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「なぜ公職選挙法は改正できないのか?」河野太郎議員の問題提起をどうみるか
2013年07月19日 17時48分

「本音と建て前のかたまりのような公職選挙法そのものを改正することのほうがインターネット解禁などよりもはるかに選挙を自由にする」「(それは)はっきりわかっているのに、なぜ、法律が改正されないのだろうか」――。河野太郎衆議院議員(自民党)がブログでこう問題を投げかけ、話題を呼んでいる。

河野議員によると、その一因は、党内の意見が完全に一致しないと、法案の提出にすらたどり着けないことにある。たとえば、自民党の場合、法案を議会事務局に受け取ってもらうためには、4役の署名が必要。それをもらうためには、全員一致が原則の部会、政調審議会、総務会でそれぞれ承認される必要があるという。

河野議員は、法の抜本改革を目指せば、「必ず、現在の制度を維持しようとする側からの反対意見が出る」。たとえば、「街宣車の連呼を禁止するなどという抜本的な改正には、必ずしつこい反対意見が出るだろう」と主張、「まずは、政権公約に載せていない問題から、党議拘束を外したらどうか」と呼びかけている。

公選法をめぐる現状とこのような改革案の提言を、法律の専門家はどのようにみているのだろうか。衆議院議員の経験者で、選挙制度や政治にくわしい早川忠孝弁護士に聞いた。

●世論を味方にしながら本気で動けば、公選法は変えられる

「私も、不合理な規制をたくさん内包している現在の公職選挙法は、速やかに改正されるべきだと考えます。

確かにこれまで、公選法は利害対立があって『変えにくい法律』だと考えられてきました。改正に消極的な、声の大きい議員が改正の妨げになっていたという節もあります。

しかし、この参議院選挙で状況は一変するはずです」

――状況が一気に変わる可能性もある?

「実は、法改正は、他党や国民も改正を強く要望していて、党内にも特に有力な反対意見がないような場合はきちんと実現しています。たとえば、今回のインターネット選挙運動解禁はその典型ですし、成年被後見人に投票権を認める改正もあっという間に通りました。

つまり、異論が出ないような改正案を策定し、提案する力を持った議員が本気で動けば、公選法の改正は実現するのです」

――「党議拘束」が法改正の妨げになっているという指摘については?

「政党のガバナンスを確保するという観点から党議拘束がかかることがあるのは事実ですが、法案の提出が必ず全員一致でなければならないということではありません。

自民党の場合、法案提出には党4役の承認が必要というルールにはなっていても、提出する法案そのものは多数決で決めたり、あるいは異論があるときはあえて採決をしないで部会長一任という形を取って決めることもあります」

――では、公選法が改正できるかどうかのポイントは?

「まずは法案の内容と、国民世論がその法案をどの程度支持しているかの見極めが重要です。実際に法案を国会で可決するためには、提案者が誰か、それについて他党はどんな考えでいるかなど、色々な要素が絡み合ってきます。

しかし、一番重要なのは、国民の立場に立って現行選挙制度の見直しを行うこと。候補者の利便よりも国民の利便を優先して必要な改正するという理念を明確にして、世論を味方にしながら本気で動くことでしょう」

早川弁護士が指摘するように、ネット選挙が解禁されたこの参院選を通じて、一般有権者の「選挙運動」への関心はかつてなく高まりつつある。この熱を冷ますことのないよう、一刻も早くもっと自由で公平な選挙運動を解禁すべきではないだろうか。国会議員の見識がいま、まさに問われていると言えそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

「本音と建て前のかたまりのような公職選挙法そのものを改正することのほうがインターネット解禁などよりもはるかに選挙を自由にする」「(それは)はっきりわかっているのに、なぜ、法律が改正されないのだろうか」――。河野太郎衆議院議員(自民党)がブログでこう問題を投げかけ、話題を呼んでいる。

河野議員によると、その一因は、党内の意見が完全に一致しないと、法案の提出にすらたどり着けないことにある。たとえば、自民党の場合、法案を議会事務局に受け取ってもらうためには、4役の署名が必要。それをもらうためには、全員一致が原則の部会、政調審議会、総務会でそれぞれ承認される必要があるという。

河野議員は、法の抜本改革を目指せば、「必ず、現在の制度を維持しようとする側からの反対意見が出る」。たとえば、「街宣車の連呼を禁止するなどという抜本的な改正には、必ずしつこい反対意見が出るだろう」と主張、「まずは、政権公約に載せていない問題から、党議拘束を外したらどうか」と呼びかけている。

公選法をめぐる現状とこのような改革案の提言を、法律の専門家はどのようにみているのだろうか。衆議院議員の経験者で、選挙制度や政治にくわしい早川忠孝弁護士に聞いた。

●世論を味方にしながら本気で動けば、公選法は変えられる

「私も、不合理な規制をたくさん内包している現在の公職選挙法は、速やかに改正されるべきだと考えます。

確かにこれまで、公選法は利害対立があって『変えにくい法律』だと考えられてきました。改正に消極的な、声の大きい議員が改正の妨げになっていたという節もあります。

しかし、この参議院選挙で状況は一変するはずです」

――状況が一気に変わる可能性もある?

「実は、法改正は、他党や国民も改正を強く要望していて、党内にも特に有力な反対意見がないような場合はきちんと実現しています。たとえば、今回のインターネット選挙運動解禁はその典型ですし、成年被後見人に投票権を認める改正もあっという間に通りました。

つまり、異論が出ないような改正案を策定し、提案する力を持った議員が本気で動けば、公選法の改正は実現するのです」

――「党議拘束」が法改正の妨げになっているという指摘については?

「政党のガバナンスを確保するという観点から党議拘束がかかることがあるのは事実ですが、法案の提出が必ず全員一致でなければならないということではありません。

自民党の場合、法案提出には党4役の承認が必要というルールにはなっていても、提出する法案そのものは多数決で決めたり、あるいは異論があるときはあえて採決をしないで部会長一任という形を取って決めることもあります」

――では、公選法が改正できるかどうかのポイントは?

「まずは法案の内容と、国民世論がその法案をどの程度支持しているかの見極めが重要です。実際に法案を国会で可決するためには、提案者が誰か、それについて他党はどんな考えでいるかなど、色々な要素が絡み合ってきます。

しかし、一番重要なのは、国民の立場に立って現行選挙制度の見直しを行うこと。候補者の利便よりも国民の利便を優先して必要な改正するという理念を明確にして、世論を味方にしながら本気で動くことでしょう」

早川弁護士が指摘するように、ネット選挙が解禁されたこの参院選を通じて、一般有権者の「選挙運動」への関心はかつてなく高まりつつある。この熱を冷ますことのないよう、一刻も早くもっと自由で公平な選挙運動を解禁すべきではないだろうか。国会議員の見識がいま、まさに問われていると言えそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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