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父の虐待、離婚9年後も爪痕…「引きこもり」の青年、賠償金はとれる?
2019年01月01日 09時47分

9年前に離婚した元夫に対し、子どもの虐待について損害賠償を請求したいという女性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられています。

その女性によると、元夫の虐待がトラウマとなり、「適応障害になり成人した今でも引きこもりになって」いるといいます。

しかし、離婚したのは9年前。「今さらとは思いますが」と話し、損害賠償を請求する上で時効があるのではないかと心配していました。

今回のケースで、女性は元夫に対して損害賠償請求をすることができるのでしょうか。早川雅子弁護士に聞きました。

9年前に離婚した元夫に対し、子どもの虐待について損害賠償を請求したいという女性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられています。

その女性によると、元夫の虐待がトラウマとなり、「適応障害になり成人した今でも引きこもりになって」いるといいます。

しかし、離婚したのは9年前。「今さらとは思いますが」と話し、損害賠償を請求する上で時効があるのではないかと心配していました。

今回のケースで、女性は元夫に対して損害賠償請求をすることができるのでしょうか。早川雅子弁護士に聞きました。

●損害賠償請求は認められる?

ーー今回のケースでは、損害賠償請求は認められるのでしょうか

「損害賠償請求が認められるには、元夫の虐待行為があった事実及びそれによって、子どもが適応障害になり引きこもりになったという因果関係を立証しなければなりません。

結論から言えば、当時から精神科医や心療内科等で診察を受けていた診療録や診断書等が無ければ、損害賠償が認められるのは難しいと思われます」

ーー仮に証拠などが揃い、因果関係も認められたらどうでしょうか。その場合、時効はあるのでしょうか

「法律では、不法行為による損害賠償請求は、時効消滅すると規定しています(民法724条)。問題は、時効の起算点はどこになるかです。請求権を行使できる程度に損害や加害者を認識できるようになった時が、起算点です。

つまり、親からの虐待があった時ではなく、適応障害の症状が生じたときからとなります。

ただし、不法行為のときから20年経過した時も同様に消滅すると規定していますから(民法724条)、虐待行為時から20年経過すると消滅します」

●請求するのは、母親ではなく、子ども

ーー今回のケースでは、どう判断されますか

「すでに被害者は成人していることから、虐待から20年が経過している可能性もあります。しかし離婚して9年しか経過していないとのことです。離婚した頃まで虐待が継続していたとすれば、時効には該当しないと考えられます。

なお、子どもは成人していますから、請求の主体は、母親ではなく、子どもです」

ーーちなみに相談者は離婚しています。離婚の慰謝料として請求することもできるのでしょうか

「子どもに虐待することが離婚原因であり、離婚に伴う慰謝料の請求として請求する方法も考えられます。ただ、離婚から3年以上経過していることから、母親による請求は困難です」

(弁護士ドットコムニュース)

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