿司桶を洗うよう請求することはできない」

「非常に面白い問題ですね。結論としては、宅配寿司のお店が客に対して、寿司桶を洗うよう請求することはできないと考えられます」

高橋弁護士はこのように述べる。

「寿司桶を洗うことは、道徳的・道義的な義務と捉える余地はありますが、法律上の義務とは考えにくいですし、当事者間の合意によって義務が発生しているとも考えにくいと思います。

また、仮に、寿司桶を洗って返す道徳的・道義的義務があるとしても、その義務は、客に対して洗うよう請求したり、裁判で求めたり、強制的に洗うよう命じることができない義務(債務)だと思われます。

ただ、この点を深堀りしていくと、義務(債務)とは何か、債務の種類にはどういったものがあるのか、という民法学者が行っている議論にもわたってしまいます。法律家でも、立場によって色々な考え方ができる問題のように思いますので、ここでは深い法律論には入らず、私見を簡単に説明させていただきます」

●契約の要素に「寿司桶を洗って返す」義務が含まれているとは考えにくい

「まず、宅配寿司は、法律的には『売買契約』もしくは『サービス供給契約』にあたるものと思われます。

この契約の申込み、すなわち寿司注文の際に、通常は、お店が客と飲食後に寿司桶を洗って返す合意をしていたり、チラシなどに『寿司桶を洗っていただきます』と記載していたなどの事情はないでしょう。

そのように考えると、宅配寿司注文という契約の要素に、『客が寿司桶を洗って返す』という義務が含まれていると解釈することは難しいのではないでしょうか」

軽く洗うくらいは当然だと考えている人もいるようだが…。

「確かに有吉さんが番組でコメントしたように、皿くらい洗って返すのが常識だろうと考える方も多いと思います。

もし寿司桶を洗って返すことが、誰しもが守っている暗黙のルールや慣例になっているといえるような事情があれば、道徳的・道義的義務はあるのかもしれません。

しかし、そこまでに至っているといえるかは疑問です。ネット上でも賛否両論が飛び交っていますし、例えば、大人数が集まる親族の集まりなどで宅配寿司が振舞われた時に、大人数分の寿司桶を全て洗って返すのが当然かといわれると、やはり疑問が残るように感じます。

お店にとっても、寿司桶を目にする周辺住民にとっても、寿司桶を洗って返すことが望ましいでしょう。僕も洗って返します。しかし、洗って返さなければいけない義務まではなく、お店が客に対して寿司桶を洗うよう請求することもできないと思われます」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る