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「著作権侵害サイト」への接続を強制遮断・・・政府が検討する「仕組み」の課題は?
2015年07月23日 10時47分

取り締まりが難しい海外サーバを利用した「著作権侵害サイト」について、日本国内からのアクセスを強制的に遮断できる仕組みづくりを、政府が検討することになったと報じられた。

日本経済新聞によると、政府は、インターネットの接続事業者が、著作権者側の要請に応じて、強制的に利用者の閲覧を遮断できる「ブロッキング」の導入を検討する。内閣官房の知的財産戦略本部(本部長・安倍晋三首相)に有識者会議を設置。通信事業者や専門家と連携して、来年3月にも仕組みを決めるという。

現在でも、国内サイトが著作権侵害をしている場合は、「プロバイダ責任制限法」にもとづいて、サイト運営者が発信者の同意なしで削除できる。刑事事件として立件し、強制捜査や摘発に乗り出すこともできる。しかし、中国や韓国など海外の大手動画投稿サイトの運営者らに削除を求めても、対応は鈍いのだという。

一方で、こうしたブロッキングは、電気通信事業法が禁じている通信事業者による「通信検閲」にあたるとの見方もある。法律の専門家はどのように見るのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。

取り締まりが難しい海外サーバを利用した「著作権侵害サイト」について、日本国内からのアクセスを強制的に遮断できる仕組みづくりを、政府が検討することになったと報じられた。

日本経済新聞によると、政府は、インターネットの接続事業者が、著作権者側の要請に応じて、強制的に利用者の閲覧を遮断できる「ブロッキング」の導入を検討する。内閣官房の知的財産戦略本部(本部長・安倍晋三首相)に有識者会議を設置。通信事業者や専門家と連携して、来年3月にも仕組みを決めるという。

現在でも、国内サイトが著作権侵害をしている場合は、「プロバイダ責任制限法」にもとづいて、サイト運営者が発信者の同意なしで削除できる。刑事事件として立件し、強制捜査や摘発に乗り出すこともできる。しかし、中国や韓国など海外の大手動画投稿サイトの運営者らに削除を求めても、対応は鈍いのだという。

一方で、こうしたブロッキングは、電気通信事業法が禁じている通信事業者による「通信検閲」にあたるとの見方もある。法律の専門家はどのように見るのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。

●「検閲」にあたるか?

「電気通信事業法3条は『電気通信事業者の取扱中に係る通信は、検閲してはならない』としています。

憲法21条2項にも『検閲』の禁止が定められているのですが、電気通信事業法の『検閲』もこれと同義であるとされています。

検閲とは、『行政権が主体となって、全部又は一部の発表の禁止を目的として、思想内容などの表現物を網羅的一般的に審査し、不適当と認めるものの発表を禁止すること』です」

今回の「ブロッキング」は検閲にあたるのだろうか。

「ブロッキングをすれば、サイトへの接続自体ができなくなります。そのため、網羅的・一般的に発表が禁止されるといえ、検閲に当たりそうに見えます。

しかし、インターネット接続事業者は民間業者であるため、検閲の定義のうち『行政権が主体となって』に該当しません。そのため、インターネットの接続事業者が自主的にブロッキングの措置をとる限り、『検閲』に当たらないことになります」

●「通信の秘密」を侵害しないか?

そうであれば、法的に問題はないということだろうか。

「そうとは言い切れません。

電気通信事業法4条は、電気通信事業者について『通信の秘密は、侵してはならない』として、広く規制をしています。

そして、『通信の秘密』は、通信内容を推知できる情報であれば、全て対象となると考えられています。

通信内容はもちろん、通信の日時、場所、当事者の氏名、電話番号、IPアドレスなどの識別符号なども含むとされています。

そもそも、ブロッキングとは、ユーザーがウェブサイト等を閲覧しようとする場合に、インターネット接続事業者等が、ユーザーの同意を得ることなく、アクセスしようとするウェブサイト等のURL、ホスト名、IPアドレス等を検知してアクセスを遮断する措置です。

ブロッキングをするということは、URLやIPアドレスなどの通信内容を参照していることになるため、この『通信の秘密』を侵害するおそれが高いということになります」

●例外的に認められる可能性も

では、ブロッキングもできないということになるのか。

「全く許されないというわけではなく、正当行為や緊急避難といった違法性阻却事由がある場合(違法性が例外的になくなる場合)であれば、許される余地があります。

『余地がある』といっても、あくまで例外的措置として、限定的にしか認められないと考えられています。

報道でいわれている『著作権者側の要請に応じ』という点だけでは足りず、対処の困難性のほか、サイトの性質(国外サイトかどうかなど)といった点を吟味することまで必要になるのではないかと思われます」

清水弁護士はこのように分析していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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