「玄関応対料金、5分ごとに3000円」。そんな文言が記されたステッカーが通販サイトで販売され、話題を呼んでいます。
SNS上では「法的に有効なのか」「逆に払えば話を聞いてもらえるのか」といった疑問もあがっています。
弁護士ドットコムニュース編集部は、実際にこのステッカーを購入。訪問セールスや業者のあいさつ、宗教の勧誘などに応対した場合、「5分ごとに3000円」の費用が発生する、と記載されていました。
はたして、このような請求は本当に法的に通用するのでしょうか。大和幸四郎弁護士に聞きました。
●「警告」であり請求権は発生しない
──このようなステッカーを掲示して、実際に料金を請求することは法的に有効なのでしょうか。
すでに多くの法律家の方がコメントされていますが、私見としてお答えします。
このステッカーは「訪問セールスや業者のあいさつ、宗教の勧誘をやめてください」という『警告』の意味を持つものと考えられます。
したがって、「5分ごとに3000円」と書かれていても、その文言に法的な効力はなく、実際に請求権が発生するものではないといえるでしょう。
●応対する義務もない
──では、訪問者が「3000円払うから話を聞いてほしい」と言った場合、応対する義務は生じますか。
契約は「申し込み」と「承諾」の一致によって成立します。
しかし、このステッカーはあくまで『警告』であり、訪問される人の意思とは異なるため、基本的には義務は生じないと思います。
●不当請求にあたる可能性は?
──逆に、このようなステッカーを掲示することで、不当請求に問われるリスクはないのでしょうか。
見解の相違はありえますが、「訪問セールスや業者のあいさつ、宗教の勧誘をやめてください」という『警告』ですので、不当請求にあたるとは考えにくいです。
──訪問販売や宗教の勧誘を煩わしく感じる人は少なくありません。何かアドバイスはありますか。
このようなステッカーも『警告』という意味合いでは一定の効果が期待できます。
さらに、防犯カメラを設置する、同じ人物が繰り返し訪問する場合には警察に相談するなどの対応も有効です。
また、費用はかかりますが、ホームローヤーと契約し、「弁護士に通報します」といった文言を加えることも抑止効果につながるでしょう。