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「事件を風化させたくない」12月13日にNHK「未解決事件」 SNSでも情報募る
2015年12月10日 10時30分

殺人などの未解決事件を検証するNHKスペシャル「未解決事件 追跡プロジェクト」が12月13日に放送される。発生当時は大きく報道されるものの、解決に至らない場合は社会から忘れられてしまう事件も多い中、番組を通じて、事件を風化させず、新たな情報収集につなげようとしている。今回の放送では、フェイスブックやツイッターなどのSNSも活用して、幅広く呼びかけをおこなっている。番組ディレクターに話を聞いた。(取材・構成/新志有裕)

殺人などの未解決事件を検証するNHKスペシャル「未解決事件 追跡プロジェクト」が12月13日に放送される。発生当時は大きく報道されるものの、解決に至らない場合は社会から忘れられてしまう事件も多い中、番組を通じて、事件を風化させず、新たな情報収集につなげようとしている。今回の放送では、フェイスブックやツイッターなどのSNSも活用して、幅広く呼びかけをおこなっている。番組ディレクターに話を聞いた。(取材・構成/新志有裕)

●視聴者から寄せられた情報を追跡

NHKの特別番組「未解決事件」は2011年に放送が始まり、これまで「グリコ・森永事件」「オウム真理教」「尼崎殺人死体遺棄事件」といった過去の大きな事件に注目してきた。その企画の一環として、2015年3月には「未解決事件 追跡プロジェクト」として、15年前に起きた「世田谷一家殺人事件」など、現在も捜査が続いている事件を扱った。今回の番組は「追跡プロジェクト」第2弾となる。

制作を担当したNHK報道局 社会番組部の新名洋介ディレクターは「今年3月の放送では、取材した内容を視聴者に投げかける形で情報を募りました。3000件の感想と『当時、現場で不審な男を見た』『知り合いが犯人ではないか』など、100件以上の情報が寄せられました。今回は、その情報を追跡取材した内容を放送します」と第2弾の狙いを語る。

今回の放送では、発生からまもなく15年を迎える「世田谷一家殺害事件」を引き続き扱うとともに、2009年11月に若い女性の切断された遺体が発見された「島根女子大生殺人・死体遺棄事件」の新情報も流す予定だ。また、別の事件で、視聴者から寄せられた情報をもとに追跡取材した内容も明らかにする。

●番組コンセプトは事件の「検証」

ただ、番組のコンセプトは、あくまで事件を「検証」することであって、直接的に解決を図るものではないという。

新名ディレクターは「私たちは捜査機関ではないので、犯人を追うのではなく、忘れられた事件を広く社会に知ってもらうことを目指しています。警察の捜査にもミスがある場合もあります。番組では捜査のあり方も検証しています」と語る。

通常のニュース番組では、発生直後の報道ラッシュがあっても、未解決となってしまうと次第に報道も減ってしまうため、特別番組という形で、視聴者に改めて事件のことを思い返してもらうことを重視している。

「ニュースで流したとしても、見ている人の心に残るとは限りません。フローで流れているニュースをせき止めて、過去の事件を検証することに意味があります。事件について、記憶を呼び起こしてもらうために、番組では再現映像も交えています」

さらに、新名ディレクターは、被害者遺族にとっても意義があると強調する。

「遺族としては、被害者のことを忘れられてしまうのは悲しいことです。番組を見て、被害者に思いをはせていただくだけでも、意味のあることだと思います。風化を防ぎたいです」

●独自のSNSアカウント開設、ほぼ毎日情報を発信

追跡プロジェクトでは、フェイスブックやツイッター、LINEといったSNSの活用にも積極的だ。事件の概要や画像、ニュース映像など掲載したホームページの情報をSNSで流して、メールや電話で情報を募っている。

新名ディレクターは「放送をすると電話での情報提供が増えますが、電話をするのはハードルが高いという人もいます。また、警察に連絡することをためらう人もいました。そういう人でも、ツイッターやフェイスブックの投稿をきっかけに、ホームページを見て、メールで情報を寄せていただくことならできます」とネットを活用することの意義を語る。

ツイッターもフェイスブックも番組オリジナルのアカウントを開設し、ほぼ毎日、未解決事件の情報を流している。ホームページでは、今年8月に発生した中野区マンション劇団員殺害事件のように、新たな未解決事件の情報も随時追加されている。

新名ディレクターは「今回の放送では、スタジオもネットとの連動も意識したものにしています。より多くの人に情報が広がるようにしたい」と意気込んでいる。

番組は12月13日午後9時00分から10時13分まで、NHK総合で放送される。

追跡プロジェクトのホームページ http://www.nhk.or.jp/mikaiketsu/

フェイスブック https://www.facebook.com/nhkmikaiketsu

ツイッター https://twitter.com/nhk_mikaiketsu

(弁護士ドットコムニュース)

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