6504.jpg
乳児死亡で「ベッドガードに欠陥」とメーカーを提訴…両親「安全性考えるきっかけに」
2021年02月12日 17時52分

生後9カ月の男児が2017年8月にベッドガードとベッドマットの間に挟まった状態でみつかり、その後死亡が確認された事故で、ベッドガードの安全性が欠如していたとして、男児の両親が2月12日、ベッドガードの製造メーカー「KATOJI(カトージ)」を相手に、約9340万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

2月12日に都内で会見を開いた男児の父親は、「子どもを守れなかった責任は自分たちにもあると思っているが、他の子どもが同じような目にあって欲しくない。裁判を通じてベッドガードの危険性を知ってもらいたい」と話した。

生後9カ月の男児が2017年8月にベッドガードとベッドマットの間に挟まった状態でみつかり、その後死亡が確認された事故で、ベッドガードの安全性が欠如していたとして、男児の両親が2月12日、ベッドガードの製造メーカー「KATOJI(カトージ)」を相手に、約9340万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

2月12日に都内で会見を開いた男児の父親は、「子どもを守れなかった責任は自分たちにもあると思っているが、他の子どもが同じような目にあって欲しくない。裁判を通じてベッドガードの危険性を知ってもらいたい」と話した。

●製品の欠陥を主張「注意表示が不十分だった」

訴状などによると、ベッドガードは、事故の約2週間前の2017年7月26日頃、寝返りを打ち始めていた男児のケガを防ぐために購入。ベッドの横側に隙間が生じないよう注意しながら取り付けた。

事故当日の2017年8月8日、男児は自宅寝室のベッドの中央部付近で昼寝をしており、寝かしつけた母親は寝入っていることや呼吸に問題がないことを確認し、寝室を離れた。いつも起きる際は泣いて知らせるという男児の泣き声が聞こえてこず、「よく眠っている」と思ったという。

しかし、寝室を離れてから約2時間半後、男児の様子を見に行くと、ベッドガードとベッドマットとの間に身体が挟まっており、呼吸をしていなかった。すぐに119番通報したものの、同日死亡が確認された。

検視の結果、死因となった傷病名は「不詳」だったが、両親は挟まれて身動きが取れなくなったことにあると主張。使用したベッドガードは、(1)隙間への転落事故を誘発しやすい製品であり、「製造上または設計上の欠陥」がある、(2)ベッドガード本体に使用上の指示・警告表示がなく、取扱説明書の注意表示も不十分で「指示・警告上の欠陥」があるとして、製造メーカーには製造物責任法上の責任があると訴えている。

●父親「安全性考えるきっかけにしてもらえれば」

画像タイトル 事故当時使用していたベッドガード(2021年2月12日、東京都内、弁護士ドットコム撮影)

死亡事故について、父親は「製造メーカーの責任以前に、自分と妻が息子を死なせてしまったと感じている」と話す。

「危険性に対する認識が甘かった。子どもには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」(父親)

そんな思いの中でも、訴えを起こした理由について、「問題提起し、ベッドガードなどの安全性について、利用者もメーカーも考えるきっかけにしてもらいたい」と話す。

「ベッドガードそのものは需要があるとは思うので、そういった安全のための商品はあった方がいいです。

しかし、私のように、『ないよりあったほうがいい』という安全意識で、ベッドガードを購入する人も一定数いると思います。使うなら細心の注意が必要だということをとにかく知ってもらいたいです。

欧米などでは、ベッドに固定できるベッドガードしか販売されていないようです。日本メーカーの製品は、折りたためて運べるなどの利便性は高いですが、その分構造上の安全性が十分ではなかったのではないかと感じています。すべてのメーカーに製品の安全性について考えてほしいです」(父親)

●母親「幼い命が失われることのない世の中になれば」

母親は会見に出席しなかったものの、書面を通じて次のようにコメントした。

「多くの保護者は危険と隣り合わせの中、緊張感をもって子供の命を守り育てていると思います。私もその一人でしたが、私は、失敗してしまいました。

愛する我が子を苦しませてしまったこと、短い人生で終わらせてしまったことに、申し訳なさと情けなさでいっぱいです。

子供を死なせてしまった人生を生きていくことは、経験してみないと分からない暗闇です。今、一生懸命、子供の命を守りながら子育てをしている方々が、この暗闇を知らないで済むように、幼い命が失われることなく、その家族が平穏な暮らしを送れる世の中になればと思います。微力ながら、本訴訟が、その一助になることを願います」

●製造メーカー側のコメント

カトージは、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「詳細を確認中のため、現時点ではコメントできることはありません」と回答した。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る