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クラウドファンディングの利用にあたって法的に注意すべきこと
2012年06月08日 18時30分

個人や団体が理念や目的を掲げて、インターネットを通じて不特定多数の賛同者から出資を募る「クラウドファンディング」という手法がある。例えばあるインターネットサイトにて、飢餓に苦しむ子供たちへの支援を目的として個人や団体が寄付を呼びかけ、目的や寄付金の使途などに賛同した人はサイト上の決済システムを通じて出資することができる、といった仕組みがクラウドファンディングにあたる。

クラウドファンディングには他にも様々な形態があり、例えば飲食店の新規出店資金を募って出資者には優待割引適用のほかオーナーとしての名刺を配布することや、スポーツなどの競技大会での優勝を目指して活動するための資金を募って出資者には大会後に活動記録と記念品を贈るなど、多様な形態で出資を募ることが可能だ。(ただし所定の期限内に目標金額を集められなかった場合、その出資募集は不成立となり、出資を申し出ていた人にそれぞれの出資額が戻される。)

クラウドファンディングには出資者が経済的な見返りを求めない「寄付型」のほか、金銭的なリターンを期待して出資される「投資型」、物品の贈呈やイベント招待など金銭以外のリターンを期待して出資される「購入型」の3種類があるといわれる。いずれにせよ、個人や団体は出資を募る際にその動機や集めた資金の使途、出資者への御礼などについて予め明らかにし、それに賛同する人が自由意志で出資するという関係で成り立つものだ。

ユニークな内容の出資募集が注目を集めるなど、にわかに利用者の広がりを見せつつあるクラウドファンディングだが、なかには思わぬトラブルに発展してしまうケースもあるようだ。アメリカではあるゲーム開発プロジェクトの出資募集について、結果的に出資募集は不成立になったものの、そもそも実態のないプロジェクトであった可能性が高かったという疑惑が報じられた。

それではクラウドファンディングの利用にあたって、法的な観点からはどのようなことに気をつけるべきなのか。出資を募る立場と出資する立場、それぞれについての注意点を、ネットトラブル等に詳しい清水陽平弁護士に聞いた。

「出資を受ける側は、出資を受けたいプロジェクトなどのアイディアをある程度公表することが必要になります。アイディアはそのままでは知的財産権の保護は及ばないことがあり、アイディアを盗用されて、より上手いビジネスモデルなどを考え出されてしまっても、泣き寝入りするしかないというケースも出てくるかもしれません。そのため、出資を受ける側としては、自分のアイディアをどのように守るのかということを考えておくべきといえるでしょう。」

「また、女子大生が学費を支援して欲しいということで出資を募ったところ、自分が遊ぶためのもので『甘え』ではないか、と批判されたケースもあるので、出資者となる方の共感を得て、批判を受けないようなプロジェクトを考える必要もあると思います。出資をしてもそのプロジェクトが成功するかどうかは誰にも分かりませんから、多額の出資をしてもリターンはゼロというケースもあり得ます。投資である以上、出資先を自己責任で選ぶ必要があります。」

「また、クラウドファウンディングのうち『寄付型』のものについて、寄付といっても寄付金控除の対象にはならないということも注意が必要です。寄付金控除の対象は、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対する寄付の場合だからです。他方で、出資(寄付)を受けた側は、法的には贈与を受けたということになるため、その金額が年間110万円を超えていれば、贈与税を支払うことが必要になるケースもあるといえます。」

「なお、クラウドファウンディングを利用するためには、実際上、業者を介することが必要となると思いますが、業者にお金を持ち逃げされることがないよう、信頼性のある業者を選定するということは、出資を受ける側でも出資する側でも重要といえます。」

クラウドファンディングは比較的新しいサービスのため、様々なトラブルやその対処事例が広く認知されているわけではなく、リスクに対する認識が薄いまま利用することで思わぬトラブルに繋がってしまう恐れはある。

今後多くの人が安心して利用できるサービスとして根付くためにも、どのようなことに注意すべきか、正しい認識を持っておきたい。

(弁護士ドットコムニュース)

個人や団体が理念や目的を掲げて、インターネットを通じて不特定多数の賛同者から出資を募る「クラウドファンディング」という手法がある。例えばあるインターネットサイトにて、飢餓に苦しむ子供たちへの支援を目的として個人や団体が寄付を呼びかけ、目的や寄付金の使途などに賛同した人はサイト上の決済システムを通じて出資することができる、といった仕組みがクラウドファンディングにあたる。

クラウドファンディングには他にも様々な形態があり、例えば飲食店の新規出店資金を募って出資者には優待割引適用のほかオーナーとしての名刺を配布することや、スポーツなどの競技大会での優勝を目指して活動するための資金を募って出資者には大会後に活動記録と記念品を贈るなど、多様な形態で出資を募ることが可能だ。(ただし所定の期限内に目標金額を集められなかった場合、その出資募集は不成立となり、出資を申し出ていた人にそれぞれの出資額が戻される。)

クラウドファンディングには出資者が経済的な見返りを求めない「寄付型」のほか、金銭的なリターンを期待して出資される「投資型」、物品の贈呈やイベント招待など金銭以外のリターンを期待して出資される「購入型」の3種類があるといわれる。いずれにせよ、個人や団体は出資を募る際にその動機や集めた資金の使途、出資者への御礼などについて予め明らかにし、それに賛同する人が自由意志で出資するという関係で成り立つものだ。

ユニークな内容の出資募集が注目を集めるなど、にわかに利用者の広がりを見せつつあるクラウドファンディングだが、なかには思わぬトラブルに発展してしまうケースもあるようだ。アメリカではあるゲーム開発プロジェクトの出資募集について、結果的に出資募集は不成立になったものの、そもそも実態のないプロジェクトであった可能性が高かったという疑惑が報じられた。

それではクラウドファンディングの利用にあたって、法的な観点からはどのようなことに気をつけるべきなのか。出資を募る立場と出資する立場、それぞれについての注意点を、ネットトラブル等に詳しい清水陽平弁護士に聞いた。

「出資を受ける側は、出資を受けたいプロジェクトなどのアイディアをある程度公表することが必要になります。アイディアはそのままでは知的財産権の保護は及ばないことがあり、アイディアを盗用されて、より上手いビジネスモデルなどを考え出されてしまっても、泣き寝入りするしかないというケースも出てくるかもしれません。そのため、出資を受ける側としては、自分のアイディアをどのように守るのかということを考えておくべきといえるでしょう。」

「また、女子大生が学費を支援して欲しいということで出資を募ったところ、自分が遊ぶためのもので『甘え』ではないか、と批判されたケースもあるので、出資者となる方の共感を得て、批判を受けないようなプロジェクトを考える必要もあると思います。出資をしてもそのプロジェクトが成功するかどうかは誰にも分かりませんから、多額の出資をしてもリターンはゼロというケースもあり得ます。投資である以上、出資先を自己責任で選ぶ必要があります。」

「また、クラウドファウンディングのうち『寄付型』のものについて、寄付といっても寄付金控除の対象にはならないということも注意が必要です。寄付金控除の対象は、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対する寄付の場合だからです。他方で、出資(寄付)を受けた側は、法的には贈与を受けたということになるため、その金額が年間110万円を超えていれば、贈与税を支払うことが必要になるケースもあるといえます。」

「なお、クラウドファウンディングを利用するためには、実際上、業者を介することが必要となると思いますが、業者にお金を持ち逃げされることがないよう、信頼性のある業者を選定するということは、出資を受ける側でも出資する側でも重要といえます。」

クラウドファンディングは比較的新しいサービスのため、様々なトラブルやその対処事例が広く認知されているわけではなく、リスクに対する認識が薄いまま利用することで思わぬトラブルに繋がってしまう恐れはある。

今後多くの人が安心して利用できるサービスとして根付くためにも、どのようなことに注意すべきか、正しい認識を持っておきたい。

(弁護士ドットコムニュース)

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