6364.jpg
ヤマト運輸に是正勧告、横浜の支店で違法残業…元運転手「ずっと昔からブラック」
2017年03月10日 00時00分

横浜市にあるヤマト運輸の支店が、昨年12月8日付で横浜北労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、複数関係者への取材で分かった。労使で決めた上限を超えて、従業員に違法な時間外労働をさせていたという。未払い残業代の支給など、連日報道されるヤマトの労働環境改善策の一因とみられる。

是正勧告を受けたのは、神奈川平川町支店。元セールスドライバー2人が労基署に実態を申告していた。2人の訴えにより、この支店には昨年8月にも、(1)法定の休憩時間が取得できていないこと、(2)未払い残業代があること、について是正勧告が出ている。

今回の是正勧告について、労基署は2人にも、どの期間が違法残業だったかは示していない。ただし、2人を支援する神奈川労連によると、ヤマト運輸の36協定では、残業時間の上限(2015年)は年間529時間なのに、2人の残業時間は年間900時間前後もあったという。2 人は現在、未払い残業代を求めて、労働審判で争っている。

このうち1人が3月8日、弁護士ドットコムニュースの取材に応え、次のように憤りを語った。

「会社やヤマト運輸労働組合には何度も労働環境の改善を訴えてきたが、聞き入れてもらえなかった。荷受けの抑制や未払い残業代の支給といった施策が連日報道されているが、なぜ今なのか。一見素晴らしい会社のように映るが、行政に指摘されたからあわててやっただけにしか思えない。

確かにAmazonの荷物を運ぶようになって、労働密度があがり仕事はきつくなった。ただ、夜も時間指定の配送があるので、終業時間はそんなに変わらない。法律上、未払い賃金は過去2年分しか請求できないが、ずっと昔から、ヤマトはドライバーのサービス残業で成り立っていた」

横浜市にあるヤマト運輸の支店が、昨年12月8日付で横浜北労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、複数関係者への取材で分かった。労使で決めた上限を超えて、従業員に違法な時間外労働をさせていたという。未払い残業代の支給など、連日報道されるヤマトの労働環境改善策の一因とみられる。

是正勧告を受けたのは、神奈川平川町支店。元セールスドライバー2人が労基署に実態を申告していた。2人の訴えにより、この支店には昨年8月にも、(1)法定の休憩時間が取得できていないこと、(2)未払い残業代があること、について是正勧告が出ている。

今回の是正勧告について、労基署は2人にも、どの期間が違法残業だったかは示していない。ただし、2人を支援する神奈川労連によると、ヤマト運輸の36協定では、残業時間の上限(2015年)は年間529時間なのに、2人の残業時間は年間900時間前後もあったという。2 人は現在、未払い残業代を求めて、労働審判で争っている。

このうち1人が3月8日、弁護士ドットコムニュースの取材に応え、次のように憤りを語った。

「会社やヤマト運輸労働組合には何度も労働環境の改善を訴えてきたが、聞き入れてもらえなかった。荷受けの抑制や未払い残業代の支給といった施策が連日報道されているが、なぜ今なのか。一見素晴らしい会社のように映るが、行政に指摘されたからあわててやっただけにしか思えない。

確かにAmazonの荷物を運ぶようになって、労働密度があがり仕事はきつくなった。ただ、夜も時間指定の配送があるので、終業時間はそんなに変わらない。法律上、未払い賃金は過去2年分しか請求できないが、ずっと昔から、ヤマトはドライバーのサービス残業で成り立っていた」

●全社的な問題に発展する可能性も

調査はこれで終わったわけではない。複数の現役ドライバーによると、労基署は是正勧告が出た平川町支店が所属する「神奈川主管」の複数ドライバーのタイムカードを集め、分析しているようだ。

神奈川主管では今年1月にドライバーを集め、タイムカードの記録などを見ながら、残業代についての面談を実施した。しかし、2015年12月分のタイムカードについては、「担当者から『労基署に持って行かれたので原本がない』との説明を受けました」とあるドライバーは語る。

12月は宅配便業者にとって、もっとも忙しい時期だ。別のドライバーに、その月のタイムカードのコピーを見せてもらったところ、36協定の上限(月101時間)を超える残業時間が記録されていた。どこまでが労働時間と認定されるかは労基署次第だが、今後、支店を超えて、全社的な問題に発展する可能性がある。

ヤマト運輸は弁護士ドットコムニュースに対し、「是正勧告が出たことは事実だが、(自動車運転者の)改善基準(告示)違反という以外、内容については回答を差し控えたい。また、タイムカードの件についても答えられない」としている。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る