6862.jpg
「指紋認証」搭載の新型iPhone 「偽造指紋」でロック解除したら犯罪になる?
2013年10月11日 12時25分

アップル社が9月20日に全世界で発売した新型iPhone。発表直後には意外性がない、などとくさす声も上がったが、どっこい、売れに売れているようだ。発売後3日間の販売台数は、過去最高の900万台を超えているという。

上位機種のiPhone 5sに追加された目玉機能の一つが、指紋認証機能「Touch ID」だ。これで、ロック状態を解除する際などの、面倒なパスワード入力が省略できる。セキュリティもばっちり安心……と思っていたら、ロイター通信から驚きのニュースが飛び込んできた。

なんと、ドイツの「ハッカー集団」が、早くもこの新セキュリティを破り、偽造した指紋で認証を突破したというのだ。ただし、報道によると、認証を突破するためにはあらかじめ、対象者の指紋を撮影し、透明なシートに印刷する必要があるようだが。

もしこのような方法で他人のiPhoneのロックを解除した場合、何かの法律に触れることになるのだろうか。盗んだIDやパスワードで、ネットワーク上のパソコンなどに不正アクセスした場合はいわゆる「不正アクセス禁止法違反」になるはずだが……。iPhone 5sをさっそく仕事に活用しているという澤藤亮介弁護士に聞いた。

アップル社が9月20日に全世界で発売した新型iPhone。発表直後には意外性がない、などとくさす声も上がったが、どっこい、売れに売れているようだ。発売後3日間の販売台数は、過去最高の900万台を超えているという。

上位機種のiPhone 5sに追加された目玉機能の一つが、指紋認証機能「Touch ID」だ。これで、ロック状態を解除する際などの、面倒なパスワード入力が省略できる。セキュリティもばっちり安心……と思っていたら、ロイター通信から驚きのニュースが飛び込んできた。

なんと、ドイツの「ハッカー集団」が、早くもこの新セキュリティを破り、偽造した指紋で認証を突破したというのだ。ただし、報道によると、認証を突破するためにはあらかじめ、対象者の指紋を撮影し、透明なシートに印刷する必要があるようだが。

もしこのような方法で他人のiPhoneのロックを解除した場合、何かの法律に触れることになるのだろうか。盗んだIDやパスワードで、ネットワーク上のパソコンなどに不正アクセスした場合はいわゆる「不正アクセス禁止法違反」になるはずだが……。iPhone 5sをさっそく仕事に活用しているという澤藤亮介弁護士に聞いた。

●偽造指紋による本体のロック解除は「不正アクセス」にはならない

「まず、偽造された指紋を使用してiPhone本体のロックを解除すること自体は、『不正アクセス禁止法』の『不正アクセス行為』には該当しません。

この法律で禁止されているのは、ネットワークを介した不正アクセスです。指紋認証によるiPhone本体のロック解除は、ネットワークを介さない機能なので、この法律の対象とならないのです」

このように澤藤弁護士は説明しながら、次のように続ける。

「しかし、ロック解除後に、iPhone本体に記憶されているIDとパスワードを使用して、インターネット上のサービスを利用すれば話は別です。

Yahoo!メールやGmailなどを立ち上げて、iPhone使用者本人のメールを閲覧したり、楽天、Amazonなどで買物をすれば、同法の『不正アクセス行為』に該当し、処罰の対象となります。法定刑は3年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。

また同様に、偽造の指紋を使用して、Touch IDでApp Storeからアプリを購入する行為もこれに含まれるでしょう。こうした行為はほかに、刑法の『電子計算機使用詐欺罪』に該当する可能性も出てきます」

●他人のiPhoneの情報を盗み見れば「プライバシー侵害」の可能性

澤藤弁護士はまた、民事上の責任についても注意を促す。

「勝手にロックを解除して、iPhone本体に記録されている情報を盗み見した場合、ネットワークを介したかどうかに関わらず『プライバシー権の侵害』になる可能性があります。さらに盗み見た情報を第三者に公開までしてしまうと、民法上の『不法行為』として、持ち主から損害賠償を請求される可能性も考えられます」

他人の持ち物をのぞき見てはいけない、というのは常識だが、スマートフォンだとなおさら、「ついつい見てしまった」では済まないようなプライベート情報が入っている可能性もあるだろう。

澤藤弁護士は「近年、不正アクセス行為での検挙数も増加しているとともに、2012年の法改正では量刑も以前より重くなっています」と指摘。「どのような行為が処罰の対象となるのか、知っておく必要性は益々高まっていると言えるでしょう」とアドバイスしていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る