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「2時間飲み放題」で酒が出てこない、返金要求できる? マツコは店に配慮「大変よ」
2016年12月03日 10時21分

「飲み放題」で「時間制」なのに、お酒が出てくるのが遅いーー。そんな飲食店に憤る視聴者の意見がトーク番組「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日)で取り上げられた。

11月16日の放送で紹介されたのは、「飲み放題をやっている居酒屋さんに怒っています」という視聴者の投稿。限られた時間なのに、「注文しようとしても店員がなかなか来ない」「お酒が出てくるのが遅い」といったお店が多いのだという。店員やお酒が来ない場合は「(時間を延長して注文できる)ロスタイムを導入してほしい」と訴えていた。

これに対し、マツコさんは、飲み放題だと「(対応する店側は)大変よ」と寛容な意見を語っていたが、番組では、居酒屋20軒に聞いたところ、飲み放題の客への対応を、通常の客よりも後回ししたという店舗が7軒あったという調査結果も紹介されていた。

「飲み放題」システムの飲食店で店員の対応が遅く、満足にお酒を飲めなかった場合、代金の減額や返金を求めることはできるのだろうか。消費者問題に詳しい前島申長弁護士に聞いた。

「飲み放題」で「時間制」なのに、お酒が出てくるのが遅いーー。そんな飲食店に憤る視聴者の意見がトーク番組「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日)で取り上げられた。

11月16日の放送で紹介されたのは、「飲み放題をやっている居酒屋さんに怒っています」という視聴者の投稿。限られた時間なのに、「注文しようとしても店員がなかなか来ない」「お酒が出てくるのが遅い」といったお店が多いのだという。店員やお酒が来ない場合は「(時間を延長して注文できる)ロスタイムを導入してほしい」と訴えていた。

これに対し、マツコさんは、飲み放題だと「(対応する店側は)大変よ」と寛容な意見を語っていたが、番組では、居酒屋20軒に聞いたところ、飲み放題の客への対応を、通常の客よりも後回ししたという店舗が7軒あったという調査結果も紹介されていた。

「飲み放題」システムの飲食店で店員の対応が遅く、満足にお酒を飲めなかった場合、代金の減額や返金を求めることはできるのだろうか。消費者問題に詳しい前島申長弁護士に聞いた。

●「不実告知」にあたるような場合は、契約を取り消すことができる

「居酒屋におけるお客は『消費者』にあたり、居酒屋は『事業者』にあたるので、居酒屋で飲食を行う行為は、消費者契約(消費者と事業者との間で締結される契約)に該当し、消費者契約法の適用を受けることになります。

消費者契約法では、重要事項につき不実告知(事実と異なる説明をすること)をした場合、消費者側は契約を取り消すことができます(消費者契約法4条1項1号)。

つまり、消費者が契約を締結・決定をするにあたって、(1)判断材料となる主要な要素(重要事実)につき、(2)消費者の契約締結の意思形成に影響を与える勧め方(勧誘)をした結果、(3)消費者が告げられた内容を事実であると誤認した場合には、契約を取り消すことができるのです」

前島弁護士はこのように述べる。飲み放題で満足に飲食ができなかったというケースは、取り消しができる場合にあたるのか。

「結論から言えば、契約の取り消しが認められるケースはありうると考えられます。

飲み放題の飲食において、どの程度の量の飲食が提供されるかは、まさにその居酒屋で飲み放題を注文するかどうかの判断材料となります(通常、飲み放題と謳う以上、定額で個別注文するよりも多量の飲食の提供を受けられると考えるのが通常だと思われます)。

店によっては、『ひとり●杯以上飲まれるなら、飲み放題の方がお得ですよ』などと店員が個別に勧めるケースもあるでしょう。

それなのに、実際に飲み放題を注文すると、店の店員が注文を取りに来なかったり、お酒が出てくるのが遅くなったりした結果、個別に注文するより少ない量のお酒しか飲めなかったというような場合は、契約を取り消すことができると考えられます」

契約が取り消された場合、お会計はどのような扱いになるのか。

「契約が取り消された場合、契約は、無効であった(はじめからなかった)ことになります。すでにお会計を支払った後であれば、代金を不当利得として、店側に返還を求めることができます(原状回復義務)。

一方、お客(消費者)の側も現存利益の限度で、契約によって得た利益を店側に返還する義務を負うことになります。つまり、実際に飲み食いした分は代金を支払う必要があるということです。

したがって、お客は、消費した飲食の相当額を差し引いた代金の返還を求めることが可能と思われます」

(弁護士ドットコムニュース)

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